89分に、コーナーキックの混戦から決勝ゴールを挙げた山田直輝(10番)photo/Getty Images
的確だった、ベルマーレのゲームプラン
明治安田生命J1リーグの第33節が23日に行われ、17位の湘南ベルマーレが19位の横浜FCに2-1で勝利した。ベルマーレは今節の勝利により、J1リーグ残留圏内の16位に浮上している。
ベルマーレは[3-1-4-2]、横浜FCは[3-4-2-1]と、互いに前節と同じ布陣を採用。
横浜FCは1トップのサウロ・ミネイロ、2シャドーの松尾佑介とジャーメイン良の計3人がベルマーレの3バックへのプレッシングを試みたものの、相手最終ラインが長身FWウェリントンへのロングパスを多用したため、ハイプレスをためらう場面がちらほら。ベルマーレのアンカー、田中聡が少ないタッチ数で的確にパスを散らしたこともあり、特に前半はボールの奪いどころを定めきれず。攻撃機会も少なかった。
「非常に難しいゲームになりました。一番の要因は、ゲームを90分間コントロールできなかったことです。ゲーム運び、相手のプランも含めて、我々がやるべき良い守備から良い攻撃、特に守備のところに少し問題があって、前半はそこがはまらなかったです。ハーフタイムにある程度修正できて、後半の得点までは良かったのですが、そこからのゲームコントロールであったり、交代を含めたマネジメントに問題がありました」
試合後の会見で、自軍の守備を反省点に挙げたのが、横浜FCの早川知伸監督。63分に松尾が相手DF石原広教にプレスをかけ、敵陣でのボール奪取から先制ゴールを挙げただけに、同クラブとしては相手の3バックに1トップと2シャドーがハイプレスを仕掛けるという作戦を、前半から勇気を持って実行して良かったのかもしれない。
9月1日付けで、コーチから監督に昇格した山口智氏。ベルマーレの遅攻の質を引き上げている photo/Getty Images
山口監督のもとで、ベルマーレの遅攻が強力に
遅攻時に中央のレーン、大外のレーン、ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に選手たちが満遍なく立つことで、相手の守備隊形を横に広げたうえでのパスワークを披露できている山口智監督下のベルマーレ。
この試合でも、平岡大陽と茨田陽生の2インサイドハーフが相手の最終ラインと中盤の間へ果敢に侵入し、ベルマーレの遅攻を活性化。
まずは最前線のウェリントンへロングパスを送り、同選手が捌いたボールや敵陣でのこぼれ球を拾って速攻に転じる。これが通用しなければ、自陣後方から丁寧にショートパスを繋ぎ、密集地帯でのパスレシーブを厭わない平岡や茨田、山田を起点に敵陣バイタルエリアを攻略。
9月1日付けでコーチから監督に昇格した山口氏の指導により、攻撃面におけるプレイの優先順位が整理されたベルマーレが、J1残留をかけた大一番で貴重な勝ち点3を手にした。
曺貴裁(チョウ・キジェ)元監督時代に磨き上げた堅守速攻スタイルと、浮嶋敏前監督によって植え付けられた自陣後方からの丁寧なパスワークを、山口新監督のもとで使い分けられるようになったベルマーレ。
「智さんは常に、『自分のやっていることを信じているし、選手のことも信じている』と言ってくれています。(直近の試合の)内容が良いというのは選手たちも分かっていましたし、結果が伴わずに(チーム内が)暗くなることもありましたが、今日は結果を出せたので、ここから皆で上を向いていけると思います」と、山田も試合後の会見で手応えを口にしている。
新たな勝ち筋を身につけ、新体制下でのリーグ戦初勝利をようやく挙げた同クラブだが、このまま上昇気流に乗れるだろうか。

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