右サイドからの仕掛けが印象的だったクラシッチ photo/Getty Images
2010年のW杯でも注目された
現在フィオレンティーナで活躍するセルビア代表FWドゥシャン・ヴラホビッチには、同じイタリアのユヴェントス行きに関する話題が浮上している。
過去にユヴェントスでプレイしたセルビア人選手は5人いるのだが、まずは1995年にサンプドリアからやってきたMFヴラディミル・ユーゴビッチ、その3年後にアタランタから加入したDFゾラン・ミルコビッチ、その1年後にレアル・ソシエダから加入したFWダルコ・コバチェビッチ、またその1年後に加わったMFイヴァン・エルギッチ。
そしてもう1人を覚えているだろうか。2010年の夏、美しい金髪をなびかせてロシアのCSKAモスクワより合流したFWミロシュ・クラシッチである。
伊『Gazzetta dello Sport』は、その美しい髪色もあって「Newネドヴェド」と期待されていたと振り返る。実際、クラシッチがユヴェントスに加入した2010年頃はセルビア代表もワールドカップ・南アフリカ大会に出場するなど注目を集めていた時期だ。
インテル所属でチームの主将を務めたMFデヤン・スタンコビッチ、マンチェスター・ユナイテッドの鉄壁DFネマニャ・ビディッチ、チェルシーDFヴラニスラフ・イヴァノビッチ、まだ若かった現インテルDFアレクサンダル・コラロフ、クラシッチとともにサイドからの突破が注目されたスタンダール・リエージュ所属のミラン・ヨバノビッチ、202cmものサイズを誇っていたFWニコラ・ジギッチなど、大会のダークホース候補だったのだ。
その中でもクラシッチは期待が大きかったが、ユヴェントスではすっかり忘れられた存在になってしまった。初年度の2010-11シーズンこそセリエAで7得点を挙げたが、その後チームの指揮官に就任したアントニオ・コンテはクラシッチを戦力に含めなかった。
結局2年で退団することになり、その後はトルコのフェネルバフチェ、フランスのバスティア、ポーランドのレヒア・グダニスクで3年間プレイしてスパイクを脱いでいる。当時のワールドカップから同国を代表するスターになることが期待されたのだが、5大リーグでは思うような結果を残せなかった。
今回ヴラホビッチ移籍の噂に合わせて最後にユヴェントスでプレイしたセルビア人選手としてクラシッチが紹介されたわけだが、忘れていたサポーターも多いだろう。確かに髪色や髪型はチェコの英雄ネドヴェドを思わせるものがあったが、成績まで同じとはいかなかった。
2009年にはセルビア年間最優秀選手にも輝いたのだが、やはり戦術的なセリエAは甘くなかったか。