杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。


9月21日(日)の放送テーマは、「よりよい教育のために! 変わる先生の働き方」。文部科学省 初等中等教育局の山田泰造さんに、学校における働き方改革について伺いました。

「過労死ライン」まで長時間労働する先生も…保護者や住民と連携...の画像はこちら >>

(左から)杉浦太陽、山田泰造さん、村上佳菜子



◆学校の先生の業務量は膨大

「先生の仕事」と聞いてまず思い浮かぶのは、授業や生活指導、部活動の指導かもしれません。しかし、実際には授業の準備や教材づくり、テスト問題の作成と採点、会議や研修のレポート作成、さらに国や教育委員会からの調査対応まで多岐にわたります。調査によると、公立小中学校の先生が勤務時間外に働いている時間は、同じ地方公務員の事務職と比べて約3倍であることが分かりました。

なかには、健康障害のリスクが高まる「過労死ライン」まで長時間労働する先生もおり、実態はかなり深刻です。「子どものためなら」と使命感で働き続ける先生は少なくありませんが、結果的に教育の質に影響する可能性があります。また、過酷な労働環境が続けば、将来的に教員を目指す人が減ってしまうかもしれません。

◆先生の業務負担軽減を目指して

こうした状況を改善するために進められているのが「学校における働き方改革」です。法律の改正をはじめ、国や自治体、教育委員会、学校が連携して先生の労働環境を改善する仕組みづくりを進めています。そのなかで、山田さんは「学校における働き方改革を推進していくには『十分なマンパワーを確保すること』と『先生の業務を減らすこと』、この2つをしっかりおこなう必要があると考えています」と言及します。

特に「マンパワーの確保」は、単に先生を増やすだけでなく、高い専門性を持つスクールカウンセラーやソーシャルワーカーなどの支援スタッフ、さらには教材の印刷など、先生がおこなってきた仕事をサポートする支援員を増やすことで、先生の負担を軽くすることを目指します。
「特に支援員さんについては、保護者や地域の方々にご参加、ご協力をお願いして、負担を軽減していければと思います」と話します。

現在はいじめや不登校など、学校が丁寧に対応すべき課題が増えてきています。こうしたなかで、子どもへのより良い教育を実現するためには、先生が先生でなくてはできないことに専念できる環境が必要です。そこで、文部科学省では、学校が働き方改革を進める際に業務を見直しやすいように、これまで学校や先生が担ってきた仕事を3つに分類しています。

・基本的には学校以外が担うべき業務
・学校の業務だが、必ずしも先生が担う必要のない業務
・教師の業務だが、負担軽減が可能な業務

そのなかで、番組では「基本的には学校以外が担うべき業務」に注目しました。例えば、通学路での見守り活動もその1つで、登下校時に大人が子どもたちを見守る役割は、必ずしも先生である必要はありません。そのほか、放課後から夜間にかけての見回りや児童生徒が警察に補導された際の対応、地域の方々との連絡調整も先生の負担になりがちで、「こうした役割も地域の方に担っていただけると助かります」と呼びかけます。

◆よりよい教育のためには…

一方、保護者や地域住民が主体的に学校における働き方改革をおこない、成果をあげている例もあります。「学校の運営に保護者や地域の方々などが参加する『学校運営協議会』という仕組みがあります。埼玉県のある小学校では、この学校運営協議会と学校が一緒になって、さまざまな取り組みを進めています」と山田さん。

そのうえでポイントとなるのが“情報の提供”です。双方が積極的に情報を共有し合うことで、お互いの状況を理解し合い、連携を深めています。
学校は、地域住民に学習成果を見てもらう機会を設けたり、登下校時の見守り活動など、支援を受けている様子をSNSで発信。一方、協議会は校内に掲示板を設置し、町会や子ども会などの地域情報を学校や子どもたちに伝えています。「こうした情報発信により、お互いの理解が深まったことから、保護者や地域の方々に、学校における働き方改革への理解と協力が得られやすくなりました」と解説します。

その結果、入学間もない1年生の見守りや給食準備、清掃などを地域の方々が担ったことで、先生たちが毎日定時で帰ることができる「定時退勤week」を実現できたといいます。“今週は毎日定時で帰ろう!”という取り組みがあるだけで、先生たちも計画的に仕事を進める意識が高まります。さらには、校内に掲示板を設けたことで多くの児童が地域活動に参加するようになり、地域全体の活性化につながったそうです。

最後に、山田さんは「よりよい教育のためには、学校・先生方と保護者・地域の方々が連携・協働して、お互いに魅力を感じる学校づくりを進めていく必要があります。保護者や地域の皆さんには、学校づくりに積極的に参加していただき、学校をサポートしていただきたいと思います。子どもたちのために、一緒に力を合わせていきましょう!」と力を込めました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「先生の働き方」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず、村上は“みんなの意識で変わる! 先生の働き方”を注目ポイントに挙げます。
続けて、杉浦は“学校、先生方、保護者、地域の方々みんなで学校づくり!”とスケッチブックに書き、「これが大事ですよね!」とコメントしました。

「過労死ライン」まで長時間労働する先生も…保護者や住民と連携しておこなう「学校における働き方改革」とは?

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
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