笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
2月21日(土)の放送は、先週に引き続き、株式会社ima 代表取締役CEOでアーティストの三浦亜美(みうら・あみ)さんをお迎えして、三浦さんが制作したアート作品について、そしてデジタルが変える近未来の風景について伺いました。

「“学ぶとは何か?”を問われている時代が来ている」AIの台頭...の画像はこちら >>

(左から)三浦亜美さん、笹川友里


三浦亜美さんは愛知県名古屋市出身。大学時代に起業し、事業譲渡後、マイクロファイナンスを立ち上げるため、バックパッカーとして単身世界一周の旅に出ます。帰国後、株式会社サンブリッジにて、海外クラウドサービスの日本進出の支援、インキュベーション施設の立ち上げなどに従事します。2013年に株式会社imaを創業し、現在はメディアアーティストとしても活動中です。

◆「起藝」でアートと社会をつなぐ

前回の放送では、三浦さんに株式会社ima立ち上げの経緯やAIを活用したプロジェクトについて伺いました。今回は、その活動のなかでもアートの領域に焦点を当てて、深く掘り下げていきます。

三浦さんが考えるアートとは、世の中の「こうあったらいいな」という問いを作品という形で社会に投げかける行為だといいます。その思想の中心にあるのが、「起藝(きげい)」と「文化工学」という考え方です。「起藝」は、起業家と藝術家を掛け合わせた言葉で、ビジネスとアートの両輪で問いかけ、課題解決に取り組む姿勢を示しています。また「文化工学」は、感性やセンスの積み重ねである文化を“再現性のある仕組み”として社会に実装していく試みを指します。三浦さんとチームは、この2つの概念を活動のコンセプトにしています。


それを形にしたものの1つが、AIを用いたアート作品群です。そのなかで三浦さんは、2019年に発表された「AI Mural」を紹介します。これは、AIが世界中の画像データから「価値がある」と判断した部分を抽出し、それをロボットアームによって自動で描いて制作するアート作品です。ロボットが黙々と線を描き続ける光景は、どこかシュールで、見る者に考えさせる力をもたらす作品です。

また、完成した絵は自動で生まれますが、インクが出なくなったペンを取り替えたり、描き終えた紙を差し替えたり、壁に貼ったりする作業は人間がおこないました。その理由について、三浦さんは「わざわざ“ペンを変えるためのロボット”だったり、絵ができあがったと判断して紙を壁に貼りに行くロボットを作るなんて、そもそも大変そうじゃないですか」と説明します。

つまり、AIと人間の境界線をあえて可視化することで、「クリエイティブな物事にAIが入ってくるとどう変わるのか? そして、人間の身体性は、どれぐらいの価値を持っているのだろうか?」という問いを浮かび上がらせることが、この作品の核心ともいえます。

◆AIの進歩で問われる「“学ぶ”とは何か?」

現在、三浦さんはデジタルハリウッド大学 特任准教授、筑波大学 非常勤講師として、AIやデジタル技術が当たり前に存在する時代を生きる学生たちに教鞭を執っています。

そのなかで、今の学生たちに驚かされることも少なくないと言い、「少し前にも、発表を聞いていて、ある学生に『それは誰に聞いたの?』と聞いたら、『AIにおじいちゃんおばあちゃんのふりをしてもらって、そのAIに聞きました』と。“人間ではなくてAIに聞くほうを選ぶんだ!?”ってびっくりしましたが、そういう価値観が普通にあるんだなと、私も学びが深かったです」と振り返ります。

また、三浦さんが今の教育現場で感じる課題として、AIによって整ったものを簡単にアウトプットできる現代において、「そもそも、失敗が許される学生時代に(AIがあることで)失敗する機会が大きく減り、それによって“どこの部分が間違いなのか?”といった確認作業ができないとなると、大学の先生も学生も含めて、“学ぶとは何なのか?”っていうことをあらためて問われている時代が来ているなと感じています」と話します。

最後に、三浦さんが想像する近未来の風景について尋ねると、「“自分がどうしたいのか?”っていうことをより強く意識していかないと、これまで以上に(無意識に)意思決定している状態が多くなってしまうかもしれません」と危惧します。
そのために「自分がこうあったら笑顔でいられる」といったような言葉にならない感覚を大切にし、自分自身で意思決定を重ねていくことが重要だと語りました。

次回2月28日(土)の放送は、LINEヤフー株式会社サステナビリティ推進CBU CSRユニット災害支援推進マネージャーの安田健志(やすだ・たけし)さんをお迎えします。LINEヤフーとしての防災支援の取り組みについてなど、貴重な話が聴けるかも!?

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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