本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。


2月11日(水・祝)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「自民党圧勝“選挙と金融市場の関係”と市場参加者が“高市内閣に求めること”」というテーマでお話を伺いました。

愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「自民党圧勝“選挙と金融...の画像はこちら >>

(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、浜崎美保


◆金融市場は衆議院選挙をどう見ていたのか

やしろ:衆議院議員総選挙の投開票日の翌日2月9日(月)、日経平均株価は史上初の5万7000円台をつけました。選挙と株式市場はそれぞれ密接に関係しているということなのでしょうか?

宗正:政治と経済は車の両輪ですから、密接に関係しています。今日の東京証券取引所は「建国記念の日」の祝日でお休みですが、昨日2月10日には終値ベースで5万7650円54銭と史上最高値を更新しました。選挙の結果はもちろんですが、公示日から選挙期間中の各党の情勢も日々の金融市場の動向に影響を与えますね。

例えば、選挙の公約でよく聞く「減税」。減税は個人消費を促して企業の利益を増やす可能性が高い。引いては景気も上向いて、景気が良くなれば企業の業績もさらに上向いて株価も上昇しやすくなります。

やしろ:はい、そうなりますね。

宗正:選挙の結果、どの党が与党になって誰が内閣総理大臣に就任して、どのような政策を行うのかが決まりますから、金融市場の動きを予想する上で、選挙の行方を注意深く見ることは非常に重要です。

やしろ:株式市場など金融市場の参加者は、今回の選挙について事前にどのような見方をしていたのでしょうか?

宗正:同じ衆議院議員総選挙でも見るべきポイントは毎回変わります。今回、金融市場の参加者や関係者が注目していたのは、いつもの選挙と「異なる点」ですね。
これは大きく2つあります。

1つ目のポイントは「真冬の衆議院選挙」ということで、2月の選挙は1990年以来36年ぶりのことなんです。なぜこれを気にするかというと「投票率」への影響ですよね。

全国的に積雪の深い地域もあって、事前にはその影響も懸念されていましたが、結果として期日前投票を有効活用する人が非常に多くて、そこまで投票率が下がらなかったというのが実際のところでした。

やしろ:期日前投票も選挙ごとに行きやすくなっていますし、今回の選挙では認知もかなりされていましたよね。

宗正:2つ目のポイントは、前回の選挙と比べて連立与党の組み合わせが大きく変わったっていうことですよね。昨年の秋に高市内閣が発足して与党は自民党と日本維新の会になりました。それまでの与党・公明党が立憲民主党と組んで「中道改革連合」を立ち上げたということで、全国の小選挙区では今まで一緒に戦っていた党が今度はライバルになりました。

今回の選挙で金融市場の参加者は、結果として自民党が強いと、高市内閣が続くと見ていましたが、自民党と日本維新の会、この両党がどこまで議席を伸ばすことができるかという点は、今ひとつ不透明でした。

やしろ:選挙が終わって以降の株式市場の上昇は、金融市場で「高市トレード」が復活したということなのでしょうか?

宗正:「高市トレード」という単語はすっかり世の中にも定着しましたよね。高市内閣が続くことを前提とした投資スタイル、金融市場の動きを指す高市トレードですが、政権が安定すれば長期の視点に立って大胆な経済政策を打ち出しやすくなります。企業の成長も加速して日本の株式市場が上がることを期待できる。
これが高市トレードが生じる基本的な考え方です。

「為替市場」については日本だけの話ではなくて、他の国の状況も影響するので最も予想が難しい市場なのですが、元々は円安容認派の高市内閣(与党)が勝てば、積極財政の動きも加わって円安に振れるという見方がありました。一方で、日本の中央銀行・日銀の利上げ姿勢はずっと続いていますから、今後は円高に転じるといった見方もありました。今回の選挙期間中は、市場参加者の見方も真っ二つに分かれていましたが、当面の間は国内の経済情勢や日米2国間の金利見通しを織り込みながら為替市場は推移すると見ています。

◆国内金利の急上昇は高市内閣の政策が影響?

やしろ:今、為替市場のお話がありました。そう言えば1月の中旬から下旬にかけてかなり「円高」が進みましたが、あの時の動きはどういうことだったのでしょうか。

宗正:1月の中旬から下旬にかけての円高は、先月1月23日に1ドル159円台前半で推移していた為替市場が、わずか10分足らずで157円台後半まで円高が進んだことが始まりでした。このタイミングは日本銀行の植田総裁が記者会見を終えた頃だったんですね。それで何があったんだろうと、それほど気になる内容は別に発言していないよねというのが市場参加者の見方でした。

そしてそこから日本時間の日付が変わった頃に、アメリカのニューヨーク連銀が「レートチェック」をしたと、そんな情報が伝わってきました。このレートチェックというのは、特に為替市場でよく使われる専門用語なんですが、文字通り政府や中央銀行が現在の為替レートを確認する行為を指しています。その目的は特に為替市場で大口取引が成立できるかどうかを確認する行為なんです。
つまり為替介入の準備段階でよく行われる行為で、これが市場に伝わったことで、1ドル152円台の後半まで一気に円高が進みました。

やしろ:まさに一気に進みました。すごかったです。

宗正:その後、レートチェックは実際にあったものの、日米による為替介入は無かったことが判明するに連れて円安に逆戻りしました。

やしろ:そうですね、逆方向の動きも早かったです。

宗正:そして今日の動きですよ、また1ドル152円台まで一気に円高が進みました。ただこの動きは、1月とは全く違う理由なんです。

やしろ:前回はレートチェックがあったとの情報で動いたけど、今回は違うと?

