ザックジャパンを引っ張った本田&香川 photo/Getty Images
2022年へ攻撃陣はステップアップが必要
サンプドリアの吉田麻也、ボローニャの冨安健洋、マルセイユの酒井宏樹、シュツットガルトの遠藤航、フローニンヘンで成長する板倉滉など、現在の日本は代表史上最強の守備組織を構築することも不可能ではないほど守備のタレントが揃っている。
2022年に行われるワールドカップ・カタール大会へ向け、この守備陣が森保ジャパンのストロングポイントになるのは間違いない。
一方で攻撃陣の方はどうだろうか。近年の代表ならば、2010年から4年にわたってアルベルト・ザッケローニ監督が率いたザックジャパンが最も高い攻撃力を備えていたのではないか。
本田圭佑、香川真司、岡崎慎司の2列目は破壊力抜群で、器用なセンターフォワードだった前田遼一、伸びてきていた大迫勇也、柿谷曜一朗も見ていて楽しい選手だった。ベルギー代表やオランダ代表、コンフェデレーションズ杯ではイタリア代表を苦しめるなど、強豪相手にも複数得点を奪う力が当時の代表チームにはあった。
やや守備が不安定なところはあったものの、当時のザックジャパンの戦いにワクワクしていたファンは多いはず。攻撃面だけを見れば代表の歴史に残る完成度だったと言えよう。
当時と比較すると、現代表の攻撃は物足りない。本田や香川、岡崎ほど存在感を放っている選手がいない。カタール大会へ向け、個と組織の両面でレベルアップが必要なのは明らかだ。

本田の後継者として堂安にかかる期待 photo/Getty Images
森保ジャパンの攻撃を引っ張るのは誰か
残りの1年半ほどで期待したいのは5人のサムライだ。
香川に続く存在としては、フランクフルトMF鎌田大地、リヴァプールFW南野拓実、そして希望も込めて川崎フロンターレMF三笘薫の3人に期待したい。3人ともテクニックが高く、すでに鎌田はブンデスリーガで通用することを証明している。
レアル・マドリードからヘタフェにレンタル移籍している久保建英がやや伸び悩んでいることを考えると、この3人には余計に大きな期待がかかる。
本田と同じスケールの大きなレフティーとして、堂安律にも期待したい。オランダの強豪PSVでは苦戦したが、レンタル移籍したドイツのアルミニア・ビーレフェルトではチームの中心として活躍している。
サイズはあまり大きい方ではないが、本田と同じく下半身が強い。海外のDFとぶつかり合っても負けないボディバランスを備えている。得点力が伸びてくれば、カタール大会でも主力になれるはず。
最後の1人は、ブレーメンで調子の上がらないFW大迫勇也を追い越す存在としてシント・トロイデンFW鈴木優磨だ。
24歳のストライカーはベルギーで今季リーグ戦14得点とブレイクしており、そろそろ欧州5大リーグにチャレンジしてもいい頃合いだ。カタール大会までに大迫を脅かすほどの存在になってくれれば、チームにも良い競争が生まれてくる。
成長した守備陣をベースに、攻撃陣がザックジャパンに近づく破壊力を身につけることができれば、カタール大会でのベスト8入りも夢ではなくなってくる。守備が安定してきているだけに、何とか攻撃の完成度を高めたいところだ。