人はなぜ同性愛者になるのだろうか? そのメカニズムはまだ解明されていない。だが自然界に目を向ければ、動物の同性愛行動は広く確認されている。

今回は、オス同士による恋が70パーセントを超えるというデータもある「キリン」をメインに、動物界の同性愛事情について見てみよう。

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■キリンのまつ毛はオネエ系!?

 人気バラエティ番組『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、「キリンが行う交尾の9割はオス同士」という衝撃の事実が明かされた。だが、動物好きの間ではすでによく知られた話である。

 獣医の北澤先生によると、「キリンのオス同士は、メスをめぐって激しいケンカをします。長い首をムチのようにしならせながら激しく振り、相手にガンガンぶつけます。ですが、その戦いに決着がつかないと、そのオス同士がイチャイチャしはじめるのです。その同性愛行為は口づけを交わしたり、お互いに首をやさしく舐め合ったりとなかなか濃厚。最終的には、メスと行うような交尾体制になることもあるのです!」とのこと。

 これは、オス同士で戦っているうちに、ケンカの興奮を性的な興奮と錯覚するため、オス同士で交尾してしまうのではないかという話。ちなみに、キリンの場合、肉食獣に狙われやすい草食獣なので、交尾の間も気が抜けない。そのため、オスとメスで行う通常の交尾もほんの一瞬で終了。動物界でも一、二位を争う早さなのだとか。


 キリンといえば、黒目がちの大きな瞳が印象的。それ以上に、憂いを帯びたような長いまつ毛が色っぽい。これはまさか、異性(いや同性……?)を誘惑するためのものでしょうか?

「キリンのまつ毛は、紫外線やホコリから目を守るために発達したものです。高いところの草を食べるために首が伸びると、日差しが目を直撃しやすくなるから、あのように長いまつ毛が必要になったのでしょうね」と北澤先生。

「まさか、性的なアピールをするものではありませんよ。でも、とっても魅力的な目をしています。なんだか、きれいに着飾ってバッチリアイメイクの2丁目のオネエ様方を連想させますよね!?」

 またこれは飼育員や獣医師にしか体験できないことであるが、キリンの舌は非常にやわらかく、ネットリとからみつくような動きをするらしい。そんな舌使いでオス同士舐め合うなんて……キリンBLの世界はかくも官能的なのである。

■動物たちのリアルな同性愛

 キリン以外にも、同性愛行動が盛んな動物は意外と存在する。その例をいくつかみてみよう。

・ オオカミ
 上位のオスが、下位のオスをメス役に見立て、背後から乗りかかって腰を振る。この疑似交尾は「マウント」と呼ばれ、群れで暮らす動物が順位を確認するために行うものといわれている。
この行為のとき、上になったオスはメス役の体に性器をこすりつけたり、肛門に挿入したりして射精に至ることもあるという。

・ イルカ
 水槽の中で、オス同士が性器を相手の腹にこすりつけ合うなどの同性愛行動がしばしば目撃されている。自然界では、群れの中で力のあるボスがメスを独占するため、あぶれたオス同士でこのような行動に至るケースが多々あるという。

・ ピグミーチンパンジー
 小型のチンパンジーだが、性に対して非常に貪欲。同性愛行動も盛んに行われている。

・ マンガベー
 発情期を迎えたメス同士で、性器に指を挿入し合うようすが確認されている。

・ タツノオトシゴ
 オスが妊娠するという珍しい習性がある。メスはオスの育児嚢(子どもを保護し、栄養を与えて育てるための袋のようなもの)に卵を生み、オスがそこに入れて育てる。タツノオトシゴ男子は「男性妊娠」を先取り中!

 このように、自然界には不思議な性と生殖の実態がある。人間を含む生命の営みとは、不可解なこともありながら神秘的で興味深い世界なのだ。
(文=木村悦子)

※イメージ画像:「Thinkstock」より

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