(左から)藤木直人、井上鷹選手、高見侑里
2000年生まれ宮崎県出身の井上選手は、小学2年生のときに遭ったいじめの影響で不登校に。母親に勉強を教わる傍ら、12歳の夏にピンク色のボディボードと出会い、それをきっかけに15歳からサーフィン競技を始めます。SUPサーフィンでは、2部門で世界チャンピオンに。現在、オリンピックで採用されているショートボードでもプロ資格を有しているほか、ロングボードでは2023年シーズンのワールドチャンピオンシップツアーで最終ランキング9位に食い込むなど、“三刀流プロサーファー”として活躍しています。
◆サーフィンにハマったきっけかは?
藤木:15歳から本格的にサーフィンに取り組んだということですが、そのきっかけは何だったのですか?
井上:いろいろあったんですけど、もともとサーフィンをしていたときに、地元の方に「(サーフィンの)大会に出てみないか。ボードとかがないんだったら貸すよ」と声をかけていただいたので出てみたら、なぜか優勝しちゃったんです(笑)。
藤木:借りたボードで!?
井上:はい。一応ルールとかの説明はしていただいたんですけど、正直よく分かっていないままとりあえず乗っていたら勝っちゃった感じで(笑)。
藤木:ご自身のボードがないなかでも、いろんな技を習得されていたということですよね。
井上:ショートボードに関しては3年ぐらいやっていたので、ある程度できたんですけど、ロングボードに関してはまともに乗ったことがなくて。試合前の1週間ぐらいしか練習していなかったんですけど“いけるかな?”と(笑)。
藤木:ショートとロングでは、だいぶ違うのではないですか?
井上:はい。
藤木:そうなんですね。

井上鷹選手
◆いじめを乗り越え、プロサーファーに
藤木:そんな井上選手は小学2年生のときにいじめに遭われたそうですね。それをカミングアウトするのは勇気のいることだったと思います。
井上:もともと言いたくなかったのですが、きっかけがあって。プロになって海外で戦うようになったときに、ファンの方から「子どもが不登校で悩んでいたけど、井上選手の活躍を見て勇気を持ちました。いま頑張っています」というメッセージをいただいたんです。
それで、僕の経験を伝えることや挑戦していることが誰かの役に立つのなら、伝えていくほうがいいのかなと。最初は結構つらかったんですけど、伝えることで誰かの役に立てるのならすごくうれしいことなので、ちょっとずつ伝えてみようと思うようになりました。
藤木:小学校低学年でそういう状況になってしまうと、自分のなかで消化しきれないものもあったと思います。
井上:正直、学校には良い思い出がなかったです。
藤木:“退路を断つ“ではないですが、自分からそういう環境に追い込むことで努力もできて結果もついてきた、というところもあるのかもしれませんね。
井上:そうですね。自分に何かできるかを考えたときに、唯一サーフィンだけは他人から褒められたものだったので、“これを頑張ったら、学校には行けなかったけれど、もしかしたら何かできるのかな”と思って、ひたすら頑張った結果、今こうやってお話できているという感じですね。
藤木:いじめに悩む子どもたちに向けて、どんなメッセージを伝えたいですか?
井上:いじめは受けてから発覚するので、未然に防ぐことはなかなか難しいと思いますが、誰か相談する人を見つけるのも大切ですし、相談する方がいても解決しにくいものでもあると思うので、思い切って違う世界を体験してみる。僕はサーフィンがあったんですけど、皆さんにも得意・不得意がそれぞれあると思うので、スポーツに限らず、「何か違うものに触れてみる」「外に出てみる」ということを試してみてほしいと思います。
藤木:人を傷つけてくるのも人だけれど、サーフィンで声をかけてくれて、サーフボードを貸してくれたのもまた人じゃないですか。そのきっかけがあって、今こうやってサーファーとして活躍されている。
井上:はい。すごく大事なことだなと思うので、僕が逆にきっかけをつくってあげたいなと思います。
<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/
番組公式X:@SPORTSBEAT_TFM