ルク・ゴーで買い物する大妻中野中高生(筆者撮影)

最近増えているのが「鉄道発市中行き」のニュース。元々は2020年3月に(暫定)開業した山手線、京浜東北線の新駅・高輪ゲートウェイからの社会実験の一つとして始動した無人決済(支払い)、省力化を求める世間の流れに乗って急速に普及する。

JR東日本グループから生まれた異色の流通スタートアップ、「TOUCH TO GO(タッチ・トゥ・ゴー=TTG)」がサービスの仕組みを提供した新店舗「Belc Go!(ベルクゴー)大妻中野店」が2025年11月26日、東京都中野区の大妻中野中学・高校にオープンした。

JR、東京メトロ中野、西武新宿線新井薬師前の両駅が最寄りの大妻中野は戦前の1941年4月、文園高等女学校として開校した名門。校名で分かるように大妻女子大の系列校だ。生徒数約1400人。

校内に学食はなく、これまで弁当を持参しない生徒にはキッチンカーや自販機で対応してきた。

TTGは2023年4月、東京都大田区内の高校に無人コンビニを開業。そうした情報が学校側に伝わり、埼玉県に本社を置くスーパー・ベルクの新ブランド「ベルクゴー」を名乗る無人店舗の開店につながった。

校内1階のカフェテリア(飲食スペース)前に誕生した無人店舗は商品棚5つ分のスペースで、弁当類やパンを中心に200~250アイテムを取り扱う。

基本的な仕組みはこれまでのTTG無人コンビニと同じ。唯一の違いといえるのが決済端末(支払機)で使えるのがSuicaやPASMOなどの交通系ICカードという点だ。

今回の無人店舗、TTGのほか学校、スーパーそれぞれにメリットをもたらす。弁当を持たせられない家庭にとって、校内で昼食が買えるのは安心材料。

進学校を選ぶ決め手の一つになる。

ベルクは関東圏で約150店舗を営業するが、これまでは一般スーパー。今回のような無人店舗は新規事業の足がかりになる。

市中展開に力をいれるTTGにとって、新しい挑戦になるのが物流部門への進出。近隣のベルク店から大妻中野への商品配送を受け持つ。

阿久津智紀社長は取材陣との質疑応答で、「2019年の創業から6年。いわゆるバーコードの付いた商品に続き、今後は例えば飲食店のそばや天ぷらのようにバーコードを付けられない商品にも、無人決済の仕組みを広げたい」と意欲を示した。

鉄道発の新サービスが東京の名門校に進出 JR東日本グループのTTGの無人店舗が大妻中野中高にオープン(東京都中野区)
大妻中野やベルク代表とともにフォトセッションに応じる阿久津TTG社長(右端)(筆者撮影)

記事:上里夏生

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