アンカーとしての新境地を開く野津田岳人 photo/Getty images
相手の急所にボールを配給する
開幕から5戦勝ちなしと難しいシーズンのスタートとなったサンフレッチェ広島。新監督であるミヒャエル・スキッベの合流も新型コロナウイルス感染拡大防止による新規外国人入国規制のため遅れており、チームを直接指揮したのは3節ヴィッセル神戸戦からだった。
そんなスキッベ体制のキーマンは野津田岳人だ。広島ユース出身の28歳で、複数のクラブを期限付き移籍で渡り歩き、今季広島に戻ってきた。野津田が面白いのはポジションの変化で以前まではより攻撃的なポジションを任されていたが、昨季所属していたヴァンフォーレ甲府ではダブルボランチの一角でプレイし、41試合で2ゴール6アシストを記録している。
今季の広島ではそのポジションで継続して起用されており、5月7日の鹿島アントラーズ戦からアンカーで起用されるようになった。
野津田のアンカー起用の強みは球離れの良さだ。基本的にワンタッチでパスを捌くため、野津田を経由することでテンポが上がる。しかもそのパスは相手の急所を突くような鋭いパスが多く、敵陣深い位置で味方がボールを保持することができる。ポジションを下げたことで得られたメリットは多く、セレッソ大阪戦での素晴らしいミドルシュートがその一つだ。前線ではマークが厳しく時間が作れない場面が多かったが、一つポジションを下げることで余裕を持ってボールを扱うことができる。前節名古屋グランパス戦でも直接フリーキックからゴールネットを揺らしており、野津田の左足はチームの大きな武器である。
5戦負けなしで大きく勝ち点を伸ばす広島。昨季は11位と苦戦したが、今季は上位でフィニッシュをすることはできるのだろうか。