作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。
3月29日(日)の放送は「村上RADIO~ジャズで聴くクラシック音楽~」をオンエア。
今回の放送は、ショパンとバッハを中心に、クラシック音楽をジャズアレンジで聴く、村上RADIOならではの特集。村上さんが選んだ、とっておきの「ジャズ+クラシック」をお届けしました。
この記事では、中盤3曲について語ったパートを紹介します。

村上春樹「人生は意外と短い、『え、もうゲームオーバー?』とな...の画像はこちら >>

「村上RADIO」


◆Derek Smith「Walt」

有名なショパンのワルツ「告別」作品69-1を聴いてください。ピアノはデレク・スミス。タイトルはとてもシンプルに「Walt(ワルツ)」となっています。
   


ひとくちにアナログLPと言っても、いつの時代にどこでおこなわれたプレスかによって、音がかなり違ってきます。僕はシャルル・ミュンシュがボストン交響楽団を指揮したイベールの「寄港地(Port of Call)」という曲のLPとCDを1枚ずつ持っていたのですが、どちらも出てくる音にもうひとつ感心できませんでした。LPはリマスターの再発盤だったんだけど、なんか音が薄いんですよね。で、この間アメリカの中古レコード店で、このレコードのオリジナル盤を見つけて7ドルで買ってきたのですが、これはもう段違いに音が生々しくてぞくぞくしました。そして、ああ、これ、こんなに魅力的な曲だったんだ、と音楽の良さまで再発見しました。そういう例は他にもたくさんあります。
アナログLP、なかなか奥が深いです。

◆Glenn Gould, Bach「プレリュードとフーガ イ短調BWV.895」
◆Fugue In A Minor「The Modern Jazz Quartet with Laurindo Almeida」


ここからバッハに移ります。モダンジャズ・カルテット、MJQが「フーガ イ短調」BWV895を取り上げます。このトラックは、ギターのローリンド・アルメイダをゲストとして加えたクインテット編成で、『コラボレーション』というアルバムに収められています。MJQ、もともと古典音楽から多くのアイデアを得て、それをジャズに積極的に取り込んできたグループだけあって、半端じゃない骨のある演奏になっています。まずグレン・グールドが原曲を演奏し、途中からMJQの演奏に移ります。聴いてください。バッハの「フーガ イ短調」。
 


リスナーからいただいたメールをもうひとつ読みますね。

れもねいど(41、男性、東京都)
「村上さんに質問です。人生100年時代と言われるようになりましたが、ただ生きるだけでは、ちょっと長いよなぁ、と思ってしまいます。よりよく生きる為に大切なことって何でしょうか?」

はい、僕はもうけっこう長く生きていますが、人生100年といっても、実際に生きてみるとそんな長くはないんじゃないかな。
意外に短いかもしれない。「え、もうゲームオーバー?」みたいな感じはあります。だから時間を無駄にしないで、しっかり人生を歩んでいくことが大事ですね。なにより大事なのは、その途中で素敵な思い出をできるだけたくさんこしらえて、記憶の袋にため込んでおくことです。これはすごく役に立ちます。暗くて寒い夜にも、心と身体を内側からほかほかと温めてくれます。がんばって素敵な思い出をせっせと作りましょう。

<番組概要>
番組名:村上RADIO~ジャズで聴くクラシック音楽~
放送日時:3月29日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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