W杯をココでやらないで! サン・セバスティアン自治会がFIF...の画像はこちら >>

レアル・ソシエダの本拠地アノエタ Photo/Getty Images

地元民にとっては迷惑?

 2030年W杯はスペイン、ポルトガル、モロッコによる3カ国共催となることが決まっているが、このことを喜ぶ人々ばかりではないようだ。久保建英が所属するレアル・ソシエダのホームタウンであるサン・セバスティアンは開催都市に選ばれたが、同市の7つの自治会はFIFAに書簡を送り、これを取り消すよう求めたという。

地元紙『noticas de Gipuzkoa』が伝えた。

 書簡のなかで彼らは「ワールドカップを開催することは、住民の生活環境を悪化させるだけだ」と述べた。さらに「観光はすでに市民生活に影響を与え、深刻な害をもたらしている」と主張している。

 サン・セバスティアンはバルが集まる「美食の街」として知られ、観光地として人気が高い都市だ。しかし、W杯誘致に反対する団体は「乱れた観光化」が進んでいると主張。2015年から2024年の間に市内の宿泊施設の数は69.2%増加し、外国人観光客は120.9%も増加したという。また、住宅購入価格は47.36%、賃貸価格は44.54%増加した。こうした住宅事情の悪化、都市空間の商業化、持続不可能な交通インフラの開発などが与える悪影響が大きいとした。

 また、現在の宿泊施設の収容能力では、アノエタ・スタジアムを訪れるすべての観客を収容することは不可能であるとも述べられている。

 サン・セバスティアンで美味しい料理を堪能しながらのW杯観戦など、我々国外の人間にとってはこのうえない贅沢な楽しみとなりうる。しかし地元の人々にとっては迷惑な話なのかもしれない。

※電子マガジンtheWORLD304号、4月15日配信の記事より転載

編集部おすすめ