多摩モノレール延伸が遂に始動!武蔵村山の “鉄道なし” 解消...の画像はこちら >>

多摩地域の南北移動を支える多摩都市モノレールの延伸事業が、大きな一歩を踏み出しました。東京都は2025年11月27日、上北台駅からJR箱根ヶ崎駅方面への延伸計画について、国からの都市計画事業認可を取得し、正式に事業に着手。都内の市で唯一鉄道駅がなかった武蔵村山市の「鉄道空白地帯」がついに解消されます。本記事では、2030年代半ばの開業を目指す全7駅のルート詳細や、最新の駅舎デザイン検討状況、地域の利便性がどう変わるのかを徹底解説します。

多摩地域の移動はどう変わる?

多摩都市モノレールは、多摩地域を南北に結ぶ跨座式のモノレールです。
1998年に立川北駅から上北台駅までが先に開業し、その後、2000年に多摩センター駅から立川北駅までが開業して、現在の路線が全線でつながりました。立川周辺でJR中央線や南武線、青梅線などと接続し、多摩センター方面とを結ぶ南北の交通手段として運行されています。

多摩モノレール延伸が遂に始動!武蔵村山の “鉄道なし” 解消へ!箱根ヶ崎まで全7駅・7kmのルートや計画まとめ、新青梅街道はどう変わる?
現在の多摩都市モノレールのルート図 (図:国土交通省)

このうち立川周辺は、JR中央線をはじめ、南武線や青梅線が集まる多摩地域最大の鉄道結節点です。多摩地域の玄関口ともいえる役割を担っていますが、鉄道路線の多くは東西方向に延びていて、南北方向の移動については、これまでバスなどが担う面もある状況が続いてきました。多摩都市モノレールは、こうした課題を補う形で、立川を軸に多摩センター方面とを結び、南北移動の選択肢を広げる役割を果たしてきました。

鉄道の無い地域に悲願のモノレールが!

今回着工する多摩都市モノレール北側の延伸区間は、東大和市上北台1丁目付近から瑞穂町箱根ケ崎付近までの複線で、延長は7055メートル(約7キロ)、(仮称)No.1からNo.7までの7駅を新設する計画です。開業は2030年代半ばを予定。
延伸区間は東京都内の市の中で唯一鉄道駅がない「鉄道空白地帯」である、武蔵村山市を通ることになります。市内に5つの駅が設けられる見込みで、終点側では箱根ヶ崎駅で、JR八高線との接続を想定しています。

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多摩モノレールの延伸区間

ルートは、上北台周辺と終点側の一部を除き、主に新青梅街道の上空に整備。道路空間を活用して軌道を通す計画です。新青梅街道の拡幅が行われ、現道幅の約18m~32mを、30m~39.5m(区間により異なる、モノレール高架部含む)へ拡幅しますが、こちらは2005年に都市計画決定済みです。

道路の中央には、基本的には中央分離帯が設けられることになります。

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多摩都市モノレールの延伸(上北台~箱根ケ崎)の軌道 (図:東京都 )

事業の手続きでは、国が2025年5月9日に軌道事業の特許を付与し、その後、都が都市計画事業の認可を取得して、着手に至りました。2025年10月には、環境影響評価に関する手続きも進められています。

実際の工事は、基本駅には支柱・桁・駅舎などの骨格を形成する構造部分「インフラ部」を東京都が整備。車両・電車線(動力用電力供給)・券売機などの運行・経営に必要となる部分「インフラ外部」は多摩都市モノレールが整備することになります。

バス→モノレールで通勤・通学の時間が激変?

これまで「都内で唯一鉄道駅のない市」だった武蔵村山市において、モノレール延伸がもたらす最大の恩恵は「移動時間の劇的な短縮」と「定時性の確保」です。現在、武蔵村山市役所から主要ターミナルである立川駅(北口)へ向かう場合、主な交通手段は路線バスとなります。

現状のバス利用の場合: 日中でおよそ 39分~54分程度。交通渋滞の影響を受けやすく、雨の日やラッシュ時にはさらに時間がかかることも珍しくありません。

延伸後・モノレール利用: 武蔵村山市役所近辺に新設予定の「(仮称)No.3駅」から立川北駅までは、およそ 20分前後 で結ばれる見込みです。

バスと比較して約20分~30分もの短縮となり、何より渋滞に左右されない安定した運行が、市民のライフスタイルを大きく変えることになりそうです。

2025年には駅舎デザインの検討会も

あわせて2025年6月からは、有識者や地元市町、多摩都市モノレール株式会社などが参画する「駅舎デザイン検討会」が設置されました。

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各駅のまちづくり方針に沿った駅舎デザインへの意見を募集

2025年11月には、延伸区間や駅を含む「まちのイメージ」について、近隣住民など一般からの意見募集も行われました。この意見募集にあたっては、各駅ごとに地元自治体がめざす駅の方向性が示されました。
例えば武蔵村山市では、延伸区間で最も上北台駅に近いNo,1駅では、「新しい来街者を呼び込み子育て世代の転入促進を図るようなまちづくり」を、村山医療センターや東京経済大学などが近いNo,2駅では、「医療施設及び教育施設と連携した健康とスポーツのまちづくり」など、駅ごとに、周辺をどのように開発していくかの方針が提示され、それに関する意見を募りました。

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まちづくり方針例、No.3駅周辺(図:武蔵村山市)

