7月17日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「長期金利がおよそ17年ぶりの高水準、私たちの生活にどんな影響?」。
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◆長期金利がおよそ17年ぶりの高水準
7月15日の債券市場で、国債を売る動きが強まりました。「日本相互証券」によりますと、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りが、1.595%まで上昇し、リーマンショック直後の2008年10月以来、およそ17年ぶりの高い水準となりました。
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照英:塚越さん、まず、なぜ10年ものの国債が注目されるのでしょうか?
塚越:10年ものの国債は、一般に「長期金利」の代表とされていて、住宅ローンや企業の借入金利、生命保険の運用利回りなど、さまざまな金融商品に影響します。
10年ものの国債は財務省が定期的に発行するのですが、(このタイミングで)売られている理由は、保険会社や銀行などが、市場で持っていた国債を手放しているという側面があります。国債はこうして売ったり、それを買ったりする人も多いので、市場の心理がよく反映されるものです。そのため、この10年ものの国債は市場の基準、要は「経済の温度計」とみられることが多く、政府や日銀、メディアも注目しています。
また10年ものの国債の利回りは、市場経済や金融政策、インフレ動向、海外の動向などが要因で変化するのですが、国債が売られると、これを新たに買ってもらおうとして高い利回りをつけようとします。今回のように長期金利が上昇しているということです。
吉田:今回、17年ぶりの高い水準になりましたが、長期金利は、今までどのように変動してきましたか?
塚越:若い人はびっくりすると思いますが、バブル期は6%を超える水準でした。銀行の定期預金も5~6%ありました。
照英:今回、なぜ国債が売られて、長期金利が上昇したのでしょうか?
塚越:いろいろな要素がありますが、大きいところを2つあげると、1つは今回の参議院選挙で減税や給付拡大といった拡張的財政政策が掲げられていることです。国債の発行が増えて財政が悪化するのか? という懸念から国債が売られているんじゃないかということです。
もう1つは海外の要因で、特にアメリカのトランプ関税です。関税が発動するとアメリカに入ってくるものの値段が上がるので、アメリカ国内がインフレになるとみられています。すると、アメリカの国債の金利も上昇する可能性もあります。トランプ氏は反対していますが、多分上がるだろうと(いう予測が広がっています)。そうすると、日米の金利差の拡大といった要因から、日本もつられて金利が上がっているとも考えられています。
◆私たちの生活への影響は?
吉田:長期金利の上昇は、私たちの生活にどんな影響がありますか?
塚越:まずメリットとして考えられるのは、資産が増えることです。
照英:でも、良いことばかりではないのですよね?
塚越:そうですね。メリットもあれば、デメリットもあります。
デメリットとしては、ローンの返済額が増えるということです。特に変動金利型などはローンの返済額が増えるので負担になりますし、新規に住宅を購入する場合、固定金利も上がります。住宅以外にも教育ローンや自動車ローンも金利は上がりますし、そうすると消費が冷え込む傾向も出てきます。
身近なところだと大家さんの賃貸経営にも金利の影響が出るので、賃貸に住んでいる人も更新料の引き上げ、家賃引き上げの可能性もあります。都市部では、ただでさえ(家賃を含めた生活コストが)上がっているので、辛いところですね。
企業も調達コストが増えるので、投資を控えたり、給料や雇用といった人件費にも影響が出てきたりする可能性があります。「金利が上昇しても私には関係ない」と思っている方にも、実は関わってきます。しかも、日本だけでなく世界の動きも関連してくるということです。
照英:塚越さんは、今回の長期金利の上昇、どう見られていますか?
塚越:いろいろな動きがあると思いますが、金利が長期的に上がっていくというのは今年の頭から言われていました。しかも昔に比べると、これまでずっと低かったので、上がっていくということは、ある程度、前提に考えるべきなのかなと思います。資産運用やローンの見直しなど、個人で見直しをできる部分は各自でチェックして、生活防衛をしていくことが大事だと思います。
照英:プラスなことがたくさん増えてくれば嬉しいですよね。

吉田明世、塚越健司さん、照英さん
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ・吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
番組公式X:@ONEMORNING_1