埼玉少女監禁事件で逮捕された寺内樺風容疑者の動機が次々と明らかになっている。

 寺内容疑者は2014年3月、埼玉県朝霞市に住む当時13歳だった少女を車で拉致。

たどり着いたのは、彼が通う千葉大学に隣接する3階立てアパートの一室で、そこから2年に及ぶ“監禁生活”がスタートした。

 寺内容疑者は警察の取り調べに対し、「中学時代から誘拐願望があった」と供述。車で何度も現場を下見に行ったり、下校中の少女をつけ回したりするなど、異常な執着を感じさせる供述を行ったという。中学時代からため込んでいた誘拐欲求がついに爆発したと言えるが、専門家いわく「裏を返せば、中学以降しばらくは誘拐願望を押さえ込むことはできた。それが2年前のあのタイミングで制御できなくなったのには、何らかの理由があるはずだ」と話す。

 その理由として、気になるのは留学時代だろう。同容疑者は千葉大を1年間休学し、2012年10月から翌13年9月までカナダに留学。語学勉強と小型航空機の操縦免許取得が目的だったそうだが、帰国と同時に誘拐実現に向けて一気に動き始めている。

「留学前は1人暮らしだったが、帰国して借りたアパートは2つ部屋のある2Kの物件。その時点で誘拐計画が頭にあったのかもしれない」(捜査関係者)

 寺内容疑者を“覚醒”させたのが、謎の留学時代だとするならば、そこで何があったのか?の

 社会部記者が明かす。「調べてみると、留学中の13年5月に米国を震撼させたクリーブランド監禁事件が発覚、解決しています。現地のテレビでは連日おぞましい犯行内容が放送され、衝撃を与えました。
彼もそれを目にした可能性があります」。

■クリーブランド監禁事件とは?

 同事件は労働者階級が多く住むオハイオ州クリーブランド市西部で起きた。2002年から04年にわたり、女性3人が次々と失踪。約10年後、行方不明となっていた女性3人が警察に保護され、自宅で監禁していた元スクールバス運転手のアリエル・カストロ容疑者が逮捕された。その後、被害女性から語られたのは、地獄の日々――。

 地元警察当局の調べなどによると、カストロ容疑者は被害者のひとり、ミシェル・ナイトさんを繰り返し強姦し、5回妊娠させた。だが、妊娠がわかると同容疑者はナイトさんの腹部を蹴ったり、食事を与えないなどの虐待を加え、いずれも死産させていたという。

 検察はこの死産を殺人罪として扱っている。カストロ容疑者は普段は大人しく、趣味はクルマいじり。サルサバンドではベースを弾いていた。しかし同容疑者には凶暴な二面性があり、身内からは「モンスター」と呼ばれ、元妻を階段から突き落としたり、鼻を骨折させたり、肩を脱臼させるなどの暴行を日常的に加えていた。段ボール箱に詰めてフタを閉じることもあったという。


 元妻は1996年に別居を始めるが、同容疑者はその間も電話で「ボコボコに殴って殺す」と脅し続け、養育権がないにもかかわらず、度々娘たちを連れ去ったという。元妻はその後48歳の若さで死去。死因は脳腫瘍だったが、2005年に起こした家庭内暴力の訴状には「カストロの暴行のせいで脳血栓ができている」と述べていた。

「こんなモンスターと10年に渡り生活していた3人の女性は地獄でしかない。監禁当初は鎖で全身を繋がれていたという。彼の自宅には扉がいくつもあり、それぞれが重く、内側から開けられないよう南京錠がついていた。寺内容疑者も千葉のアパートには南京錠をつけていた。共通点は多い」(事情通)

 事件発覚の経緯も似通っている。寺内容疑者は今年2月、千葉の部屋を引き払い、就職先に近い東京・東中野のアパートに引越した。その部屋には外鍵は付いておらず、先月27日に同容疑者が外出したところを見計らい少女は脱出、保護された。カストロ容疑者もある日、気の緩みからか、重い扉に南京錠をかけるのを忘れたままマクドナルドに食事へ出かけたことで、女性が逃げ出し、事件が発覚した。

 臨床心理士の男性は、「犯人と女性との間には絶対的な主従関係があり、犯人はまさか逃げ出すとは思わなかっただろう。
これは女性たちが絶望的ななかでも脱出する機会をうかがっていたことに尽きる」と話す。今後の教訓にするしかない――。

※画像:『YouTube』 ANNnewsCHより

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