(左から)加藤一郎所長、黒坂知絵准教授、浅川希洋志教授、西沢邦浩さん
◆そもそも「フロー状態」とは何か?
伊藤園中央研究所は、2025年8月に産業医科大学および公立千歳科学技術大学の研究チームと共同で、「緑茶飲料の飲用が速やかに作業成績とフロー体験(特に没入感)を高める」とする研究結果を発表しています。11回目となる本フォーラムのテーマは「AI時代到来 フロー状態がもたらすヒトの新たな可能性」。最新の研究から見えてきたのは、日本人に馴染み深い「お茶」が、私たちがゾーンに入るための強力なサポーターになるという驚きの可能性でした。
皆さんは、仕事や趣味に没頭して、気づけば数時間が経過していた……という経験はありませんか? この「時間を忘れるほどの深い没入感」を、心理学では「フロー状態」と呼びます。
フロー状態に入ると、生産性や満足感が劇的に高まるとされています。その発生条件の一つは、「自分の能力」と「課題の難易度」が高い水準で釣り合っていること。本フォーラムでは、この「フロー」と「お茶」の相関について、各分野のエキスパートによる知見が共有されました。
◆フロー経験と「生きている実感」
最初の講演には、日本におけるフロー研究の第一人者である法政大学 大学院の浅川希洋志教授が登壇しました。浅川教授によると、フロー経験の特徴として、「活動への強い集中」「行為と意識の融合感覚」「失敗への不安からの解放」「内省的自意識の消失」「時間感覚のゆがみ」「行為自体が自己目的的になること」などを挙げます。
さらには、人間の情報処理能力には限りがあり、1秒間に約126ビット程度だといいます。フロー状態とは、この限られたエネルギーを目の前の活動に一点集中させることで、不安や雑念、自意識さえも意識の外へ追い出した状態を指します。
このフロー体験を深めるための鍵は2つ。
浅川希洋志教授 基調講演の様子
◆緑茶とフロー体験の関係性
続いて、産業医科大学の黒坂知絵准教授が、より具体的な「緑茶とフローの関係」についての最新研究を発表しました。
黒坂准教授は、主観的なデータだけでなく、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスという客観的な指標を用いて実験をおこないました。日本茶が人体へ与える影響を検証するため、被験者に「白湯」「緑茶」「ほうじ茶」をそれぞれ飲んでもらい、暗算作業などのパフォーマンスを比較したのです。
その結果、非常に興味深い事実が明らかになりました。まずほうじ茶には「作業成績の向上」と「集中力の維持」が見られ、白湯に比べ(ほうじ茶を飲んだ場合に)計算の成績がアップし、作業中の「中だるみ」が見られなくなりました。
また、緑茶やほうじ茶を飲むことで、作業による「眠気」「だるさ」「不快感」といった疲労指標の上昇も抑えられました。黒坂准教授は、「フローに入りやすい心身の状態を整えるための環境整備が有効である」と結論づけました。
黒坂知絵准教授 基調講演の様子
◆才能を伸ばし、心を整える「お茶」の未来
フォーラム後半では、「フロー状態がもたらすヒトの新たな可能性」をテーマにパネルディスカッションを実施。浅川教授、黒坂准教授、伊藤園中央研究所の加藤一郎所長が登壇し、おいしい健康ラボ所長の西沢邦浩氏がモデレーターを務めました。
浅川教授は、子どもの頃の教育現場におけるフローの重要性を指摘します。「『できた!』という成功体験と、『もう少し難しいことに挑戦してみよう』というサイクルのなかでフローを経験し、成功したらそれを「周囲が褒めてあげる」。このプロセスこそが、子どもが目標に向かう力を育んでいくといいます。
また、黒坂准教授は、フローはアスリートやアーティストだけのものではなく、一般の人でも得られるものだということを強調しました。「論文が書けない……というときでも、何かをきっかけに一気に集中が高まることがあります。『自分はうまくいく』と自己暗示をかけることも重要」だと述べました。
伊藤園中央研究所の加藤一郎所長は、今後の研究の展望を次のように語ります。「これまではカテキンやテアニンといった成分の研究が主でしたが、今後は『お茶の香り』や『人とのコミュニケーション』といった、心を整える側面についても研究を深めていきたい」とコメント。若年層がお茶を飲むという事実は変わっていないとし、その価値を改めて発信していきたいと未来を見据えます。
AIが身近になった今だからこそ、人間が本来持つ「没頭する力」の価値は高まっています。私たちの心と体を整え、フロー状態への入り口を作ってくれる日本茶。その可能性は、私たちが思っている以上に広がっているようです。
パネルディスカッションの様子
■<フォーラム概要>■
「第 11 回 伊藤園ウェルネスフォーラム」
テーマ:AI 時代到来 フロー状態がもたらすヒトの新たな可能性
開催日時:2026 年2月16日(月)
登壇者:浅川希洋志 / 法政大学 国際文化学部 教授(大学院 国際文化研究科兼任)
黒坂知絵 / 産業医科大学 産業保健学部 人間情報科学 准教授
西沢邦浩 / おいしい健康ラボ所長(日経BP総合研究所 客員研究員)
加藤一郎 / 株式会社伊藤園 中央研究所長
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