粕谷秀樹のメッタ斬り 034
2012-13シーズン、チェルシーからウェストブロムへレンタル移籍していたルカク photo/Getty Images
きっといまごろスーパースター
今回から短期(4週予定)集中連載でお届けする〈プレミア・ポジション別BEST5〉。栄えある第1回はストライカーだ。
ストライカーといっても、単に点を取ればいいってもんじゃないんだな。アーセナルで一世を風靡したティエリ・アンリのような素早く、クレバーなタイプや、〈9・5番〉といわれるハリー・ケイン(トッテナム)は対象外。アラン・シアラー(ブラックバーン他)もちょっと違う。
マーカーの厳重なマークを小細工など使わずに突破し、ゴリゴリゴリッと前進する〈9番〉を、現役・OB問わず選んでみた。なお、順位の決定基準には個人的な嗜好が色濃く含まれる。悪いか!?
第5位はロメル・ルカク(ウェストブロム他)。意外でしょ。マンチェスター・ユナイテッドではサイドに流れ過ぎて、本領を発揮できなかったね。でも、ウェストブロムでは基本的に中央から動かず、相手DFが削っても意に介さなかった。これがルカクの持ち味。私のストライカー論に合っている。
![[粕谷秀樹/プレミア・ポジション別BEST5]ファン・ニステルローイのような9番タイプがどこかに隠れていないかな](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FTheWorld%252FTheWorld_283695_a552_2.jpg,quality=70,type=jpg)
ボルトンで活躍したケビン・デイビス photo/Getty Images
第4位はアンディ・キャロル(ニューカッスル他)。
ところがパブで一般人と揉めたり、リハビリ中に酩酊したり、アルコールにまつわるトラブルが少なくない。所属クラブの監督やエージェントに「酒を控えろ」と指摘されても、聞く耳を持たないんだ。酒に飲まれていなかったら、人生も変わっていたね。きっといまごろスーパースター。
さて、ルカクとキャロルは190センチを超える偉丈夫だけれど、2000年代のボルトンで活躍したケビン・デイビスは183センチ。プレミアリーグのセンターフォワードとしては小さい方だった。それでも強靭なボディバランスで、空中戦はほぼ無敵だったな。ヘディングでつなぐ技術も高かったデイビスを3位にしよう。
![[粕谷秀樹/プレミア・ポジション別BEST5]ファン・ニステルローイのような9番タイプがどこかに隠れていないかな](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FTheWorld%252FTheWorld_283695_170e_3.jpg,quality=70,type=jpg)
絶対的なスコアラーとしてユナイテッドを支えたファン・ニステルローイ photo/Getty Images
ドログバはハンパじゃなかった
2004年から計8シーズン、チェルシーで異彩を放ったディディエ・ドログバが第2位だ。とにかく、運動能力がハンパじゃなかった。相手の2CBに行く手をふさがれていても、スピードとパワーで簡単に突破する。
当然、チェルシーの本拠地スタンフォードブリッジにおける人気は絶大だった。頼りになる男は、洋の東西を問わず大衆に支持されるってことね。
そして第1位はルート・ファン・ニステルローイだ。強くて、タフ、ポジショニングにも優れていた。ユナイテッドで2年目を迎えていた02-03シーズンには、最終18試合で17ゴールという荒稼ぎをやってのけている。公式記録には特記されないデータだけれど、離れ業といっていいよね。
しかもチャンピオンズリーグで3回も得点王に輝いている。この実績は1位に推す大きなポイントになった。
ファン・ニステルローイは相手のペナルティボックス付近でデーンと構え、雰囲気だけで相手DF陣を威圧していた……。彼みたいな9番タイプ、どこかに隠れていないかな。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。
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