もちろん、その他の国にもハイクオリティな選手がたくさん存在する。28年ぶりにW杯に出場するノルウェーには、いま世界ナンバーワンのストライカーだと考えられるアーリング・ハーランドがいる。日本と対戦するチュニジアには、3度目のW杯に挑むナイム・スリティという経験豊富な選手がいる。ここではFIFAランキング10以下の中堅国から10名をピックアップして注目選手を紹介する。
ハーランドは得点王候補 セメンヨは充実している
ついにW杯に臨むことになったハーランド。圧倒的な破壊力で得点王候補となる Photo/Getty Images
アーリング・ハーランド(ノルウェー代表/マンチェスター・シティ)に関しては、ノルウェー代表のファンはもちろん、世界のサッカーファンが北中米W杯でプレイする姿をみたいと思っていたのではないだろうか。身体の大きさ、パワー、スピード、俊敏性。どれもトップレベルで、1対1の競り合いに強いだけではなく、複数の相手に勝負を挑まれても負けない。
ボールコントロールも巧みで、強めのパスでもスッと思い通りの場所にボールを置き、相手DFが身体を寄せる間もなく素早くフィニッシュする。キックの種類も豊富で、威力のあるシュートでゴールネットを揺らすことがあれば、ボールのどこに触れればどうコースが変わるかを理解していて、ラストパスにワンタッチで合わせてやわらかくゴールへと流し込むプレイも多い。これはヘディングでも同じで、簡単に言えばハーランドは状況に応じたいくつもの得点パターンを持っている。
シティでは2022-23、23-24にプレミアリーグ得点王になった。今季も順調にゴールを重ねていて、20得点でゴールランキングの首位に立っている。圧巻だったのはノルウェー代表でのW杯欧州予選で、初戦から毎試合ゴールを積み重ね、8試合16得点という偉業を達成した。
数字が示すとおり、ハーランドの力はずば抜けている。当然、北中米W杯では得点王候補にあげられる。1試合で固め取りすることもあり、たとえ試合数が少なくても問題ない。W杯の個人による1試合最多得点は、1994年米国W杯でのオレグ・サレンコ(ロシア)の5得点だ。ハーランドがこの記録を更新してもなんの不思議もない。
アントワーヌ・セメンヨ(ガーナ代表/マンチェスター・シティ)は縦への突破力があり、「個」の力でチャンスを作れるし、自分でフィニッシュして得点もできる。昨季プレミアリーグで11得点、今季も前半戦を終えて10得点3アシストだった。多くのメガクラブが獲得を狙うなか、年明けに移籍金総額6400万ポンド(約135億円)でボーンマスからシティに加入した。
ボーンマスではチーム事情に応じて左右のウイングでプレイ。
ガーナ代表でも攻撃を引っ張る存在で、W杯アフリカ予選では全10試合に出場。6試合で左ウイング、4試合でトップを務めた。11月には日本代表と強化試合を行ったが、このときはキャプテンマークを巻いてプレイしており、オットー・アド監督からの信頼の厚さを感じさせた。このタイミングでシティへ完全移籍したセメンヨは、選手として充実している。良い状態で迎えるW杯でどんなパフォーマンスをみせるか、チェックが必要な選手のひとりだ。
開催国を支える2人 ライト&ブキャナン
CONCACAFネーションズリーグや今季のコヴェントリーでの活躍で注目度が高まっているライト Photo/Getty Images
ハジ・ライト(アメリカ代表/コヴェントリー)はLA出身の長身ストライカーで、今季チャンピオンシップで首位を走るコヴェントリーでトップを務め、8得点している。前線でターゲットになりつつ、サイドに流れてボールを受けることもできる。スペースがあればストライドの広いドリブルでグイグイと自分で仕掛けるのも持ち味で、カウンターを一人で仕上げることができる。
アメリカ代表では途中交代でピッチに立つことが多く、ゲームチェンジャーの役割を務める。前回カタールW杯も4試合に出場したが、3試合が途中出場だった。必然、プレイ時間は短くなるが、ラウンド16のオランダ戦で1得点している。
