パレードに暴走車が突っ込み、歓喜が恐怖に変わった Photo/Getty Images
人間には光と闇の両面があるというが
昨季のリヴァプールの優勝パレードにおいて、群衆に車で突っ込んだ男がリヴァプール刑事法院で懲役21年6カ月という判決を受けた。『BBC』などが伝えている。
被告はウェスト・ダービー出身のポール・ドイル(54)。ドイルは危険運転、騒乱、重傷害の故意による複数回の加害を含む31の罪を認めた。死者は出なかったものの、パレードでの負傷者は134名に及び、そのなかには子供や乳児も含まれていた。
最悪の傷害事件を起こしたドイルだが、『BBC』は「ドイルはそれでも友人を持つ男」だと報じ、ドイルを知る人物たちの言葉を紹介している。
「理解するのがかなり難しい人もいるだろうが、私にとって彼は依然としてポールだ。彼が被害者に与えた害が小さなものではないのは明らかだが、それでも私は彼が私の人生に存在していることに感謝している」
匿名でこう語った人もいる。ドイルは薬物もアルコールもやらず、アウトドアを愛する男だったという。趣味はトライアスロンで、湖水地方で親しい友人たちとハイキングを楽しむこともあった。
ドイルとともに働いた経験をもつ元兵士仲間のマイク・ハーンさんは、ドイルを「ユーモアのある男」と評し、以前近所に住んでいたというキャサリン・トレマルコさんも「素敵な隣人でした。引っ越してきたとき、彼らは結婚することになっていて、近所の人たち全員を結婚式に招待してくれました」と語っている。
しかし、ドイルの狂気を証明するかのような事件も過去にはあったようだ。ドイルは王立海兵隊に所属していた頃、暴力行為で有罪判決を受け、軍から追放された過去がある。
釈放後、リヴァプール大学で数学を心理学を学んだドイルはIT業界で働き、成功を収めた。3児の父となり、家族にとっては寛大で頼り甲斐のある「ダイヤモンドのような存在」だったと『BBC』は報じている。
人間は誰しも光と闇の両面を持つというが、ドイルも近しい人にとっては頼れる父親であり、よき友人であったようだ。何がドイルを凶行に駆り立てたのだろうか。

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