2022年に開催されたカタールW杯を制したアルゼンチン代表の中盤には、21歳にして安定感あるプレイで攻守をつなぐエンソ・フェルナンデスがいた。準優勝のフランス代表にもオーレリアン・チュアメニ(当時22歳)、エドゥアルド・カマヴィンガ(当時20歳)がいて、チュアメニは準々決勝イングランド戦で強烈なミドルを叩き込んでいる。
彼らはいずれもW杯初出場だった。

 史上最多48か国が参加する北中米W杯では、より多くの選手がはじめてW杯を経験することになる。ラミン・ヤマル、ウォーレン・ザイール・エメリ、フランコ・マスタントゥオーノ、エステバンなどすでにメガクラブで活躍する若き才能たちが、それぞれの代表でどんなパフォーマンスをみせてくれるのか。北中米W杯で功名を立てるだろう14名のU-22をピックアップしてみた。

ヤマルはすでにトップスター オライリーは影響力を持つ

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意外にも思えるが、バルセロナのスターであるヤマルは今回で初出場 Photo/Getty Images

 スペイン代表の10番を背負うラミン・ヤマル(バルセロナ/18歳)は初出場という感じがしないほど、国際大会ですでに実績を残している。EURO2024では1得点4アシストで優勝に貢献し、最優秀若手選手賞を受賞。W杯欧州予選はケガのため2試合152分の出場となったが、それでも3アシストだ。次世代のスターではなく、すでにいまを代表するスターだと言える。

 ヤマルのボールタッチ、ドリブルは完成されていて、動きに迷いがなく能動的に仕掛けて守備組織を切り裂く。俊敏でトップスピードに到達するのが早く、右サイドからのカットイン、タテへの突破は止める術がなく、複数の選手で対応しても置き去りにされる。スペイン代表の攻撃を引っ張る存在であり、北中米W杯は初出場にして初優勝を狙う大会になる。

 さらに、スペイン代表の最終ラインにはパウ・クバルシ(バルセロナ/18歳)もいる。2024年パリ五輪では不動のCBとして出場停止となった1試合を除いて全試合に出場し、チームの金メダル獲得に貢献。

北中米W杯を目指す欧州予選でも4試合出場と着実に実績を積んでいる。

 クバルシは足元の技術力が高くボールコントロールが安定していて、正確なロングフィードも出せる。攻撃の起点になれる現代型のCBで、一つ先、二つ先の展開を読む力もあり、プレイエリアが広い。守備から攻撃へ移行するのも早く、パスを出して良し、自分で前方に運んで良しだ。クバルシはスペイン代表が志向する攻守で試合を支配するスタイルを実現するための特長を兼ね備えている。

 前回準優勝のフランス代表は分厚い選手層を誇るが、中盤で活躍が期待されるのがウォーレン・ザイール・エメリ(パリ・サンジェルマン/19歳)だ。PSGでは2022-23シーズンの途中に16歳で出場機会を得て、そこから徐々に地位を確立していった。昨季は主力としてCL制覇に貢献し、今季はキャプテンマークをつけてプレイする試合があるなどシーズンごとに存在感を増している。

 守備的MF、インサイドハーフといった中盤はもちろん、右SBもこなす。フランス代表でのプレイはまだ9試合(先発4、交代5)だが、複数のポジションで稼働するザイール・エメリは貴重な戦力だ。スマートなボールコントロール、しなやかな身のこなし、タイミングを心得たパス出し。動きにムダがなく、難しいプレイを難しくみせない。
北中米W杯でも“PSGの至宝”は輝くはずだ。

 ニコ・オライリー(マンチェスター・シティ/20歳)は現在進行形で成長を続ける身長193センチの大型左SBで、昨季終盤からシティでレギュラーポジションを獲得。昨年10月にはイングランド代表のトーマス・トゥヘル監督に初招集され(出場はなし)、続く11月に行われたW杯予選セルビア戦に先発して代表デビュー。中二日で行われたW杯予選ラトビア戦にも先発し、どちらの試合も無難にプレイしてクリーンシートでの連勝に貢献している。

 積極的に攻撃参加する左利きのダイナミックかつテクニカルなSBで、シティではどんどん中央に入ってきてビルドアップにからむ。トゥヘル監督がこのプレイスタイルを求めるかどうかはわからないが、左SBにオライリーを固定するのであればそうなっていくだろう。代表ではまだ2試合しかプレイしていないが、チームスタイルに大きな影響を与える力を持っている。

