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JTBは、2025年夏休み期間(7月15日~8月31日)の日本人の旅行動向見通しをまとめ、その結果を公表しました。JTBの調査によると、夏休みの旅行意欲は堅調で、総旅行者数は前年比100.8%の7,464万人、総旅行消費額は同108.2%の4兆264億円となる見込みです。

国内旅行では自然の中で心身のリラックスを求める傾向が強く、海外旅行ではアジアの人気が続く一方で、欧米などの遠方への旅行も回復傾向にあることが示されています。

国内旅行は「リラックス」志向、近場から遠方まで多様な選択肢

このJTBのレポートは、各種の調査データやJTBグループアンのケートなどから推計したもので、1969年から継続的に調査を実施しているというものです。2025年夏休みの国内旅行者数は7,220万人(前年比100.3%)で、平均旅行予定費用は46,000円(同104.5%)、旅行消費額は3兆3,212億円(同104.8%)と推計されています。物価高への懸念があるものの、日並びの良さやボーナスの上昇を背景に旅行意欲は旺盛で、旅行者数、費用ともに昨年を上回る見込みになっています。

では、いくつかの調査結果をご紹介します。まず、夏休み期間(7月15日~8月31日)に旅行に行く・多分行くと答えた人は、全体の34.2%となっています。旅行への意向はコロナ禍前の2019年(38.0%)には及びませんが、徐々に戻りつつあるといえます。

夏休みの旅行動向 国内はリラックス 海外は韓国首位も欧州・ハワイなど遠距離の人気も復活!  JTB夏休み旅行動向調査を読む

旅行の目的としては、「家族と過ごす」(32.7%)が最も多く、次いで「リラックスする、のんびりする」(28.5%)、「自然や風景を楽しむ」(26.5%)、「食事、地域の味覚を味わう」(26.5%)が続きます。「イベントやスポーツ観戦」、「趣味を楽しむための旅行」というニーズが増加傾向にあるようです。(下の図表7)
旅行日数は「1泊2日」(36.5%)が最も多いものの、前年より減少しており、「2泊3日」(32.8%)や「3泊4日」(17.4%)が増加傾向にあります。8泊以上の長期滞在も増加しており、旅行日数の多様化が見られます。(下の図表8)

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居住地別に旅行先を見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道」(70.2%)、「九州」(52.5%)の2地域で50%を超え、関東以外の居住地域では、同じ地域への旅行が1位になっています。
一方、関東地方の居住者での旅行先としては、「関東」を選択した人が19.1%であるのに対し、「中部」が28.8%となり、居住地域を上回っています(上の図表11)。

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同行者については、「子供づれ(中学生まで)の家族旅行」(21.9%)が最多ですが、「ひとり旅」(19.3%)と「夫婦のみ」(21.8%)も増加しており、少人数での旅行が増える傾向にあるようです。

利用交通機関は「自家用車」(51.6%)が最も多く、次いで「JR新幹線」(24.6%)、「JR在来線・私鉄」(20.9%)となります。自然を楽しむ旅行目的の増加から、車での旅行ニーズが高まっていると考えられます。宿泊施設では「ホテル」(63.6%)が引き続き人気ですが、民泊やキャンプ場など多様な宿泊施設が利用される傾向も見られます。

また、「夏休みに体験してみたいこと」について聞いた設問では、「絶景やグルメなど、SNS映えする場所を巡り、発信する」(16.5%)、「スマートフォンなどから離れ、心身の疲労やストレスを軽減する」(14.4%)、「キャンプやアウトドア体験など自然が楽しめる場所で過ごす」(14.4%)の順に高くなり、いずれも特に20代~30代が高い選択率でした。
実際のJTB国内旅行では、大阪・関西万博の開催による京阪神エリアと、7月25日開業予定のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」の開業効果での沖縄本島への旅行予約が好調だといいます。

海外旅行はコロナ禍前水準に迫る回復、欧米人気が復活し、ハワイにすぐに行きたい人が最多

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海外旅行者数は244万人(対前年120.8%、対2019年80.5%)と推計されており、コロナ禍前平均(2010年~2019年平均の約267万人)の約9割まで回復しています。平均旅行予定費用は289,000円(対前年105.5%)、旅行消費額は7,052億円(対前年127.4%)と大幅な増加が見込まれます。飛行機の座席供給数の回復や、円安傾向の落ち着き、堅調な旅行意欲が海外旅行を後押ししているようです。

海外旅行の旅行日数は「3泊4日」(21.2%)が最も多いものの、前年より減少しており、「5泊6日」(16.1%)や「2泊3日」(16.1%)が増加しています (下の図表19)。
一人当たりの旅行予定費用では「40万円以上」(22.6%)が最も多く、高価格帯の旅行が増加傾向にあります。

人気の旅行先は「韓国」(16.8%)と「ヨーロッパ」(16.8%)が同率でトップとなり、「台湾」(13.9%)、「東南アジア」(13.9%)が続きます。(下の図表21)

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今後の海外旅行の意向に関しては、「すぐに行きたい」という回答は「ハワイ(11.1%)」が最も多く、次いで「ヨーロッパ(10.8%)」、「オーストラリア・ニュージーランド(9.4%)」となり、近いアジア地域よりも、ハワイ・欧州・オセアニアという遠距離地域への旅行意欲の高さが伺えます(上の図表22)。

実際のJTB海外旅行では、ハワイ、韓国、台湾やアメリカが人気だといいます。特に、アメリカ西海岸はMLB観戦券付ツアーなどで人気を集めているそうですが、一方でアジアなど近隣への短期旅行も引き続き人気があり、旅行の二極化傾向が見られます。

旅行に対する消費意識

旅行の支出については「これまでより旅行支出を減らしたい」(38.4%)が増加したものの、「趣味や旅行などにかける費用は減らしていない」(27.3%)も増加しており、旅行に関して節約をする人とお金をかける人とに分かれる傾向がうかがえます。

【旅行動向アンケート 調査方法】
調査実施期間:2025年6月9日~11日
調査対象: 全国15歳以上79歳までの男女個人
サンプル数: 事前調査10,000名 本調査2,060名(事前調査で「夏休みに旅行に行く/たぶん行く」と回答した人を抽出し本調査を実施)

今回は、JTBの調査結果を元に、2025年夏休み旅行動向や、その後の旅行への意向を見てきました。
国内旅行では心身のリラックスや自然体験へのニーズが高まりそれぞれの趣味に応じた旅行が選べれる傾向にあるようです。海外旅行は、円安傾向がやや弱まったこともあり、近距離アジアに加え、欧米などの遠距離への旅行需要も回復傾向にあるようで、徐々にコロナ前の水準に近づいています。
景気動向にも左右される部分が多い旅行・レジャー分野ですので、少し先の動向はまだ不透明ですが、今年の夏は、それぞれのニーズに合わせた多様な旅行スタイルが広がりそうです。
参照:JTB 2025年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向 (写真:PIXTA、図表:JTB)

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