2006年のW杯ではロナウド、ロナウジーニョも揃っていた photo/Getty Images
スターを並べるだけでは勝てなくなった
6日に日本代表と親善試合を戦ったブラジル代表の前線には、ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオール、ハフィーニャなど、世界のトップリーグで活躍する豪華なタレントが顔を揃えた。彼らが魅せるハイレベルなプレイに日本のサッカーファンからも歓声が上がっていたが、それでも歴代のセレソンと比較すれば現在の前線は地味に映るかもしれない。
派手さで言えば、過去のセレソンの方が上だろう。
米『ESPN』が振り返ったのは、今から16年前の2006ワールドカップ・ドイツ大会だ。ブラジルは2002年の日韓大会を制しており、連覇を狙ってドイツへ入った。前線にいたのは日韓大会制覇を知るロナウド、ロナウジーニョ、そこにまだ若かったカカーとアドリアーノが加わった。
ロナウドと名コンビだったリバウドは代表を離れていたが、代わりに入ってきたカカーとアドリアーノも強烈だ。ロナウジーニョは日韓大会の時以上のスタープレイヤーとなり、ロナウドもピークは過ぎながら得点力は健在だった。
しかし、このゴールデンカルテット擁するセレソンはチームとして100%機能しないところがあった。グループステージでは日本代表も粉砕されており、破壊力は高かった。それでもベスト8で対戦したフランス代表には通用せず、0-1で敗れて連覇の夢は消えた。
SNS上では「ジネディーヌ・ジダンに潰されたチーム」と当時を懐かしむ声も出ているが、最終的に決勝へ進んだフランスの方が組織的に機能していたか。この大会から4年前のロシア大会までワールドカップはすべて欧州勢が制しており、サッカー王国ブラジルもフットボールに対する考え方を変えるきっかけになった大会と言っていいかもしれない。前線に並べたスターだけで圧倒するのは難しくなったのだ。
今のセレソンにもネイマールはいるが、ロナウドやロナウジーニョのような魅せるタイプの選手は減少傾向にあるように見える。前線の選手も守備に走るのは当たり前で、このあたりはヴィニシウス・ジュニオールや日本戦に途中から出てきたガブリエウ・ジェズスらも徹底されている。当時より派手さはなくなったかもしれないが、今のブラジルはチッチの下でバランスが取れていて強い。
圧倒的な個の力で相手をねじ伏せるスタイルではなくなってきているが、今年のカタール大会こそ欧州勢からタイトルを奪えるのか。2006年大会はブラジルの考え方が変わり始めた瞬間でもあったか。

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