自動昇格を勝ち取ったバーンリー Photo/Getty Images
昇格が喜びでなくなるのか
バーンリーとリーズ・ユナイテッドは今季、チャンピオンシップからの自動昇格を果たした。だが、その喜びに水を差すような不吉なデータが現実を突きつけている。
かつては昇格組にも希望があった。10チーム前後と残留争いができる構図だったからだ。だが近年は「ミドルクラス」だったアストン・ヴィラやニューカッスル・ユナイテッドが超富裕オーナーの手に渡り、ブライトンやブレントフォードのようなデータ主導のクラブが台頭。残された椅子は少なくなった。
さらにショッキングな事実がある。1997-98シーズン以来初めて、昇格チーム3クラブ全てが1年で降格したのが2022-23シーズン。そして今季もイプスウィッチ・タウンが降格確定となれば、2年連続で「全滅」となる。これまで“奇跡”とされてきた現象が、もはやトレンドとなっているのだ。
背景には資金力の格差がある。
バーンリーは2022-23シーズンに勝点101を記録し昇格したが、元監督ヴァンサン・コンパニの攻撃志向スタイルが仇となった。皮肉にも、同氏はその哲学を評価されバイエルン・ミュンヘンの監督に就任している。
過去にはリーズ・ユナイテッド、イプスウィッチ、レスターはチャンピオンシップで圧倒的なサッカーを展開したが、プレミアで通用する保証はない。昇格は“報酬”ではなく“試練”となりつつある。
ギャリー・ネビルも警鐘を鳴らす。「プレミアリーグは固定化しつつある。それが事実だ。残留できるクラブは限られ、昇格組は常に厳しい立場に置かれている」と語っている。
もしこの傾向が続けば、昇格はもはや“プレ降格”のような扱いとなり、イングランドサッカーの根幹である昇降格システムそのものが形骸化する危険性すらあると同紙は指摘。
「その問題に対処するのは“今日ではない”かもしれない。でも“いつ”ならいいのか? 手遅れになる前に手を打つべきだ」ネビルの言葉が、現代フットボールの警鐘として響く。