欧州ビッグクラブで起きている”解任ラッシュ”は必然か イング...の画像はこちら >>

シャビ・アロンソ氏 photo/Getty Images

現代サッカーの問題が浮き彫りに

欧州サッカー界で今大きな異変が起きている。シーズン中にもかかわらず、ここ2週間でマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、レアル・マドリードという誰もが知るビッグクラブで立て続けに指揮官が解任されたのだ。

そしてレアル・マドリードで指揮したシャビ・アロンソは約7ヶ月、マンチェスター・Uのルベン・アモリムは約13ヶ月、チェルシーのエンツォ・マレスカは18ヶ月での解任とあまりにも早い別れとなっている。

シャビ・アロンソが解任を告げられた会談で「クラブが常に選手側に付くなら、監督がロッカールームを掌握するのは不可能だ」と語ったという関係者の証言が出ているように、三者共に形は違えどクラブ内での権力問題によって退任に至ったという見方が強い。

こうした出来事が欧州サッカー界で起きる中で、イングランド代表の監督をEURO2024までの8年間務めたガレス・サウスゲイト氏は「”監督”の権限の縮小」という、指揮官たちの”監督”から”ヘッドコーチ”という立場と肩書きの変化が「長年にわたる緩やかなプロセスで行われてきた」と自身の『LinkedIn』で語っている。

「フットボールディレクター、テクニカルディレクター、スポーツディレクターの導入が進むにつれて、この傾向は加速している。これらのディレクターは長期的なサッカー戦略を監督し、CEOまたはオーナー(あるいはその両方)に直接報告し、構造的には(シャビ・アロンソらの務めた)”ヘッドコーチ”よりも上位に位置している」

サウスゲイト氏はこの傾向について”ヘッドコーチ”たちは「複雑な選手契約の管理、世界的なスカウトネットワークの監視、高度なデータ運用を行う時間も、多くの場合は専門知識も持っていない」という観点から「個人的にはこの変化に異論はない」としている。

しかしこうした立場の変化が起きた一方で、ビッグクラブの”ヘッドコーチ”たちは「コーチングのみに集中すればよい」というわけでもなく、「現代のヘッドコーチは以前より大規模なチーム、より大規模なスタッフ陣、はるかに高度な分析要求、そしてますます増え続けるメディアや商業的な義務を管理する立場にある」と言及。

そして「(実質的に個人ブランド化している)現代選手の管理の複雑さ、クラブの財政的リスク、従来のメディア(新聞やテレビなど)とソーシャルメディアによる容赦ない監視が加わり、問題とプレッシャーが激しく混ざり合う状況が生まれている」とし、指揮官たちにとっては”監督”から”ヘッドコーチ”へと「意図しない権力と立場の変化」が起きたことで、さらに状況を悪化させているという。

サウスゲイト氏はこうした変化があったことからイングランド代表では”ヘッドコーチ”ではなく”監督”としてのオファーを求めたことを明かし、「伝統的な監督の現代版」という「監督がチームを率い、管理し、指導する選手を尊重する」立場にあるべきだと主張した。

現代の欧州サッカーの指揮官たちは、戦術とビジネスの複雑化によって以前より複雑な問題を、より弱い立場で実行しなければいけない状況にいる。クラブと指揮官が中長期的な関係を維持するには両者の関係性の見直しが重要となるだろう。

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