アメリカ代表を率いるマウリシオ・ポチェッティーノ監督が北中米W杯でどんな起用をしてくるか。先発でトップにいればターゲットになって攻撃をリードするし、途中から入ってくるとそのパワー&スピードは簡単には抑えられない。どちらにしても、ハジ・ライトはやっかいな選手だ。
タジョン・ブキャナン(カナダ代表/ビジャレアル)は2021年の代表デビューから主要な国際大会に必ず招集されてきたドリブルでボールを運べるウインガーで、26歳にして代表歴57試合という豊富な経験の持ち主だ。カタールW杯にも出場しており、グループステージ3試合にいずれも先発し、2戦目のクロアチア戦では立ち上がりに右サイドから正確なクロスをファーサイドに送り、アルフォンソ・デイビスのゴールをアシストしている(その後に逆転されて1-4で敗戦)。
ビジャレアルでも右ウイングを務め、ドリブルだけでなくショートパスも駆使して多くの得点にからんでチームをバルセロナ、レアル・マドリードに次ぐ3位に導いている。ブキャナンの良さが発揮されたのが2節ジローナ戦で、右サイドの深い位置までドリブルで抉ってニアサイドでぶち抜いて1点目。ゴール前にポジションを取り、左サイドからのクロスに合わせて2点目。後方から駆け上がって味方のラストパスを受け、PA内に侵入して右足を振り抜いて3点目。ラ・リーガで自身初のハットトリックを達成し、多彩な能力を示してみせた。
カナダ代表はまだW杯で勝利がなく、2大会出場で6敗となっている。
コンラッド・ライマー(オーストリア代表/バイエルン)は攻守に優れた能力を持つポリバレントな選手で、今季バイエルンでは左右のSBを中心に、攻撃的MFなどでプレイする。もともとは中盤の選手であり、インサイドハーフや守備的MFもハイレベルでこなす。ポリバレント中のポリバレントで、一人いるとものすごく選択肢が増える貴重な戦力だ。
オーストリア代表でも様々なポジションでプレイする。同国を指揮するラルフ・ラングニック監督は試合ごとにフォーメーション、選手の立ち位置を変えてくるが、欧州予選では全8試合を戦うなか、ライマーは実に5つのポジションでピッチに立っている。守備的MF、インサイドハーフ、攻撃的MF、右SB、左SBで、どれだけ組み合わせが変わってもライマーのパフォーマンスはもちろん、、チームとしての力が落ちないのがオーストリア代表だ。
28年ぶりのW杯出場となるが、北中米W杯では簡単に大会から去るようなことはないだろう。グループステージでは前回優勝のアルゼンチン代表と同居していて、2戦目に対戦する。このオーストリア×アルゼンチンは、グループステージのなかでも注目度が高い一戦になる。
グラニト・ジャカ(スイス代表/サンダーランド)は代表歴143試合を誇る“スイスの象徴”で、長くキャプテンを務めている。33歳となったいまも闘争心が身体全体から漂っていて、年齢を重ねても献身的な動きをみせる。
W杯でのプレイ経験も豊富だ。2014年のブラジルW杯から2018年ロシアW杯、2022年カタールW杯と連続出場し、いずれもグループステージ突破に貢献している。この3大会でスイス代表は全12試合を戦っているが、ジャカはすべてに先発している。ロシアW杯の初戦からはフル出場が続いていて、W杯は8試合連続フル出場中だ。
今季からプレイするサンダーランドでも元気な姿をみせている。21節を終えてフィールドプレイヤーで唯一の全試合出場で、しかもすべてキャプテンを務めて先発している。クラブでもスイス代表でも、ジャカは攻守に欠かせない存在だと言える。過去3回挑んだW杯は、いずれもラウンド16で敗れている。ジャカにとって4度目の出場となる北中米W杯は、この“壁”を超えることが目標になる。
エンディカは現代型CB シャイビは速攻の起点になる
現在はギリシャでゴールを量産中。
アユブ・エル・カービ(モロッコ代表/オリンピアコス)はハイペースでゴールを量産していて、今季ギリシャ・スーパーリーグで14試合12得点、CLでも6試合2得点だ。モロッコ代表でもネーションズカップで準々決勝を終えて5試合3得点でチームの準決勝進出に貢献している。いまの調子を維持して北中米W杯に臨んだなら、エル・カービも得点王候補にあげられる。
