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多摩都市モノレールは、2024年7月23日に国土交通大臣へ軌道法に基づく特許を申請した延伸計画について、2025年5月9日に特許を取得したと発表しました。事業区間は上北台駅からJR八高線箱根ケ崎駅付近まで。

建設キロは複線7.0kmで、区間内に7駅を整備する計画となっています。

まずは多摩都市モノレールをおさらい

多摩モノレールの延伸、これまでの経緯と今後は? 軌道事業特許を取得し上北台~箱根ケ崎でいよいよ工事着手へ
多摩モノレールの既存ルートと箱根ヶ崎延伸ルート(画像:多摩都市モノレール)

多摩都市モノレールは多摩ニュータウンの中心であり、京王相模原線や小田急多摩線が乗り入れる多摩センター駅(多摩市)を起点としています。

京王動物園線と連絡する多摩動物公園駅や京王線の高幡不動駅(いずれも日野市)、JR立川駅(立川市)近くの立川南駅・立川北駅、西武拝島線と連絡する玉川上水駅(立川市・東大和市)などを通り、上北台駅(東大和市)まで、多摩エリアを南北に結ぶ約16kmの路線です。

1998年に1期区間として上北台駅~立川北駅、2000年には2期区間として立川北駅~多摩センター駅が開業し、現在に至ります。

多摩都市モノレール延伸の動向

多摩エリアにはいわゆる「鉄道空白地帯」が多く、問題解消に向け、多摩都市モノレールの延伸構想が議論されてきました。

業績の伸び悩みにより、一時は延伸計画がストップしていましたが、2008年に策定された「経営安定化計画」により黒字化を実現。再び延伸に向けて動き出し、現在はいくつかの延伸ルートが検討されています。

今回、計画が大きく進展した「箱根ケ崎延伸ルート」のほかにも、多摩センター駅とJRや小田急線が乗り入れる町田駅をつなぐ「町田延伸ルート」、多摩センター駅とJR八王子駅をつなぐ「八王子延伸ルート」が計画されています。

【参考】多摩モノレール延伸ここまで進んだ ①町田方面延伸路線の2024年1月の状況をお伝え
https://tetsudo-ch.com/12933217.html

武蔵村山市にとって悲願の鉄道延伸に

多摩モノレールの延伸、これまでの経緯と今後は? 軌道事業特許を取得し上北台~箱根ケ崎でいよいよ工事着手へ
現在、多摩モノレールの軌道は上北台駅のホームの先で途切れています。この軌道がさらに延びる予定です(画像:Pixta)

上北台~箱根ケ崎の延伸区間は東大和市、武蔵村山市、瑞穂町の3市町にあたり、新設される7駅のうち、5駅(うち1駅は東大和市との境界部)が武蔵村山市となります。

武蔵村山市は東京都の区市のなかで唯一、鉄道駅がないエリアです。これまで、公共交通機関で移動するには、路線バスでJR立川駅に出るか、自転車で上北台駅に向かうといった限られた方法しかなく、不便な状況でした。

武蔵村山市民にとっては、悲願の鉄道延伸となります。

上北台~箱根ケ崎間の延伸はどのように進める?

多摩モノレールの延伸、これまでの経緯と今後は? 軌道事業特許を取得し上北台~箱根ケ崎でいよいよ工事着手へ
東京都と多摩都市モノレールが連携して整備を進めます(画像:国土交通省)

延伸計画は、東京都と多摩都市モノレールが連携して進めて行きます。

具体的には、支柱・桁・駅舎などの骨格を形成する構造部分「インフラ部」は、東京都が整備。

車両・電車線(動力用電力供給)・券売機などの運行・経営に必要となる部分「インフラ外部」は多摩都市モノレールが整備するとのこと。

建設費は総額で約1,290億円となる見込みで、今後は2030年代半ばの開業を目指し、工事を進めていくとしています。

駅舎は「二層式」、ホームは「島式」に

多摩モノレールの延伸、これまでの経緯と今後は? 軌道事業特許を取得し上北台~箱根ケ崎でいよいよ工事着手へ
新設される駅舎の計画(画像:東京都都市整備局)

新設される駅は終着駅(仮称No.7駅)を除き、既に開業している駅と同様、改札があるコンコース階の上に、モノレールに乗車するホーム階がある「二層式」の駅舎とする計画です。

(仮称No.7駅は米軍横田基地の航空制限がかかる区域のため、コンコース階とホーム階が同一階の「一層式」の駅舎とします)

ホームの形は、既存の駅は上下線それぞれにホームがある「相対式」ですが、コストを抑えるため、駅舎中央に1つのホームを設ける「島式」とする計画です。

軌道事業特許の取得により、多摩モノレールの延伸計画は、一歩前進しました。(道路上に設置されているモノレールは、路面電車などと同じく軌道という扱いになります。工事を進めるためには、軌道事業では特許を受け、鉄道事業は許可を受けることが必要になるそうです。)

現在は鉄道のない武蔵村山市を中心とする多摩エリアが、より便利に、暮らしやすくなりそうです。

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