日本人ファイターの強さを証明したいとONEに参戦した野杁 photo/Getty Images
戦前の予想を覆した圧巻の勝利
ONE Championshipが3月23日にさいたまスーパーアリーナで「ONE172」を開催。第12試合、コ・メインのONEフェザー級キックボクシング暫定王座決定戦で、元K-1ウェルター級とスーパーライト級王者の野杁正明が、現ONEフェザー級ムエタイ王者のタワンチャイ・PK・センチャイに3RTKO勝利した。
そのタワンチャイはタイでは“神童”と呼ばれるスーパースター。ムエタイ中量級では圧倒的な強さを誇ってきた。ONEムエタイフェザー級のベルトも4度の防衛に成功している。そんな相手に野杁も試合前には「絶対に勝てないと言われている相手だが、5Rだから称賛がある」と強さを認めつつも勝利への思いを語っていた。
試合は1Rから両者が得意としている蹴りを打ち込み合い、互いのプライドがぶつかる展開に。野杁はこのラウンドで積極的にローキックを出し続け、手数でわずかに上回る。しかし2Rは、さすがのタワンチャイも応戦する。野杁は相手の強烈なミドルをくらいながらも、下がらずに蹴り返すことを徹底。すると終了ゴング間際には、タワンチャイの蹴りに合わせて野杁がパンチを顔面に打ち込むことに成功する。
3Rもパンチのタイミングは野杁が制していた。蹴り合いから野杁が左フックをタワンチャイのボディにめり込ませる。少し劣勢気味になったタワンチャイは、ここで無理な間合いで蹴りを繰り出す。
ダメージが残るタワンチャイはなんとか立ち上がるも、野杁がこの好機を見逃さず猛ラッシュ。ガードを固める相手に打ち込み続け、最後はレフェリーが試合を止めた。
試合後に野杁は「僕がONEに来た理由は、ベルトを獲るため。暫定だけどベルトには変わりない」と強敵に勝利した喜びを口にした。
野杁の次戦は、正規王者のスーパーボンとの統一戦が予想される。この試合のように不屈の精神を見せ、そして手数で相手を上回り、最後は持ち前の打撃の技術でKOを奪う野杁本来の強さを見せ続けてほしいところだ。