強さとやわらかさを併せ持つ左利きのストライカーで、とにかくシュートの意識が強い。ゴールに向かって半身の態勢でも自身が「打てる」と判断したら狙ってくる。この「打てる」の範囲が他選手よりも尋常ではなく広く、アクロバティックなオーバーヘッドやジャンピングボレーでクロスに合わせ、きっちりと枠内に飛ばしてくる。シュートのタイミングが読めないストライカーだ。
エヴァン・エンディカ(コートジボワール代表/ローマ)は身長192センチの左利きのCBで、U-16からU-21までフランスのアンダー代表でプレイしてきた。しかし、24歳のときに自身のルーツがあるコートジボワール代表を選択し、いまはレギュラーポジションをつかんでいる。ネーションズカップにも参戦し、5試合中4試合で先発フル出場している(準々決勝でエジプトに敗戦)。
エンディカはポジショニングや間合いを詰めるタイミングが絶妙で、長い足を伸ばしてボールを奪い取る。ドリブルやパスのコースがわかるのか、相手が動く方向、パスが出るところに素早く動いてマイボールにする。洞察力、観察力、予測力に優れているのだろう。最終ラインから飛び出して高い位置でボールを刈り取ることもあり、その流れで得点チャンスにつながる好パスを前線に配球する。
左利きの大型CBで、しっかりとボールを扱えて正確なパスを出せる。ビルドアップにも加われる現代型のCBで、北中米W杯ではコートジボワール代表の守備の要+攻撃の起点として活躍するだろう。
ファレス・シャイビ(アルジェリア代表/フランクフルト)はリヨンの下部組織からはじまり、トゥールーズを経て2023-24にフランクフルト入り。攻撃的MF、インサイドハーフを中心に、どのポジションで起用されても献身的に足を動かして強度高くプレイ。中盤でサポート役や黒子に徹するタイプではなく、積極的にゴール前へ飛び出して得点にからんできた。今季も1得点6アシストとなっている。
アルジェリア代表には2023年に20歳でデビュー。中盤でプレイすることが多かったが、ネーションズカップではおもに[4-2-3-1]の左ウイングで先発し、グループステージの赤道ギニア戦では1得点している。左サイドから相手最終ラインの裏に走ってスルーパスを受け、追いかけてきたDFを切り返しでかわして右足で決めたもので、右利きの左ウイングの特長を生かしたゴールだった。
北中米W杯ではアルゼンチン代表やノルウェー代表と対戦する難しいグループに入っている。しかし、堅守速攻はお手のもので、アルジェリア代表はしたたかにカウンターを狙っている。その起点、あるいは仕上げ役を務めるのが、走れて得点感覚もあるシャイビになる。
ナイム・スリティ(チュニジア代表/アル・シャマル)は日本代表が対戦するチュニジア代表で長くプレイしてきた33歳で、北中米W杯のピッチに立ったら3大会連続出場になる。おもに右ウイングを務め、昨年はキャプテンを務めた試合もあった。
中盤でボールを持てる高い技術力があり、視野も広くてチャンスにつながる効果的なパスを出せる。ボールコントロールに自信があるためプレイに迷いがなく、スリティがボールを持つとまわりが信頼して動くので攻撃のスイッチが入る。これまで代表で83試合14得点16アシストと多くのゴールにからんできた。ネーションズカップでは1試合に交代出場しただけだったが、ラウンド16敗退という結果を受けてチュニジア代表は監督を解任している。今後、後任がどんなチームを作ってくるか、スリティをどう起用してくるかはいまの段階ではわからない。どうなるにせよ、スリティがピッチにいるときは十分な警戒が必要だ。
文/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD313号、1月15日配信の記事より転載

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