(左から)亀山満さん、笹川友里
亀山満さんは東北大学工学部卒業後、日産自動車を経て、資生堂 CITO(最高情報技術責任者)、三菱マテリアル CDO(最高デジタル責任者)を歴任。歴史ある企業の経営改革、グローバル化、イノベーションをCIO・CDOの立場でリードしてきた経験を持ち、2025年4月に協和キリン株式会社CDXO(最高DX責任者)に就任しました。
◆「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」
協和キリンは、医療用医薬品事業をおこなう日本を代表するライフサイエンス企業です。その事業内容について、亀山さんは「新しいお薬を自分の会社で研究開発し、お届けする製薬会社です」と紹介。現在は遺伝性のくる病・骨軟化症などの希少疾患にフォーカスし、血液がん、難治性の血液疾患などの領域で、最先端の治療法を追求するなど、次世代の抗体や幹細胞遺伝子治療といった革新的な研究開発にも力を注いでいます。
また「お薬を通じて、患者さんやご家族、医療関係者の方々の生活をもっと豊かに、健康にしていく。そういうLife-changingな価値を継続的に創り出して届けることを企業理念にしている会社です」と説明します。
◆“患者中心”のDX戦略
現在、協和キリンの従業員数はグローバルで約6,000人を擁し、東京本社のほかアメリカ、イギリスにも拠点を展開。日本から世界50ヵ国以上へ医薬品を届ける「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」として、患者一人ひとりの笑顔を目指して活動を続けています。
そして、2021年からはデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にも本格的に取り組んでいます。
そんな協和キリンのDX戦略には、3つの柱があります。
DX戦略その①「DX推進基盤の強化」
データ基盤の整備と、それを活用できる人材の育成によって、業務の生産性向上を図ります。患者や医療関係者との接点から得られる多様な情報を社内で共有し、組織として活用できる体制を構築しています。
DX戦略その②「オペレーショナルエクセレンスの実現」
デジタルを活用して業務プロセスの質や効率を高めていき、競争力を強化する取り組みです。
DX戦略その③「データ循環型バリューチェーンによる価値創出モデルの構築」
研究開発はもちろん、生産や営業などの各部門を横断的に連携させ、トータルで患者さんやその周りにいる方々に、Life-changingな価値のプロセスを創出することを目指します。
この理念に、笹川は「すべての目的に対して、一番大切なところに“患者さまに素晴らしい薬を早く届けたい”という思いがあることが伝わります。一貫性と一体感がすごくあるDX施策だと思います」と感心します。
◆重要なのは、AIが提示するヒントに気付ける力
研究開発の分野では、AIの進化が大きなインパクトをもたらしています。ただし、AIが薬を自動的に開発してくれるわけではありません。
亀山さんは研究者との対話のなかで、「“セレンディピティ(思いもよらなかった偶然がもたらす幸運)”に気づけるのは人間ならではの力」と感じた一方で、新たなセレンディピティがAIから提示される可能性にも期待を寄せ、「人とAIのコンビネーションにワクワクしています」と語ります。
さらには、「研究者はAIやテクノロジーに詳しいことも大事ですが、それだけでなく、AIがヒントや(進歩の)種をいろんな形で提案してくれるので、それに気づける感受性や感性を持っていることが重要じゃないかと思います」とも。これを受けて、笹川も「デジタル技術を学ぶだけじゃなく、人間らしい部分がAIと重なり合うと(研究者として)重宝されるということですね」と深くうなずいていました。
番組では他にも、2025年4月に新設された協和キリンのDX組織を説明する場面もありました。
次回8月16日(土)の放送は、引き続き亀山満さんをゲストに迎えてお届けします。協和キリンのDXの取り組みとこれからのビジョン、そして亀山さんの仕事の流儀について伺います。
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/