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7月5日、アサヒ飲料とかんでんエルファーム、関西電力の3社共催による「黒部ダムで自然の恵みを五感で体験する1日ツアー」が行われました。参加したのは、抽選に当選した10組19名の参加者。

黒部ダムや通常非公開のケミカルトンネルの見学、黒部ダムの流木引き上げの様子を見た後に、その流木を使ったコースターの製作、湖畔のトレッキングに三ツ矢サイダーを使ったフルーツポンチづくりと盛りだくさんの一日をレポートします。

アサヒ飲料×かんでんエルファーム×関西電力が初共催

未公開エリアの見学も!「黒部ダムで自然の恵みを五感で体験する1日ツアー(アサヒ飲料×かんでんエルファーム×関西電力)」レポート

アサヒ飲料は、同社を代表する炭酸飲料「三ツ矢サイダー」が約140年もの長きにわたり幅広い世代の人々に愛され、豊かな日本の自然と心地よい人との関係性を育んできたことから、日本の豊かな自然や文化を次の世代へ繋いでいくことを目的とした共創事業「三ツ矢青空たすき」をスタート。さまざまな体験プログラムを提案しています。
一方、2000年に関西電力のベンチャー企業として設立した「かんでんエルファーム」は、持続可能な社会づくりを目指し、黒部ダムに漂着する流木をリサイクル・商品化する事業を展開。「クロベのキセキ」というブランドを立ち上げています。

今回のツアーは「三ツ矢青空たすき」と「クロベのキセキ」両ブランドと、黒部ダムの「関西電力」がタッグを組んで実現。3社の共催は初の試みで、黒部ダム周辺の豊かな自然を五感で感じるとともに、資源の有効活用や循環についても学べる特別なツアーとなりました。

電気バスに乗車して黒部ダムへ

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オリエンテーションでは「三ツ矢青空たすき」の宮本さんから「黒部ダムに来たことがある人は?」と呼びかける一幕も。約半数の参加者が、黒部ダムは初めてとのこと

「黒部ダムで自然の恵みを五感で体験する1日ツアー」は、立山黒部アルペンルートの長野県側の入口である扇沢駅前、長野県大町市の扇沢レストハウスから始まりました。関西電力・アサヒ飲料「三ツ矢青空たすき」・関電エルファームのそれぞれからのあいさつがあり、いよいよ黒部ダムへ移動します。

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電気バスのデザインは、親しまれてきたトロリーバスを踏襲しています

扇沢駅から黒部ダム駅までの移動は長らくトロリーバスが担っていましたが、2019年からは電気バスにリニューアル。CO2を排出しない環境に優しい乗り物であることにも変わりありませんが、電池性能の向上や充電器の高速化など、より進化しています。
乗車区間のほとんどが、関電トンネル内。黒部ダム建設が「世紀の大工事」と言われた理由でもある、約80メートルの破砕帯(割れた岩のなかに地下水を含んだ地層)を車窓から眺めたり、「貫通点」で電気バスとすれ違ったりしながら向かいました。

通常は非公開のケミカルトンネルで削岩機を体験!

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黒部ダムはなぜ造られることになったのか、いかに苦労が多かったのか映像で学びました

黒部ダム駅に到着したら秘密のルートを通り、通常は一般公開していない「ケミカルトンネル」に移動します。関電トンネルの内部は夏でも10度前後と大変涼しく、思わず上着を羽織る参加者の姿も。黒部ダムの建設当時の様子を映像で学んだ後は、素掘りのトンネルを見て、掘削機や背負子に触れて体験し、いかに大変な工事であったのか体感しました。

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水平式掘削機は建設当時使用されていたものと全く同じ仕様で、出力のみ1/5に抑えているとのこと。筆者も体験してみましたが、なかなかの衝撃でした
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垂直式掘削機は重さ30kg。持ち上げてみた参加者の感想は100%「重い!」でした。持ち上げることを断念する人や、あらゆる姿勢でチャレンジする姿も
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10kg・20kg・40kgの背負子(しょいっこ)を持ち上げ、その重さを実感

黒部ダムに流れ着く流木の引き上げを見学

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堰堤(えんてい)の先に、黒部湖や立山連峰を見ることができます

関電トンネルを抜けるとパッと視界が開け、目の前には黒部ダムが広がっていました。大迫力の絶景に参加者のボルテージは高まるばかり!

