アルテタとキャリックには現役時代のプレイに共通点がある Photo/Getty Images
MF出身の優れた指揮官は多い
プレミアリーグ第23節ではアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドの対決が注目される。ユナイテッドがマイケル・キャリック体制となって2戦目であり、先日のマンチェスター・ダービーでの勝利がまぐれではなかったことを見せたいところだ。
現役時代にともにプレミアリーグの名MFとしてならしたアーセナルのミケル・アルテタ監督とユナイテッドのキャリック監督だが、両者の現役時代のプレイスタイルは似ているところがあった。ゲームを落ち着かせ、試合の流れを読み、正確なパスを供給できるところなどだ。一方で爆発的なスピードを見せたりというタイプではなかった。
その対決を前に、『The Athletic』は面白い分析をしている。トップレベルの監督になるためには「足の遅いMF」であったことが条件になるかもしれないという。今季のプレミアリーグで指揮をとった27人の監督のうち、14人がMFであり、しかも大半が守備的な選手だった。11人が元DFで、センターバックが5人、サイドバックが6人。GKはヌーノ・エスピリト・サントのみ。CFはダニ・ファルケだけだ。
この分析にはある程度の裏付けがある。おそらくピッチ上の誰よりも、セントラルMFは試合の戦術的理解を深めなければならないからだ。DFは本質的にリアクティブなプレイを行う。
さらに面白いのは、MFのなかでも守備的で、足の遅いタイプが監督として成功を収めているという点が指摘されていることだ。アルテタもキャリックのみならず、まず思い出されるのはマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラだ。ペップもスピードには乏しく、その戦術眼とパスの技術で成功したプレイヤーだった。
ペップの選手としての成功にはほど遠いが、リヴァプールのアルネ・スロットもそのタイプだ。かつてスロットは『BBC』に、「そんなに速くなかった」「走り続けるのも得意ではなかった」と明かしたことがある。国外に目を向けると、先日レアル・マドリードを退いたシャビ・アロンソもスピードに頼らないタイプだ。
「足が遅い」という言い方に語弊があるとするならば、「機動力に頼らずパスで違いを生み出す選手」と表現してもいいかもしれない。12-13シーズンにパスの統計において、もっともパスを成功させていた3人のうち2人がアルテタとキャリックでだったことも同メディアは指摘している。ちなみにもう1人がシティのヤヤ・トゥレで、彼は現在サウジアラビア代表のアシスタントコーチとして指導者キャリアをスタートさせているという事実も興味深い。
おそらく現役時代にセントラルMFであったことが監督のキャリアにプラスをもたらすという側面は大いにあると思われ、「足が遅い」という条件を排除するとアントニオ・コンテ、ディディエ・デシャン、ニコ・コバチ、ハンジ・フリック、ルイス・エンリケ、そしてセスク・ファブレガスなど多くの優れた指揮官が当てはまる。現役時代から頭を使ってゲームの流れを読もうとしてきた彼らが、指揮官としての優れた資質も備えるようになっていったと見るのは間違いではないだろう。

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