ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。
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8月13日(水)のテーマは「訪日外国人のマナー問題は『観光客だけのせいじゃない』アメリカZ世代の言い分とは?」。日本における外国人観光客のマナー問題について、アメリカ人としての意見をラボのメンバーが語り合いました。

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※写真はイメージです



◆日本のマナーは世界的に見て特殊?

2025年の訪日外国人の数は、過去最高を更新する見込みです。この6月には、上半期の訪日客数が史上最速で2,000万人を突破しました。

実は日本はイタリアと並んで、アメリカのZ世代に最も人気がある旅行先です。しかし、そんな日本で現在問題になっているのが、オーバーツーリズムと観光客のマナー違反行為。

ラボのメンバーのなかにも、日本が大好きで頻繁に訪れているメンバーが何人かいますが、そもそも日本を訪れる観光客は、なぜマナーが悪くなりがちなのでしょうか。日本が大好きで何度も訪れているメアリーは次のように説明します。

メアリー:日本には本当にたくさんのルールやマナーがあるよね。(観光客のなかには)そのことを知らなかったり、学んでいなかったりする人も多いと思う。例えばフロリダとか、リゾート地みたいな「勝手気ままにリラックスするための場所」に行く感覚で日本に来る人も多いと思うよ。


日本の人たちが観光客のそういう態度に対して怒る気持ちはわかるんだけれども、こういう問題を強調しすぎている部分もないかな? 「観光客が全部悪い」とは言い切れないとも思うんだよね。

私はメディアの役割も大きいと思う。日本にいたとき、テレビのニュースで見たんだけれども、年配のアメリカ人の白人男性が神社の鳥居に家族の名前を彫った罪で連行されていたの。確かに犯罪には間違いないけれど、それを20分もニュースで特集する必要があるのかなとも思った。私が京都に行ったときは、そういうマナー違反をしている人は実際には見なかったし、日常的に起きているわけじゃないと思うんだけど……。

テオ:メアリーが言うように、日本の人たちには「観光客にもマナーを守ってほしい」という期待があるんだろうね。でもそのマナーって、外国人には理解するのが難しかったり、知る機会が少なかったりする。だから、結果的にルールやマナーが守られなくて、日本の人たちの怒りにつながっているんだと思うよ。

メアリー:例えば、地下鉄のなかで騒がしいお客さんがいて、もしそれが日本語を話す若者だったら、「まあ、若い人たちだからね……」で済まされることもある。でもそれが外国人だと、「うわぁ嫌だ、外国人が大声で外国語をしゃべっていて不快!」と受け取られることもあるんじゃないかな。

外国人観光客のなかには、神社や仏閣が神聖な場所であるという認識がなく、ただの観光地だと思って訪れる人もいます。マナーやルールに関しても、日本のように「公共交通機関では静かにすることが望ましい」というルールがある国はさほど多くはなく、「知らず知らずのうちにマナー違反をしてしまう人もいることを理解してほしい」「『日本のマナーをすべて理解してから来てほしい』というのは厳しいかも……」という意見も出ました。


「観光客が全部悪いとは言い切れない」訪日外国人観光客のマナー違反、アメリカZ世代にはどう映る?

(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆「地域に根付いた文化」を変えられたくないのは当然

一方で「日本人の気持ちがよくわかる」と発言したのは、ミクアです。

ミクア:私は日本人の気持ちがわかるよ。私自身、ニューヨークに住んでいるけれど、外から来た人がマナーを知らなかったり、この土地のルールを変えようとしたり、これまでの流れを乱すようなことをする人がいる、という感覚はすごくよくわかる。

もちろん日本とは違う問題だけど、ニューヨーク出身じゃない裕福な人たちが、もともと低所得層の人たちが暮らしているコミュニティに移住してきて、そこで文句を言ったり、勝手にルールを変えようとしたりするの。

ブルックリンって日本とは真逆の文化で、昔からブロックパーティー(路上での音楽パーティー)が盛んなんだよね。道路では大音量の音楽が流れている、そういう文化がある場所なんだ。でも外から引っ越してきた人は、この場所の文化について何の下調べもせず「音楽がうるさい」とか文句を言う。「いやいや、ここブルックリンだよ? 知らなかったの?」って思うよ。

「地域に根付いた、もともとの文化やマナーを変えられたくない」という気持ちはよくわかるという意見が出ました。さらに、今年初めて日本を訪れたというメンバーのアニーからは、こんな意見も。

アニー:大阪に行ったときに、ドン・キホーテが海外からの観光客で本当にぎゅうぎゅうだった。他の人が通れるように道をあけることもなく、通路の真ん中に立ちっぱなし。
正直、横をすり抜けるのも大変でイライラした。

京都もすごく混んでいたよ。伏見稲荷大社は観光客でいっぱいで、もう身動きが取れなくなっていた。登ろうとする人が、降りてくる人を全然通してあげないし。たぶん、自分の国のやり方に慣れすぎていて、ほかの国では常識が違うという意識があまりないんだと思う。

外国人観光客の自分でさえ、他の観光客の行動にはイライラさせられたという経験談でした。一連の話し合いを受け、シェリーは「こうした問題はどうしたら解決できるのでしょうか? 次回はラボのみんなに外国人観光客の立場から考えてもらおうと思います」とコメントし、話題を締めくくりました。

<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
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