今夏バルサへ移籍したデパイ photo/Getty Images
実力は十分だが……
才能はある。しかし、タイミングが噛み合わない。
今夏リヨンからバルセロナに移籍したFWメンフィス・デパイは、少々不運な選手なのかもしれない。
デパイがビッグクラブへ挑戦するのは2度目のことだ。1度目は2014年のマンチェスター・ユナイテッド行きで、オランダの次代を担う才能として大いに期待されていた。
ところが、マンUはアレックス・ファーガソン氏の退任以降、混乱状態にあった。デパイはいきなり伝統の7番を任されることになったが、沈みかかっていた名門を支えるには若過ぎたのかもしれない。当時のデパイはプレッシャーを跳ね除けることができなかった。
挫折を味わったデパイはその後フランスのリヨンで復活し、今夏に2度目の挑戦としてバルセロナへ乗り込んだ。年齢を重ねたことで選手として成熟し、代表の方でもエースになった。ビッグクラブへ向かうには万全のタイミングだったはずだ。
ところが、バルセロナも混乱していた。リオネル・メッシ退団はデパイにとっても驚きだったはずで、アントワーヌ・グリーズマンまで退団。攻撃の形が見えぬままシーズンが始まってしまい、チームの調子は上がらないままだ。
デパイはバルセロナで結果を出しているが、孤軍奮闘では厳しい。代表でも一緒に仕事をしてきた指揮官ロナルド・クーマンも解任されてしまい、バルセロナは危機を迎えている。デパイにとってはタイミングの悪い移籍だったと言えよう。
オランダのPSVではいくつかタイトルを手にしたが、デパイはイングランド、フランスでは無冠だった。バルセロナにてリーガ・エスパニョーラとチャンピオンズリーグ制覇を夢見ていたことだろうが、現状はどちらも遠い目標だ。
5大リーグで無冠のままキャリアを終えるのは避けたいはずだが、デパイのバルセロナ移籍は成功となるのか。2度目の挑戦も嫌な空気が漂っている。