今大会のスターリングは頼りになる photo/Getty Images
この調子がどこまで続くのか
事実上の決勝戦と言われたイングランド対ドイツの一戦。互いに決定機を作り出せず、時間だけが過ぎる中でラヒーム・スターリングが先制点を挙げると、終盤にはハリー・ケインがダメ押しの2点目をゲット。
グループステージの内容からドイツ有利と言われていたこの試合だが、意外にもイングランドが白星を掴む結果となった。そしてヒーローとなったのがまたしてもスターリングである。
昨季は所属元のマンチェスター・シティではシーズンを通して不調であり、終盤には台頭してきたフィル・フォーデンにスタメンの座を奪われ、ベンチを温める時間が続いていた。その影響からEURO2020への参加も危ぶまれていたが、指揮官であるガレス・サウスゲイトからの信頼も厚く、ここまで全試合に出場し、3得点とチームの得点源としてスリーライオンズを引っ張っている。
ゲーム内容に関しても、代表ではある程度自由を貰っているのかマンCでの窮屈さは感じられず、のびのびとプレイしている印象だ。また、心なしか笑顔も多く、楽しんで試合に入っているように思える。
それは彼のプレイにも表れており、クラブでは効果的ではなかったドリブルがイングランドの一つの武器となっている。先制点の場面では彼のドリブルでバイタルエリアに進入し、その流れからゴールを奪っている。紛れもなく違いを作れる選手であり、エースナンバーである10を背負うだけのことはある。また、前半にはボックス外から思い切りのいいミドルシュートを放っており、これはマヌエル・ノイアーに防がれたが、彼の調子の良さがうかがえる。
昨季のコンディション不良からEUROでの活躍は期待されていなかったスターリングだが、いい意味で国民の期待を裏切り、母国をベスト8まで導いている。