ウェールズをEUROやW杯へ導いてきたベイル photo/Getty Images
怪我さえなければバロンドールも狙えた?
9日、トッテナムやレアル・マドリードで活躍してきたウェールズ代表FWガレス・ベイル(33)が現役引退を表明した。
レアルへ移籍してからは怪我に苦しんだシーズンも多く、ガラスの天才アタッカーとの印象もある。
最大の武器はサッカー界史上最高とも言える身体能力だ。英『Daily Mail』はベイル引退のニュースを受けてキャリアのベストゴール集を振り返っているが、他の選手では真似できないであろう圧巻のゴールが目立つ。
例えばトッテナム時代の2013年2月に行われたウェストハム戦で決めたミドルシュートだ。中盤でボールを受けたベイルは、最初のタッチで対峙した相手DFを外すと、強烈な左足でゴール右上隅へボールを叩き込んだ。直接フリーキックも武器だったように、単なるスピードスターで終わらなかったところがベイルの凄さだ。年齢を重ねるごとにキック精度を上げており、これは努力の賜物だろう。
トッテナム時代ではチャンピオンズリーグのインテル戦で決めたゴールも忘れられない。圧倒的なスピードで左サイドを疾走し、マイコン、ハビエル・サネッティら当時のインテルが抱えていた名DFたちをぶっちぎって2ゴールを決めた。ベイルがワールドクラスの選手だと認められた瞬間だったとも言える。
レアルへ移籍してからは、スペイン国王杯の決勝・バルセロナ戦でDFマルク・バルトラを振り切った衝撃の決勝ゴール、チャンピオンズリーグ決勝のリヴァプール戦で決めたバイシクルシュートはベイル史上最高のゴールで間違いない。
またチャンピオンズリーグ決勝では、2013-14シーズンのアトレティコ・マドリード戦で決めた決勝点も忘れてはならない。
データサイト『Opta』によると、2013-14シーズン、2017-18シーズンと2つのチャンピオンズリーグ決勝で決勝点を決めた選手はベイルだけだという。ここぞの場面で見せる勝負強さも魅力だった。
もったいなかったのは、相次ぐ怪我に苦しんだことだ。高すぎる身体能力に体の方がついていかなかったのかどうかは分からないが、筋肉系の故障が目立つキャリアだった。またゴルフに没頭していた部分など批判を浴びることもあり、サッカー一筋というタイプでもなかった。それこそレアル・マドリードでチームメイトだったクリスティアーノ・ロナウドと同じように怪我も少なく、サッカーにのみ集中するタイプならばベイルにもバロンドール獲得のチャンスはあったかもしれない。
ウェールズはもちろん、世界を探してもこれほどスケールの大きい選手はなかなか出てこないだろう。以前レアル・マドリードでドクターを務めていたヘスス・オルモ氏がベイルの身体能力はクリスティアーノ・ロナウド以上に印象的と語っていたのは有名で、身体能力ならサッカー史上最高だったかもしれない。