笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
4月4日(土)の放送は、先週に引き続き株式会社dTosh 代表取締役の平尾俊貴(ひらお・としき)さんが登場。AIエージェントとフィジカルAIの活用について話を伺いました。

「AIエージェント」「フィジカルAI」がもたらす未来とは?株...の画像はこちら >>

(左から)平尾俊貴さん、笹川友里


平尾俊貴さんは、奈良先端科学技術大学院大学で博士(工学)を取得し、カナダのマギル大学でAIソフトウェア品質管理に関する先端研究を主導。その後、世界4大産業用ロボットメーカー・ABBグループの米国研究所でAI研究に従事し、グローバルな産学連携プロジェクトを経験。帰国後は奈良先端科学技術大学院大学の特任助教に就任。2020年に大学発AI企業・株式会社dToshを創業。現在は、学術と実務の両面からAIビジネスの導入、活用を支援しています。

◆「AIエージェント」によってどう変わる?

今回は、いま注目の「AIエージェント」について伺います。AIエージェントとは、複数の作業を“線”で捉えて、人間に代わってAIが自動で実行する仕組みです。平尾さんによると、既にAIエージェントは技術として徐々に普及してきており、世間にも広がりつつある段階だと言います。

こうしたAIエージェントを実現するツールの1つとして平尾さんが挙げたのが、海外発の「n8n」です。dToshは、世界的に注目されるこのAIエージェントツールの公認クリエイターとして、日本初の営業自動化に特化したAIエージェントを発表しています。


ちなみに、AIクリエイターとは、AIを使ったワークフロー(業務についての一連の流れ)を組み立てる人のことです。「AIのワークフローは、パズルを組み合わせるようにノーコード(プログラムのコード書き不要の開発手法)・ローコード(一部の機能だけコードを記述する仕組み)で組めるんですよ。一度その仕組みを作ってしまえば、AIに全然詳しくない人でも、ボタンをポチって押すだけで、すべて自動で完了します」と平尾さん。基本さえ理解すれば専門知識がない方でもできるサービスではあるものの、ワークフローが複雑で煩雑になればなるほど、それなりの技術力が必要になってきます。

そのなかで、平尾さんは「n8n」の使い心地について、「『使いやすい』という方もいますし、『ちょっと難しいな』という方がいらっしゃるのも事実です。ただ、別に皆さんがプログラマーになる必要はないので、少なくとも、こういうツールがあるんだなっていうことだけでもつかんでおいてほしい」と強調します。

というのも、これまでシステム開発といえば、大勢のエンジニアを動かし、そのために数千万円、数億円といった巨額のコストがかかるケースもありましたが、「『n8n』のようなツールを活用すれば、1アカウント(月額)数千円とかで利用できますので、中小企業でも十分に(AIやシステムを)導入できる時代になっています」と力を込めます。

◆医療の進化の鍵を握る?「フィジカルAI」の可能性

近年、AIの進化は新たな段階へと移りつつあります。そのなかでも注目されているのが「フィジカルAI」です。フィジカルAIとは、現実の世界でAIが思考・判断し、自律的に動くシステム”のことを指し、介護や工場などさまざまな現場で、人と同じように動くロボットの活用が進み始めています。

この背景について、「数年前に『ChatGPT』が台頭してきましたが、これってソフト(ウェア)じゃないですか。『ソフトは使いにくい』って感じる人もやっぱり多いんですよね。
そこで、より使いやすくするために、人間のように動くロボットへの注目が高まっています。今、まさに(開発の流れは従来の)ソフトからハード(の時代)へとシフトしています」と言及します。

さらには、「この先の研究で言われていることとしては、ソフト、ハードときたら、最後は『人体』なんですね」と平尾さん。海外では既に、人の脳にAIチップを埋め込み、脳が発する“こうしたい”という信号をAIが読み取って、手が動かなくてもコンピューター上で文字入力ができる、といった研究も進められているそうです。

こうした話を聞くと、「怖い」という感情を抱く人も少なくありません。実際、倫理的な観点から議論に発展することも多く、「どこまで許されるのか」という問いは避けて通れません。

しかし、平尾さんはもちろんポジティブな面もあるとし、「例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、脳で“こう動かしたい”と思っても筋肉が動かない病気ですが、(脳に埋め込んだ)AIチップによって脳の合図を読み取ることで、そのまま(自分の手足のように)コンピューターを操作することができる、といった手段にもなりえます」と語ります。

これを聞いた笹川も「体の制約がある方にとってはものすごく希望の湧く研究分野なんですね」と納得。今後も医療という巨大な市場とAIという成長分野が組み合わさることで、その規模はさらに拡大していくと考えられています。

改めて、平尾さんは「ソフト、ハード、最後は人体っていう流れは確実に来ています。ただ、これもポジティブな側面もあればネガティブな側面もあるので、そこを正しく使い分けることが、リテラシーとしても重要であると思います」と話していました。

次回4月11日(土)の放送は、日本電気株式会社・NECの執行役 副社長 兼COO テクノロジー&イノベーション担当 吉崎敏文さんをゲストに迎えてお届けします。
今の日本企業のDX事情についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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