宗正:今日の円高進行は、昨日発表されたアメリカの消費活動を示す統計があまり良くなかったことから始まりました。そして日本時間の今夜には、アメリカの「1月の雇用統計」が発表されるんですね。原則として毎月1週目の週末金曜日に発表される「雇用統計」なんですが、アメリカの政府機関の一時閉鎖の影響で、今日の日本時間の夜に発表されます。発表されたばかりの消費活動を示す統計が良くなかったので、雇用統計の結果も良くないんじゃないかと。良くないってことはアメリカドルが売られる。
ドルが売られるってことは円高になると、そんな連想が今の円高につながっています。

そして、これも今日の円高の主な要因のひとつだと思うんですけど、今日は「建国記念の日」で祝日ですから、為替市場の参加者が日本は少ないんです。そうなるとアメリカの動きの一方向に引っ張られやすい。その分円高方向に一気に加速したっていうのが今日の円高については大きいと思います。

やしろ:ありがとうございます。今年に入ってから国内金利も急上昇していますが、これは高市内閣の政策が影響しているのでしょうか?

宗正:それも影響していますが、昨年暮れの12月に日銀が政策金利を約1年ぶりにそれまでの0.5%から0.75%に引き上げました。政策金利に連れて世の中の金利は動きますから、そもそも金利が上昇するベースがありました。1月に金利が急上昇した背景として、与党が選挙公約で食料品の期限付き消費税率0%を提示したことも大きかったと思います。

食料品の期限付き消費税率0%の影響で財政悪化が懸念されて、つまり新規国債が発行されて国債の量が増えることで金利が上昇するんじゃないかと。そんな憶測が金融市場に拡がりました。短期的な金利の上昇は今後もあると思いますが、すでに日本は金利のある時代に本格突入しましたから、金利は「経済の体温計」なんて言われますけど、いずれにしても金利の動きには常に要注意ですよ、要注意。

やしろ:要注意ですね、分かりました。


宗正:上がり始めると早いですからね、金利は。普通、政策金利は上げるときも下げるときも0.25%刻みなんです。今の0.75%から引き上げられると次は1%ですからね、そのときはかなり生活を取り巻く環境も大きく変わってくると思いますよ。

◆金融市場が、第2次高市内閣に求めているもの

やしろ:金融市場の参加者が今、第2次高市内閣に求めているものはどのようなことなんでしょうか?

宗正:大きく3つあります。1つ目は「責任ある積極財政」。高市内閣がずっと言い続けていますけど、単なるバラマキではなく、将来の経済成長に繋がる投資を是非ともして欲しいなと。具体的には、日本の成長を促す重点産業への支援や人材育成に関わる投資がこれにあたります。

そして2つ目は「インフレ・円安対策」です。高市内閣・政府に求めることは日本銀行との協調体制ということになりますが、自民党がこれだけ獲得議席を増やした今、日銀の金融政策は与党にある程度引っ張られる可能性も出てきました。国内景気もまだまだ不安定な状態ですから、そこは上手くやって欲しいなと思います。

3つ目は「外交・安全保障」ですね。特にアメリカのトランプ大統領の対応が、ここから先ますます重要になってくると思います。
昨年のトランプ関税の動きからも分かる通り、経済政策的にもマーケット的にも非常に大きな意味を持つのがトランプ大統領との付き合い方です。

今回の選挙で改めて分かったことは、私たちが選挙で投じる一票は、日本の金融市場も大きく動かして、引いては私たちの毎日の生活にも直結するということでしたね。

やしろ:ありがとうございました。

浜崎:宗正彰の「愛と経済と宗さまと」。TOKYO FMポッドキャストにて毎月10日、20日、30日に配信です。

浜崎:最後にお知らせです。長らくお送りしてきました「スカロケ資産運用部」ですが、来月が最終回となります。皆さん是非お聞き逃しなく。

やしろ:2019年10月から、6年半お世話になりました。

宗正:6年半ですよ。前半の3年がコロナ禍で、後半の3年半がコロナが明けた後で。実は「スカロケ資産運用部」が始まった2019年の10月の日経平均株価は2万2000円台でした。

やしろ:ええー!

宗正:今の水準はそこから2.5倍。さぞかし本部長も浜崎さんも資産をたくさん増やされたことでしょう(笑)。

やしろ:(笑)。これまでの6年半、全て宗さまの言う通りでございましたから。来月はまた世の中が動いていると思います。それこそ今の話の流れでいくと、日米首脳会談も予定されていますしね。

宗正:最終回は6年半を振り返りたいですね。金融市場の見方や経済の考え方っていうのは、時を経ても基本的なことは変わらないんですよ。だから、改めて最後の総復習っていうことで。でも最後っていうとちょっと寂しいので、また声をかけてくださいね。

やしろ・浜崎:ぜひ! ぜひ! よろしくお願いします。

宗正:はい、お願いします!

<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~20:00(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/
番組公式X:@Skyrocket_Co
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