(左から)パーソナリティの小山薫堂、西村淳さん、宇賀なつみ
◆幼少期は星よりも“メカ”が好きだった
西村淳さんは大阪府出身。東京大学特任助教を経て、令和3年から国立天文台特任准教授に就任し、令和6年から観測所の所長を務めています。専門は電波望遠鏡の開発で、なかでも電波分光計の分野では国内第一人者です。また、それらを使った星間ガスの探査もおこなっています。
番組では、まず「電波分光計とは何か」という話題からスタートしました。西村さんによると、宇宙から届く電波は多種多様に混ざり合っているため、「テレビのチャンネルのように分けて整理する装置」といいます。大きなアンテナで宇宙からの微弱な電波を受信機に集めて、そのあとに高精度な分光計で調べやすくする仕組みを解説。「宇宙には星以外にも、ガスや塵というものが漂っていまして、そういった状況下で電波を観測したり利用することに長けた効果を発揮します」と説明します。
西村さんは電波天文学者として、天体の観測に電波を用いています。幼い頃は星そのものよりも、むしろ装置や機械に惹かれていたと振り返ります。「電波天文というのは、どちらかというとアマチュア無線に近い“メカメカした世界”なんですね」と語ります。
光学的な天文学者が幼少期から星空に魅了されることが多いのに対し、電波天文学者には機械好きが多いとのこと。
◆世界で初めてブラックホールの存在を観測
長野県にある野辺山宇宙電波観測所は、40年以上の歴史を持ちます。そのなかで最大の成果といえば、「ブラックホールの発見」です。1990年代前半、45メートルの大型電波望遠鏡で観測をおこない、2,300万光年先にあるブラックホールの候補天体をとらえました。「ブラックホールはそれまでSFの世界の話でした。それを現実の世界に引きずり込んだのが野辺山観測所なんです」と西村さんは紹介します。
宇宙から届く電波はとても弱いため、観測には大型の望遠鏡が欠かせません。西村さんは「遠くを見るには、とにかく大きな望遠鏡で集めないと難しい」と説明します。小山が「光が届くまでに2,300万年もかかっているわけですよね。今はもう存在していない可能性もあるのでは?」と問いかけると、西村さんは「その可能性もありますが、2,300万年というのは天文学の世界では“一瞬”の出来事なんです」と答え、宇宙のスケールの大きさを感じさせます。
西村さんによると、ブラックホールの正体は「とてつもなく物が集まっている場所」とのこと。
◆トレードマークが“赤い蝶ネクタイ”の理由
番組では、西村さんの特徴的な装いにも話題が及びました。赤い蝶ネクタイは、観測所を紹介する際の“ユニフォーム”のようなもの。きっかけは、観測所が舞台となった映画「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」でした。2025年4月の上映以降、観測所を訪れる人が急増し「昨年に比べて6~7倍の来場者数です」と声を弾ませます。夏休みには子ども連れの家族でにぎわい、45メートルの巨大望遠鏡に歓声があがるそうです。
観測所内では、実物のアンテナを間近に見学できるほか、天文学に関する解説パネルも展示されています。さらに、8月30日には年に一度の「特別公開日」が開催され、普段は触れられない45メートルのアンテナに直接触れることができたり、映画にも登場した黄色い列車が動く様子を見学したりすることができます。
番組のテーマにちなみ「手紙を書きたい場所」を伺うと、西村さんは「イギリスのオックスフォードに出張で訪れたときに、歴史的な建物と街並みに惹かれて、ついポストカードを書いてしまいました」とのエピソードも。さらに、この日の放送では「妻に宛てた手紙」も披露。研究者としての顔とは別に、家庭人としての素顔ものぞかせてくれました。
<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/post/
番組公式X:@sundayspost1