エンポリで活躍するバルダンツィ photo/Getty Images
小柄な攻撃的MFはアズーリのキングになれるか
以前のイタリア代表にはロベルト・バッジョやアレッサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティなど、2列目の中央で特別な輝きを放つ天才肌のアタッカーがいた。
当時のサッカー界では10番タイプのトップ下がピッチの王様となっていたところがあったが、時代が進むと同時にトップ下を置かないチームも増えた。
そんな現代の難問に挑んでいるイタリア人選手の1人が、エンポリでプレイする20歳のMFトンマーゾ・バルダンツィだ。
バルダンツィは世代別イタリア代表でも常連の攻撃的MFで、今年5月にはU-20イタリア代表の主軸としてU-20ワールドカップ準優勝に貢献している。
エンポリでも主力としてプレイしているのだが、現代的には活かしにくいタイプの選手とも言えるか。テクニックは非凡なものを持つが、170cmとあまり背が高くない。メインポジションはトップ下となっており、ウイングやセンターフォワードでプレイするタイプでもない。
伊『Gazzetta dello Sport』によると、バルダンツィ自身も時代の難しさを理解している。ただ、それでも自身が得意とするトップ下での活躍にこだわりがあるようで、楽しく勝つスタイルを目指している。
「確かに、2000年以降のサッカーは以前よりフィジカルを重視するものになっているから、僕のような選手の役割が少し消えてしまったところがある。でも、孤独には感じていないよ。僕以外にも、似た特長を持って脚光を浴びている若手はいるしね。ベリンガムもそうだし、コルパニ、ソウレもだ。
「僕の理想のサッカーはクオリティと楽しさをベースにしたサッカーなんだ。ピッチ上で楽しくないと勝つのは難しいよ」
すべてのチームに適応できるタイプではないかもしれないが、ファンタジー溢れる選手は見る者を魅了する。将来的にアズーリでバルダンツィのような選手を中心に置くプランも面白くなりそうで、20歳のバルダンツィがセリエAで評価を上げていけるのか楽しみだ。