西武鉄道は、環境負荷の少ない「サステナ車両」導入に向けた第1弾として、小田急電鉄から譲受した車両「8000形」を西武鉄道「8000系」として改造。5月31日から営業運転を開始します。
サステナ車両の運転開始に先立ち、東京都新宿区の西武新宿駅で24日、小田急電鉄から西武鉄道へ、車両の引き継ぎ式が行われました。
サステナ車両とは? 新型車両のデザインや特徴は?

省エネ効果を期待できる「サステナ車両」
「サステナ車両」とは西武鉄道独自の呼称で、他社から譲受したVVVFインバータ制御車両のこと。新造車両の導入と並行し、環境負荷の高い旧型の車両などをサステナ車両に切り替えることで、メンテナンス効率を高め、使用電力量を削減するとともに、譲り受けた車両を活用することでサステナビリティに貢献します。
【参考】西武が導入する「サステナ車両」とは?
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西武鉄道のコーポレートカラーをあしらったデザイン

小田急電鉄から譲受した車両のデザインは、列車の点検、整備を行う入社3年目の若手社員が発案。西武鉄道のコーポレートカラー、ブルーとグリーンをベースに「永遠」「発展」「繁栄」を表す市松模様にアレンジしています。
【参考】西武鉄道「サステナ車両」第1弾のデザイン・車両形式が決定 車両の改修やデザイン検討の様子を動画でお届け!
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約7ヶ月かけて改修し、西武仕様に一新
小田急電鉄から譲受した車両を西武仕様とするため、約7ヶ月かけて改修されました。外観デザインだけでなく、車端部の座席を4人掛けから3人掛けにしてゆったりと座れるようにしたり、照明を蛍光灯からLEDに変更したり、防犯カメラを設置したり、西武鉄道の広告サイズに合わせてレール位置を変更したりと手を加えられました。
【参考】西武鉄道「サステナ車両」公開 5月末から国分寺線で走り始める元・小田急のニューフェイス(4月の報道公開)
https://tetsudo-ch.com/12999489.html/
小田急鉄道から西武鉄道に鍵を引き渡し、初の運行へ
車両引き継ぎ式には、サステナ車両の改造工事を手がけた小田急エンジニアリング取締役社長の岩﨑佳之氏と、デザインを選定した西武鉄道 鉄道本部・車両部長の小川克弘氏が出席しました。

13:32にサステナ車両が到着すると、小田急電鉄の運転士から西武鉄道の運転士へ、鍵の引き渡しが行われました。

13:39、気笛吹鳴による出発合図で西武8000系「サステナ車両」は西武新宿駅から新所沢駅へ。この日は「小田急8000形&西武8000系 ビフォーアフター乗りくらべ&撮影会」の参加者100名などを乗せての発車となりました。
サステナ車両の普及により、持続可能な社会に貢献

車両更新に携わった岩﨑社長は「西武と小田急の間で、設計思想や技術情報を共有しながら作業を進める過程の中で、相互の理解がさらに深まった」とあいさつ。「長い間小田急線で、小田急線の安全と快適を牽引してきた名車両が、今度は西武沿線のお客さまのご期待にもしっかりと応えてくれるだろうと確信している」と笑顔で語りました。

車両部長の小川氏は、サステナ車両の出発を見送り「初めての取り組みが成功するか不安でしたが、お客さまを乗せて運転開始でき、非常に安心しております。
小田急エンジニアリングとの連携については、運行スケジュールに合わせて進行できたことに感謝するとともに、小田急の車両の構造などに触れた経験が、車両部門にとって技術面で参考になったと語りました。
小川氏によりますと、今後は2030年度までに新造車両と合わせてサステナ車両の導入を進め、VVVF化率100%を達成。持続可能な社会に貢献していきたいとのこと。今年度は、東急電鉄からサステナ車両を導入予定です。今後の動向にも引き続き、注目していきましょう。
文/写真:斎藤若菜
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