N・パスがW杯連覇へ導く セレソンの右にエステバンあり

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ニコ・パスは現在コモの攻撃を牽引している天才的センスを北中米でも見せられるか Photo/Getty Images

 ドイツ代表にも北中米W杯で活躍が期待されるU-22が2名いる。アレクサンダル・パブロビッチ(バイエルン/21歳)は守備力、攻撃力ともに高い守備的MFで、ユリアン・ナーゲルスマン監督の信頼を得て昨年10月、11月のW杯予選に4試合連続で先発している。2ボランチ、3ボランチのどちらにも対応する順応性があり、3ボランチのときはアンカーを任される。コンビを組むのはジョシュア・キミッヒやレオン・ゴレツカで、普段からバイエルンで一緒にプレイしている強みがある。

 パブロビッチは判断、プレイともに早く、中盤の密集地帯でボールをさばくのがうまい。1タッチ、2タッチでプレスをかわし、次の瞬間には正確で効果的なパスを出している。

堅実かつ献身的なプレイスタイルが特長であり、長くドイツ代表の中盤を支えることが予想される選手だ。

 サイード・エル・マラ(ケルン/19歳)は伸び盛りで怖さ知らずの右利きの左ウイングで、今季ブンデスリーガですでに6得点(チーム最多)している。チャンスメイクはもちろん、自分でもゴールできる能力があり、勝利に直結する仕事ができる。

 まだドイツ代表でのプレイはないが、昨年11月のルクセンブルク戦ではベンチ入りしていた。現在の好調を維持することができれば、今後の強化試合にも招集されるはず。さらには、代表デビューもあるはず。同ポジションはフロリアン・ヴィルツが務めることが多いが、セルジュ・ニャブリ、ジャマル・ムシアラ(負傷中)などもいる。エル・マラも起用可能となれば、ナーゲルスマン監督には多くの選択肢ができることになる。

 W杯連覇を狙うアルゼンチン代表にもニコ・パス(コモ/21歳)、フランコ・マスタントゥオーノ(レアル・マドリード/18歳)という2人のU-22がいる。N・パスは強さとうまさを併せ持ち、なおかつ献身的に戦える左利きの攻撃的MFで、昨季加入したコモをセリエAの10位に導き、最優秀若手賞を受賞。今季もチームの攻撃を引っ張っており、19試合出場で6得点となっている。

 N・パスはまわりが良くみえていて、中盤でムダにボールを持たない。
相手がプレスにきてるならワンタッチで素早くパスを出す。あるいは、ヒラリとかわしてプレスを外す。自分でボールを運ぶ力もあり、縦へ仕掛けるドリブルはスピードがある。おまけに、フィニッシュの精度も高い。

 アルゼンチン代表の中盤は選手層が分厚く、N・パスはまだレギュラーポジションをつかんでいない。そうしたなか、昨年6月のチリとの試合ではじめて先発し、1-0の勝利に貢献した。素材に疑いはなく、リオネル・スカローニ監督は大事に経験を積ませている。N・パスは着実にスターへの道を歩んでいる。

 マスタントゥオーノも間違いなく良質な若手で、昨年のクラブW杯、レアル加入、今季序盤ぐらいまではイキイキとプレイしていた。しかし、肉離れ、足の付け根を痛めるなどケガが重なり、昨年11月上旬あたりからあまり満足にプレイできていない。アルゼンチン代表でも9月のエクアドル戦に途中出場したのが最後となっている。

 とはいえ、マスタントゥオーノの小気味よいドリブル、積極的にゴールを狙う姿勢は他の選手にはない強烈なストロングポイントで、「個」の力で得点チャンスを作り出せる。
レアルではすでに戦列復帰しており、あとはコンディションをどこまで高めていけるかだ。

 ブラジル代表のエステバン(チェルシー/18歳)はよりドリブルに特化したウイングで、ボールを持って縦へ突破するスピードという意味では、いま世界でトップかもしれない。それほど、瞬発力、俊敏性に優れ、足元に飛び込むと高い確率でかわされる。さらに、迷いなく足を振り抜くシュートも魅力で、決定力も高くブラジル代表ではすでに11試合5得点という数字を残している。

 現在、セレソンを率いるカルロ・アンチェロッティ監督はこのエステバンを右ウイングのファーストチョイスにしている。すなわち、ブラジル代表の攻撃陣はロドリゴ、ヴィニシウス・ジュニオール、エステバンなどで構成される。選手の顔ぶれだけでも、みたくなるチームだと言える。

パエスはすでにチームの主力 日本代表には鈴木淳之介がいる

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