夢の中で、自分は今夢を見ているのだと気がついた経験はあるだろうか? そのような夢を「明晰夢」といい、慣れれば夢の内容を自由自在に操作できるといわれている。望むように夢を見られるというだけでも楽しそうだが、明晰夢には精神の健康や安定にも役立つという利点まであるという。

高確率で明晰夢を見られるようになる方法が見つかったと心理学者が発表し、話題となっている。


■明晰夢を見るには?

 明晰夢を見るテクニックを発表したのは、オーストラリア・アデレード大学心理学部のデンホルム・アスピー氏だ。明晰夢を見られるようになるという手法はこれまでにもいくつか発表されているが、今回アスピー氏はそれらの有効性を実験で検証した。テストされた手法は以下の三つで、睡眠中の目に光を当てるアイマスク型装置などの特別な機械が不要な手法が選ばれている。

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1. 一日に何度か自分の状態や周囲の環境をチェックし、夢を見ているのかそうでないかを確かめる。普段から夢か現実かをチェックする癖をつけて、夢の中でこれは夢だと気付きやすくする手法。

2. 就寝後5時間で一度起きて、ほんの短時間だけ覚醒状態を保ち、それから再び眠る。これではっきりした夢を見やすいREM睡眠の状態に入りやすくなる。

3. 就寝後5時間で一度起きて、ほんの短時間だけ覚醒状態を保つ。そして、再び眠る前に「次に夢を見たとき、私は自分が夢を見ていると思い出す」と繰り返し唱え、明晰夢を見る自分を強くイメージする。MIND(Mnemonic Induction of Lucid Dreams)と呼ばれる手法。


■最良の方法は?

 実験の結果、47人の被験者のうち、8人(17%)がたった1週間で明晰夢を見ることに成功したという。
とりわけ効果が高かったのは3の手法で、5時間後に一度起きてから5分以内にMINDを終え、再び眠った人々の22人(46%)が明晰夢を見たという。また、明晰夢を見ても睡眠の質の悪化や睡眠不足にはならないという。論文は専門誌「Dreaming」に掲載された。

 アスピー氏いわく、明晰夢を見るには「自分は夢を覚えている」という強い意思を持つことが重要だと述べている。今回の結果はさらに効果的な手法の開発に役立つとみられる。

 オカルトやスピリチュアルの分野で語られることの多い明晰夢であるが、科学的な研究はまだ始まったばかりなのだ。
(吉井いつき)

※イメージ画像は、「Thinkstock」より

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