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クレーン車で籠を降ろして沈めると、待機していたボートが近づきます。籠のなかへ人力で流木を押し込むように集め、クレーンで引き揚げます

ダムの堰堤では、流木の引き揚げ作業を見学しました。約2億トンもの貯水量を誇る黒部ダムには、雪崩などで倒れた木が年間約300トン、立山連峰から流れ着きます。そのままにしてしまうと景観を損なうだけでなく、取水口を塞いでしまい、水力発電の妨げになる恐れも。そこで、クレーン車で籠を降ろして流木を集め、引き揚げる作業が必要になります。
なかには5メートルを超える大きな流木もありますが、トラックに積めるサイズに切断してから運んでいるとのこと。また、一部はコースターやハガキといった工芸品に加工。

「クロベのキセキ」として商品化されており、黒部ダムレストハウスでも販売しています。
とはいえ、製品として加工できる流木はごく一部。大部分は粉砕しておが粉やチップとなり、バイオマス燃料として再活用されます。現在では、運搬された流木はほぼすべて再活用できているそうです。

クロベのキセキワークショップ

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黒部ダムを眼下に見下ろしながら、コースターづくりを楽しみます

お昼休みを挟み、レストハウスで黒部ダムカレーを食べたり、黒部ダムの観光放水を見学したり、自由時間を満喫した後は、ダム展望台に移動し「クロベのキセキワークショップ」を開催。立山連峰から黒部ダムに流れ着いた、ネズコ(クロベ)やツガ、マツなど様々な樹種の流木を使ったコースター作りに挑戦しました。

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先ほど引き揚げ作業で見たばかりの流木を使ってコースターを作ります。なかでもネズコは黒部渓谷に自生する、このエリアならではの貴重な木なのだそう
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東京都内や千葉県から来たという3人は職場仲間。会話を楽しみながらコースターづくりに励んでいて、仲の良さがうかがえました
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埼玉県から参加されたご夫婦はともに立山登山の経験あり! この日もイベント後、立山黒部アルペンルートで移動すると話してくれました。今回のツアーは木に興味があり参加を決めたとのこと。趣味で木にレーザー加工でイラストを描くこともあるそうで、コースターもプロ級の仕上がりでした!

湖畔トレッキングツアーで雄大な自然を満喫

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トレッキングコースはダム左岸からスタート。ダムにかかる水圧を分散して水圧に耐えられる構造とするため、当初の設計を変更してウイング状にしたエピソードなどが語られました

ワークショップ後は、ネイチャーガイドの案内によるトレッキングツアーがスタート。ダム左岸からカンパ谷のつり橋を渡り、御山谷(おやまだに)を往復しました。黒部湖沿いの遊歩道コースは高低差が少なく、道はよく整備されているため歩きやすくなっています。

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カンパ谷のつり橋を渡ると遊歩道が整備されています

ネイチャーガイドから高山植物や木々に関する説明を受けながら歩みを進めました。
一時は雨脚が強くなり、足元が悪い部分もありましたが、1人も脱落することなくトレッキングを終えました。

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関西ではスカンポとも呼ばれる山菜「虎杖(いたどり)」。痛みを取る効果があることから「痛取」と言われることもあるとか。このように、湖畔には食べられる植物や薬になる植物も数多く自生しています。ただし、黒部ダム周辺は中部山岳国立公園に指定されているため、植物は採取できませんのでご注意を
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クロベの巨木は樹齢800~1000年と言われています。その雄大な姿を見て、触れて体感しました

三ツ矢サイダーのフルーツポンチを作成!  くろにょんも登場!

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破砕帯の水を凍らせた氷がたっぷりと入ったフルーツポンチは、ここでしか食べられない味

最後は黒部ダムレストハウスで、フルーツポンチを作りました。器にナガノパープルのジュレとフルーツを好きなだけ入れて、三ツ矢サイダーをたっぷりと注げば完成! トレッキングで歩き回り疲れた体に染みわたるおいしさでした。

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「くろにょん」は工事に憧れてヘルメットとシャベルをいつも身につけているそうで、後ろ姿もかわいいですね

フルーツポンチの準備をしていると、黒部ダムのマスコットキャラクター「くろにょん」が会いにきてくれました! 希望者は一緒に記念撮影をするなど、和気あいあいとした雰囲気のなかでツアーが終了しました。

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最後は3社それぞれからお土産も配布されました

今回のツアーは長野県内からの参加者もいれば、香川県から足を運んだという参加者もいて年齢層もバラバラでしたが、終了後はみなさんが笑顔だったことが印象的でした。

「黒部ダムで自然の恵みを五感で体験する1日ツアー」は8月23日にも開催を予定しており、7月22日17:00まで応募を受け付けています。雄大な黒部ダムを見て、自然に触れて、特別な体験がしたいという人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

文/写真:斎藤若菜
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