テーマは、公的調査で明らかになった小・中学生の「学力大幅低下」。
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◆小中学生の学力大幅低下のニュースに、さまざまな声
7月末に公表された文部科学省がおこなった2024年度の「経年変化分析調査」の結果では、2021年度に比べて全教科で成績が下がり、特に小学6年生の算数、中学3年生の英語で大幅な低下が見られました。
専門家は、新型コロナウイルス感染症による学習機会の減少や、家庭の経済状況、スマートフォンなどのデジタル環境の影響を背景に指摘。特に、ゲームやスマホの利用時間が長いほど、勉強時間が減り、学力スコアが低下するという相関関係も明らかになっています。
この結果に対し、SNSやネット上では、「日頃感じていたことだ」という共感の声から、「親として考えさせられる」という内省的な意見、「スマホとタブレットの影響が大きい」など、子どもの生活様式の変化を指摘するコメントも多く見られました。
◆「今の子どもは“楽しすぎる”」!? 大人世代の“違和感”
SNSではまず、“現在の教育”への不安を指摘する声が目立ちました。
●「一言で言うと、今の子どもの生活は、毎日が『楽しすぎる』のだと思います。部活動はしない、放課後、休日はゲーム、スマホ三昧。だから勉強や学校など苦痛との落差が大きすぎて、やりたくなくなってしまうのかな」
●「スマホとタブレットの影響が大きいのかも? 音読も昔よりしない、やはり紙に書いて漢字を覚えたり算数を解いたりした方が記憶に残ると思います」
一方で、「『GIGAスクール構想(ギガスクール構想)』(※2019年に開始された、全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み)の失敗」と、学校でのデジタル端末導入に疑問を呈する声もありました。
◆「成績にこだわらない親」が6割越え!? その複雑な胸の内、リアルな声も続々
さらに注目を集めたのが、保護者への調査結果です。「子どもが学校生活を楽しんでいれば、良い成績にはこだわらない」という保護者が、小学6年生でおよそ6割、中学3年生でも5割を超えるという結果が出ており、前回調査から5~6ポイント増加していました。
文部科学省の担当者は、不登校増加による「日々を楽しく過ごすことへの重点化」や、コロナ禍で経済的に苦しい世帯の増加による「成績にまで気にかける余裕のなさ」を可能性として挙げています。
この「成績にこだわらない親」の増加についても、さまざまな視点からのコメントが寄せられました。
◆「個性の尊重」と「生きる力」重視
まず紹介するのは、高学歴偏重ではない価値観の多様化を歓迎する意見です。
●「個性重視に移行しつつあった教育を受けた世代が親となり、『個性を生かして楽しく人生送れたらいいよね』って思う人の割合が単純に増えている面もあると思います」
●「トントン拍子に決まった就職先がブラックで病んでしまう可能性もあります。勉強は可能性を広げる1つの手段ではありますが、今はその子のやりたいことや、合っているものを応援する流れだと感じます」
●「うちの子はかなり偏差値の低い高校に入りましたが、子どものやりたいことに当てはまっていたので、高校生ながらも国家資格を取得して卒業後の就職に向けて頑張っています。子どもがしたいことを優先したほうが先のことを考えたときに、仕事して自立した生活ができていれば上出来じゃないか」
◆「余裕のなさ」と「将来の不安」
一方で、親世代の経済的な事情や、競争社会への諦念を背景に指摘する意見も多く寄せられました。
●「今の親世代はいわゆる氷河期世代。一生懸命勉強して、いい大学に入っても、いい就職に結びつかなかった経験がある。(中略)こんな現実で、我が子に必死に勉強させる意味が見出せないのでは」
●「共働きで乳幼児から保育園、預かり保育、学童……と子を預けてきている。私は子どもに負い目が有る。自分が自宅に居るときは、のんびりさせてあげたくて勉強勉強とは言っていない」
●「親がもう少し子どもに構える余裕がある社会だといいなと願っている」。また、学力自体は重要であると考える親も多く、「学校には期待せず、家庭学習で対応し、成績は維持できている」といった、学校教育への限界を指摘する声も見られました。
◆逃げ続ければ「ツケがくる」? 親が伝えるべき「学ぶ姿勢」
成績にこだわらない親が増える一方で、「それでも基礎学力や勉強する力は必要だ」と将来への警鐘を鳴らす意見も目立ちました。
●「学ぶとは学ぶ姿勢で本当に変わる。(中略)ただ逃げている人とそうではない人の差は人生に於いて後にツケとして自分を襲う。時に逃げるのはいい。ただ自分が楽なほうに逃げ続けると一生追われる」
●「社会人になると学校の勉強そのものは、あまり関係がなくなりますが、社会人基礎力は学校で学んだ様々なことが基礎となります」
●「(大学の)入社試験にSPIがある場合が多いのですが、これって高校生程度までの学力がそれなりに無いと解けないんですよね」
専門家は、「経済的な余裕がないと、そもそも家庭でのコミュニケーションができない」ことが、子どものスマホの使いすぎや勉強習慣の低下につながり、結果的に経済の問題が学力低下の背景に大きく関係していると分析しています。
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「成績にこだわらない親」の増加は、親の世代が抱える経済的な困難や、社会の競争疲れ、そして子どもの個性を尊重したいという願いなど、複雑な要因が絡み合った結果と言えそうです。子どもたちの未来のため、社会全体で家庭へのサポートを見直す必要がありそうです。
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ・吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
番組公式X:@ONEMORNING_1