集めた意見を参考にしながら、今後は各駅や周辺地域のデザインが作られていくことになるのでしょう。
そのモノレール延伸区間の駅ですが、No.1駅からNo.6駅は、現在開業している区間と同様に、改札があるコンコース階の上に、モノレールに乗車するホーム階がある二層式の駅舎としています。

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モノレールに乗車するホーム階がある二層式の駅舎 (図:東京都)

ホームの形状は、コスト縮減などの観点から、現開業区間と異なり駅舎中央にホームのある島式ホームとしています。ホームの幅は18メートル、駅の高さは20メートルという想定です。
箱根ケ崎駅(No.7駅)は、米軍横田基地の航空制限のため高さ13mに抑えられ、ホームとコンコースが同じ階にある1層構造(島式ホーム)になる予定です。

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箱根ケ崎駅・No.7駅は高さ制限がある区域のため1層構造に(図:東京都)

工事の手順とPC軌道桁製作

2025年5月には、事業概要及び用地測量説明会も実施されました。
道路拡幅のための工事と並行して、用地取得が順次進められます。工事は、道路を拡張してモノレールを建設するために、まずは既存の道路や水道管などの設備を一時的に別の場所へ迂回させる仮設工事(切回し工事)から開始されます。

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多摩モノレール延伸 施工の手順(東京都)

切回し工事にひと段落が付いたところから、道路中央部分のモノレールの支柱設置等の工事に移行することになります。
レールにあたる部分はには、PC軌道桁(プレストレスト・コンクリート軌道桁)というものが使用されます。多摩都市モノレールのような、車両が桁の上に乗って走る跨座型モノレールで使用される、鉄道の列車でのレールと橋桁の役割を兼ねた、高精度なコンクリート製の構造物です。
このPC軌道桁は、武蔵村山市のモノレール沿いの土地に、その製作場が作られる予定です。

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PC軌道桁制作場の場所(図:東京都)

YouTubeで動画も公開中!

現在、東京都建設局では、多摩モノレールのJR箱根ケ崎駅方面への延伸工事完成後のイメージ動画を公開しています。

この東京都の動画には、上空からの目線、モノレール車両からの目線、地上からの目線の3種類の動画がありますので、ご興味があれば他のものもご覧ください。

モノレール延伸で狭山丘陵の自然がもっと身近に!事業費や需要予測も!

今回の多摩モノレールの延伸によって、その南北の鉄道軸は、さらに北側の地域へと広がります。
上北台駅から先の区間が整備されることで、立川を中心とした鉄道網と、北多摩や西多摩方面が直接結ばれる形になります。

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延伸を見据えた沿線まちづくり

また、モノレールの延伸は、日常の利便性だけでなく、休日のお出かけルートにも新しい選択肢を広げます。特に狭山丘陵や村山貯水池(多摩湖)周辺のレジャースポットへのアクセスが飛躍的に向上します。

・野山北・六道山公園への玄関口: これまでバスや車でのアクセスがメインだった「野山北・六道山公園」へは、新設される「No.3駅」や「No4駅」などが新たな拠点となりそうです。狭山丘陵に残る広大な自然や四季折々の里山風景、アスレチックなどを楽しめる、都内最大級の公園がぐっと身近になります。

・村山貯水池(多摩湖)の絶景: 上北台駅から箱根ケ崎駅へと続く新青梅街道の北側には、村山貯水池広がります。豊かな緑が広がるこの場所への、南側からのアクセス向上にも期待が出来ます。

・温泉や特産品巡り:「No.2駅」や「No.3駅」周辺には、市民に長く親しまれていた日帰り温泉施設「かたくりの湯」が、現在は閉館中ですが2026年の営業再開を予定しています。また、周囲には地元の特産品を扱う直売所も点在しています。

このように、モノレール開通後は、立川や多摩センター方面から「ちょっとそこまで里山歩き」といった、近い田舎への気軽な観光にも期待が出来ます。既存の多摩都市モノレールの路線と一体となった利用が進むことで、南北方向の移動がこれまでよりも円滑になり、多摩地域全体の交通ネットワークの強化につながることが期待できるでしょう。

モノレール延伸の事業費と需要予測

今回の事業費に関して、都はインフラ部を904億円とし、インフラ外部を含めた総額を約1290億円としています。事業期間は2025年度から2034年度までを見込んでいます。

需要予測では、開業翌年度の新規区間の利用者数は4万1445人/日と推計されています。このうち、既存区間とまたいで利用する人が3万1572人/日で、約8割を占めるとしています。既存区間も含めた全線の利用者数は17万7428人/日と推計しています。費用便益比は、30年で1.18とされています。国や都は、需要予測や費用便益分析の結果を踏まえ、延伸事業は一定の公共的効果が見込めるとして、事業化に踏み切ったとみられます。

『鉄道がない市』という不便さが解消され、立川へのアクセスが劇的に向上する今回の延伸事業。通勤・通学の時間が短縮されることで、家族と過ごす時間や趣味の時間が増えるなど、私たちのライフスタイルにも大きなゆとりが生まれるはずです。新青梅街道の上空に広がる新しい景色を眺めながら移動できる日は、もうすぐそこまで来ています。2030年代半ばに、多摩の景色がどのようになるのか、今から完成が待ち遠しいですね。
(図:東京都、武蔵村山市、PIXTA)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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