東京都足立区の綾瀬車両管理所で13日、東京メトロ南北線9000系「8両編成車」が報道公開されました。この編成は2023年12月16日から運行を開始します。
南北線はその名の通り東京を南北に貫く東京メトロの鉄道路線です。2000(平成12)年9月に目黒~赤羽岩淵駅間(19駅、21.3km)が全線開通。目黒で東急目黒線、赤羽岩淵で埼玉高速鉄道線とつながっており、2023年3月からは相鉄・東急新横浜線が開業したことで相鉄線との直通も始まりました。利用者は1日あたり約45万人(2022年度実績)です。
そんな南北線を走る9000系車両は現在6両編成で運転を行っていますが、乗降人数や混雑率も上がってきたため、東京メトロは混雑緩和を目的としてまず1編成で8両化を実施。中間車両を2両新造し、既存の編成に組み込みました。定員は8両編成化により882人から1200人に増加しています。

また9000系の2~4次車に関しては、1995年の運行開始から長い時間が経過しているため、車両設備の更新や最新機器の搭載を行うための大規模改修をあわせて実施。車内防犯カメラの設置や全車両へのフリースぺースの設置、脱線検知装置の搭載、制御装置(VVVF)の性能向上などを行い、最新車両と同等水準にリニューアルします。
今回お披露目された「8両編成車」は、新造された中間車2両と大規模改修を行った既存車6両の組み合わせとなります。2~4次車の残る12編成についても同様の工事を行い、順次8両化を進めていきます。


車両外観は細かい部分に変化アリ

新造車両の外観は連結部の妻面が面取りされているなど、これまでの9000系と細部が異なっています。
たとえばこれまで車両中央の下部にあった号車番号(上記写真では9509)の表記が消え、車両端の窓横のみになっています。理由としては車体の下部に表記してもホームドアで見えなくなってしまうため。最近製造された東京メトロの車両に共通するデザインを南北線9000系の新造車両でも踏襲したかたちです。


座席のカラーや袖仕切りを変更、開放感のあるインテリア
新造車両ではインテリアデザインもリニューアル。従来の車両との統一感を持たせながらも、新造であることをアピールし、斬新かつ開放感を感じられるようになりました。座席の色はラインカラーのエメラルドグリーンとなり、柄サイズも変更されています。



またこの編成のみの特徴にはなりますが、新造車両の車内銘板のデザインがちょっと変わっています。車両を製造した川崎車両は2021年10月に川崎重工業から分社独立しており、南北線9000系の新造車両は同社としての搬出車両第一号ということで、銘板デザインを特別なものにしたとのことです。

2年前に製造された車両をこの時期に導入した理由は?今後の8両化の方針は?
上記の銘板からも分かるように、実は今回お披露目された増結用の中間車は2年前に製造されたものです。
東京メトロ車両部設計課の渡部智也課長補佐によりますと、9000系の8両化は2~4次車の大規模改修とまとめて行う計画でしたが、大規模改修を行う車両工場の調整の都合で着工が遅れ、このタイミングでの導入となったということです。
南北線の9000系は全部で23編成(138両)ですが、全編成の8両化についてはまだ計画が定まっていません。現時点で8両化が決まっているのは2~4次車の13編成のみで、今後は利用者の動向を見ながら計画を決めていくことになるそうです。
南北線ではすでに直通先の車両が8両編成で運行を開始していますが、東京メトロの車両もいよいよ8両化。ぱっと見ではなかなか気づかないかもしれませんが、車内に一歩踏み込むと「いつもと違う!」という斬新な驚きが待っていることでしょう。

記事:一橋正浩
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