シティ指揮官ペップ・グアルディオラ Photo/Getty Images
柔軟性がペップの強み
プレミアリーグ第5節、アーセナルとマンチェスター・シティの一戦は1-1のドローに終わった。開始早々にアーリング・ハーランドのゴールでシティが先制したが、アーセナルは途中投入のガブリエウ・マルティネッリが後半アディショナルタイムにゴールを奪取。
シティはもう少しで勝ち点3を持ち帰ることができた。リードを得たペップ・グアルティオラ監督は、後半にフィル・フォーデンに代えてナタン・アケを投入し、5バックで逃げ切りを図った。CLの試合から中4日だったアーセナルに対し、シティは中2日という厳しいスケジュール。選手の疲労も見えていたなか、大胆な采配だった。
これに対し元イングランド代表DFガリー・ネビル氏は『sky sports』の解説のなかで、「ペップは私が見たこともないようなプレイスタイルに頼ったが、私は本当に気に入った」と賛辞を贈った。
「試合中に話していた時は批判するつもりはなかった。彼が[5-4-1]を採用したことを本当に嬉しく思った。ボールを持たない状況で試合をコントロールし、最終的にはフォワード1人だけでカウンターアタックを仕掛けるという決断だった。彼らはとても落ち着いていた」
ネビル氏はペップが戦術を変えたのは、「アーセナルが一芸に秀でたチームだと認識していたからだ」と分析する。脅威となるセットプレイのことだ。アーセナルはこの試合でも、何度もコーナーキックからゴールに迫っていた。
「セットプレイが彼らのチャンスとゴールの大きな割合を占めているので、ペナルティエリアに大型選手を配し、ゴールキーパーがパンチングで対応するという状況に陥る。そうしないと、コーナーキックやセットプレイ、フリーキックで打ち負かされることになる」
「これはまったく違うマンチェスター・シティだ。完全な方向転換だ。180度の転換だ。試合中に彼がそうしたのを見ると、適応するという考え方が浮かび上がる。監督には、試合中に状況が変わったときに適応できるのか、機敏に対応できるのかという課題が浮かび上がってくるんだ」
ペップはこれまで、ポゼッションを続けるというプレイスタイルをあまり変えたことがなかった。しかし近年獲得した選手たちは、より強いフィジカルを持っているという特長もある。自らの哲学をときには捨てて勝利を掴みにいく、そんな柔軟性を持っていることもペップの強みだ。
勝つためにはバスを停めることも厭わない。結局勝ち点3を持ち帰ることは叶わなかったが、ペップが変わろうとしていることが垣間見えた戦略だった。