レアルを2冠へ導いた今季のアンチェロッティ photo/Getty Images
評価が落ちた時期もあった
今季レアル・マドリードをラ・リーガ&チャンピオンズリーグの2冠に導いた名将カルロ・アンチェロッティ。
その手腕に再びスポットが当てられているが、近年は苦労した期間もあった。
2017年にバイエルンを離れたアンチェロッティは、2018年よりイタリアのナポリの指揮官に就任。チームはスクデットを目指していたが、当時のセリエAはユヴェントスが支配していた時代だ。アンチェロッティ率いるナポリも勝ち点79を稼いで2位には入ったが、ユヴェントスは勝ち点90を稼いで優勝。当時のユヴェントスとは差があり、アンチェロッティは2019年冬にナポリ指揮官を解任されている。
その後向かったのはイングランドの中堅クラブであるエヴァートンで、チームもMFハメス・ロドリゲスを獲得するなど上位進出を目指した。しかしハメスも大活躍とはいかず、エヴァートンでのアンチェロッティは勝率46.27%に留まった。アンチェロッティが指揮したチームの勝率が50%を下回ったのは、21世紀に入ってから初めてのことだ。アンチェロッティも年齢を重ねていたため、指揮官として旬が過ぎたと見る向きもあったかもしれない。
実際アンチェロッティはスペイン『La Voz de Galicia』にて、あの時期がポジティブなものではなかったと振り返っている。
「私は情熱を持ち続けている。これが私のサッカー、そして仕事との向き合い方であり、常にそのバランスを保ってきた。
アンチェロッティの監督キャリアから考えると、ナポリやエヴァートンでの仕事はやや珍しいチャレンジだったかもしれない。もう名門で仕事をする時期は終わったのかとも思われたが、アンチェロッティは2021年夏より復帰したレアルで再び最高評価を手にした。
チームをタイトルへ導いたことはもちろん、FWヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴ・ゴエスといった若手の育成、今季はMFジュード・ベリンガムの得点力開花という点でも大きな成果を残した。確実に白星を重ねつつ、若手も育成していく。このバランスが絶妙で、アンチェロッティの評価は再び急上昇している。