鈴木優磨&伊藤達哉も在籍 日本との懸け橋になっている
優勝&CL出場を狙えるSTVV。いよいよ花開いた印象がある Photo/Getty Images
ジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー)でシント・トロイデン(以下STVV)の快進撃が続いていて、28節を終了して3位となっています。1位とは勝ち点3差、2位とは同勝ち点で並んでいるので、残り2節の結果次第では上位6チームで争うプレイオフ1を首位で迎える可能性があります。
日本企業による買収からはじまったクラブ運営が、ようやく花開いた印象です。STVVは当初から日本人選手の獲得に積極的で、このクラブをスタートに成長を遂げた選手が数多くいます。遠藤航、冨安健洋、鎌田大地、鈴木彩艶、藤田譲瑠チマ……。みんなここをスタートに5大リーグへと羽ばたいていきました。
若い選手だけではないですね。香川真司、岡崎慎司のように、欧州でもう一花咲かせようというケースもありました。現在プレイする谷口彰悟も33歳で加入しています。J1の長崎と業務提携を結んでいるし、BSで応援番組も放送されています。いまさらな言い方になりますが、とても馴染みがあるクラブで日本でもサポーターが増えています。
もうひとつの側面として、ここで経験を積んだ選手がその後にJリーグに戻ってきて活躍するというケースもあります。鈴木優磨は加入初年度に7得点、2年目に17得点しています。
伊藤達哉はハンブルガーSV→STVV→マグデブルクという経歴を持つ選手で、昨季から川崎でプレイして“違い”をみせています。鈴木優磨、伊藤達哉ともに、いまでは鹿島、川崎に欠かせない選手になっています。要は、選手自身がどう感じて、どう次へつなげるかが大事なのだと思います。チャレンジできる場として、経験を積める場として、STVVは重要な役目を果たしてくれています。
これはスタッフにも当てはまることです。アカデミーも含めて、数名の日本人スタッフが働いています。ここを出発点として、指導者にも5大リーグへと羽ばたいてほしいです。日本とベルギー、日本と欧州の架け橋のようなクラブで、こうした活動が日本サッカーの発展にもつながるのは間違いありません。
育てた選手で利益を得る 参考になる理想のクラブ
技術力が高い伊藤は中盤で違いをみせている Photo/Getty Images
今季のすべての試合をチェックしているわけではありませんが、シーズン序盤は伊藤涼太郎の連続ゴールなどもあり好スタートを切りました。ただ、どうしても下位に沈んだ昨季の印象があり、正直なところ「いつかは落ちてくるかな」と思っていました。実際、少し前までは個人に頼るサッカーをしていました。
いまは違いますね。各選手が攻守に連動するボールを持つサッカーができています。前線ではボールを収めることができる1トップの後藤啓介が攻撃の基点になっています。その下のポジションでは伊藤涼太郎が違いを作り、両サイドにはスピードがあって状況を打開できる選手がいます。これらの選手を含むピッチに立つ選手全員が連係・連動することで厚みが生まれていて、攻守ともに繋がりがあります。
結果としてどこからでも得点できていて、後藤啓介が二桁に乗せて10得点、伊藤涼太郎が7点、山本理仁も5得点となっています。今季はホントにチャンスだと思います。クラブ史上初のリーグ優勝、CL出場権獲得の大きなチャンスを迎えています。
現在、STVVは立石敬之さんがCEOを務めていますが、私はベルマーレ平塚時代に一緒だったときがあります。うまくチームを作っていますね。ファン・サポーターにとっては、うれしい驚きなのではないでしょうか。優勝を狙えるところにいるので、このチャンスをぜひ生かしてほしいです。
日本人選手が多いことで、以前は地元の方々がどんな気持ちでいるのか心配していることもありました。しかし、育成をベースに足りないところに日本人を組み込んでおり、 Win-Win の関係が成立しています。小さな街の地域密着型のクラブであり、ファン・サポーターとの一体感もあって参考になる理想のチーム作りができていると思います。
育成した選手、獲得した選手が活躍し、他クラブへ移籍していく。そうやって利益を得ているクラブで、私はJリーグのなかでは水戸に似たものを感じています。水戸も若手が成長できるクラブで、直近の齋藤俊輔など多くの選手を他クラブへ送り出しています。規模は小さいですが、若い人を育てて送り出すをうまく繰り返しています。いまでは「水戸に行きたい」という若手も増えています。
STVVも日本人選手から「行きたい」と思えるクラブになってきています。今季はCL出場権の獲得も視野に入っており、間違いなく、地元はいま最高に盛り上がっていると思います。
構成/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD315号、3月15日配信の記事より転載

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