笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
9月13日(土)の放送は、帝人株式会社 グループ執行役員 デジタル・情報システム管掌の舩生幸宏(ふにゅう・ゆきひろ)さんをゲストにお迎えして、帝人が取り組む“DX人材育成”について伺いました。

“人間とAIの協働”は必須!? 帝人株式会社 デジタル・情報...の画像はこちら >>

(左から)舩生幸宏さん、笹川友里



舩生幸宏さんは1990年にNTTデータ入社。その後、ソフトバンクファイナンス(現・SBIホールディングス)を経て、2003年にソニー(現・ソニーグループ)へ移り、グローバルITトランスフォーメーションを推進。2018年に横河電機の執行役員(CIO)兼デジタル戦略本部長に就任。2019年からデジタルソリューション本部DXプラットフォームセンター長を兼務。2025年4月より帝人株式会社 グループ執行役員 デジタル・情報システム管掌(CDO)に就任しました。

◆帝人の“DX人材育成”

先週の放送では、舩生さんから帝人のDXの取り組みについて説明いただきましたが、今週は“DX人材育成”について伺います。

帝人は2023年度からDX教育に力を入れています。「初級コース、中級コース、上級コースの3つを設けています。最初の約2年は初級コースに力を入れておりまして、国内・海外合わせて約11,000人の社員にコースを受けていただいたことで、DXのベースラインを確立しました」と声を大にします。また現在は、ビジネスアーキテクト(デジタルを活用した問題解決の企画・立案・推進を担う人材)の育成を目指す中級コースに力を入れ始めていると言います。

ここで、笹川が「上級コースの学習って、どのくらい複雑なものになるのでしょうか?」と質問すると、舩生さんは「上級コースはまだ設計中です」と前置きしつつ、「中級コースを終えた方に受けていただきますが、中級コースは数百人程度を目標に育成しておりまして、上級コースはそこからさらに絞ったプロフェッショナル人材を育てるためのコースになります」と話します。


また、このように社内でのDXを進めていくことによって、社員のデジタル技術に対する抵抗が少なくなってきていると言い、「これから“AIをどう使うか”というのも重要なポイントになってきますし、既に一部のAIを社員の皆さまにも使っていただいていますが、苦手意識なく、さらに活用いただけるところまで持っていければと思います」と未来を見据えます。

◆帝人が掲げる“長期ビジョン”

帝人は“未来の社会を支える会社”という長期ビジョンを掲げ、2024年度に「Pioneering solutions together for a healthy planet」というパーパス(存在意義)を策定しました。「このパーパスについては『すべての挑戦をリスペクトして、多様な仲間と専門性を活かして成長し、地球のあらゆる生命に寄り添い守る』といった思いが込められておりまして、最終的には、さまざまな違いを乗り越えて地球の環境負荷の低減に向けてDXを進めていいきます」と舩生さん。

とはいえ、すぐに地球環境負荷の低減ができるわけではなく、ステップを踏んでいくことが重要とし、「最初は“グローバルトランスフォーメーション”、今まで各事業の軸が強すぎてグループでまとまりがなかったところもありますので、横串を強化してグローバルの最適化を図っていくことにフォーカスしていく。その後は“AIトランスフォーメーション”、AIを活用して抜本的な生産性の向上を実現する。この辺りをうまく進めたうえで、最終的に“サステナビリティトランスフォーメーション”、さきほど挙げたパーパスを実現していく。こういった3ステップで考えております」と言及します。

これを受けて、笹川が「これまで日本は縦割の社会構造になっていたかと思いますが、これからの社会変革のなかで、横串、斜め串(の社会構造の実現)を加速させるための一番の課題は何でしょうか?」と質問。

これに対し、舩生さんは、ある程度の縦割構造を理解しつつ“等距離を置く”ことが大切だと言い、「グローバル化もそうですし、事業軸もそうですが、会社のなかには現時点の評価でコアな事業とそうでない事業があります。それらをどうやって等距離を取って横串でまとめていくか。そこを意識しながら第三者視点で見るのが大切だと思います」と語ります。

◆“AIの進歩”で働き方はどう変わる?

最後に、これから先にある“未来の風景”について伺うことに。
舩生さんいわく、最新の生成AIはIQ140程度のレベルまで登場していて、近い将来IQ200、はたまたIQ300の生成AIが登場する可能性があることを予見し、「そうなってくると“AI社員”といいますか、AIを人間と同じような扱いをしないと、会社のなかでは仕事をやっていけないような状態が、もうあと数年でやってくるのではないか」と推測します。

そして、今後は人間とAIが協働する会社を目指すべきだとし、「AIに優しい会社はどういう会社かというと、AIはデータがないと働いてくれないわけですよね。そのデータを提供するのは誰かというと、今だと人間ですよね。つまり、人間がAIに分かるようにきちんとデータを整備してあげてAIに学習させる。こういった会社になっていくことが非常に重要で、そういった会社がこれからグローバルな競争力を高めていくのではないかと思っています」と話していました。



<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
編集部おすすめ