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◆話し合いが進む「給付付き税額控除」とは
自民党の小野寺五典(おのでら・いつのり)政調会長は8月6日、立憲民主党の重徳和彦(しげとく・かずひこ)政調会長と会談。立憲民主党が参議院選挙で掲げた「給付付き税額控除」などについて意見を交わしました。
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吉田:塚越さん、まずは「給付付き税額控除」について詳しく教えてください。
塚越:少し複雑な話なのですが、給付付き税額控除は、給付と減税をセットでおこなう仕組みです。例えば10万円を給付するとします。ある人は所得があって、所得税が50万円だったとします。この場合、10万円分の税金が引かれるので、所得税の支払いが40万円になります。他にも、例えば所得税が8万円だったら、8万円分の納税額がゼロになって、残りの2万円が(現金で)給付という仕組みになります。さらに、いわゆる非課税世帯は、10万円がそのまま給付されます。
なぜこうするかというと、消費税の「逆進性」という問題に対応するためです。収入が低い人ほど、生活費に占める消費税の割合が大きく、負担感が大きくなります。
要するにこれは「減税と現金給付がセットになった制度」で、経済的に厳しい世帯への支援であると言えると思います。今回の会談の理由としては、やはり自公政権が少数与党になっているなかで、野党第一党との関係改善を考えている点が挙げられます。
◆財源はどうする?
吉田:「給付付き税額控除」は、財源も課題ですよね?
塚越:そうですね。もともと自民党は参院選で一律2万円の給付と、非課税世帯や子どもにはさらに2万円を上乗せする案を出していました。こちらの財源は去年度の税収の上振れ分としていました。
一方の立憲は、まず一律2万円の「食卓おうえん給付金」と、次に最大2年間の食料品の消費税率ゼロ。これを実現した上で、最後に今回の「給付付き税額控除」(金額の想定は公表されていない)の導入を求めるという、3段階で政策を進めようとしていました。
自民党案よりも財源が多く必要になりますが、税収の上振れに加えて、積みすぎた基金や、いわゆる「隠れ補助金」の見直し、金融所得課税の改革などで検討するということでした。
ユージ:与党が参議院選挙の公約に掲げた「現金給付」。こちらは、実現が難しい状況なのでしょうか?
塚越:読売新聞によると、財源もさることながら、やはり少数与党になったことから、野党の賛同を得なければ難しいということですね。
いずれにせよ、野党への歩み寄りが見られますが、立憲だけでなく、先日は国民民主党がずっと主張していた「ガソリン減税」についても、与野党6党で年内の廃止に合意しています。これには立憲も参加してはいますが、やはり、長年、主張していた国民民主の影響が大きいかなと思います。自民党としては少数与党なので、いろいろな野党の様子もみている、顔色を伺っている側面もありますね。
◆野党の顔色伺う自民、多党制となった国会の今後は
ユージ:自民党と立憲民主党の動きについて、塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越:残念ながら政策というよりかなり政局的な側面が多いニュースではありますが、政局を抜きにした政策論でいえば、例えば、給付額10万円を基準としても、所得に応じて富裕層は2万円にするなど、そういうバランスが必要になるのかなと思います。あとは高齢者の富裕層の方、非課税世帯の方をどうするかなど、やるにしてもこういったところは考える必要があると思います。
一方、政局的な側面でいえば、立憲も先の参院選では票を伸ばしておらず、比例代表の得票率は参政党にも負けて第4位なんですよね。なので立憲も危機感があって、自民党とのつながりを重視している部分があるかと思います。立憲は立憲で自民党に近づきすぎると問題がありますし、でも批判はしなければならないし、なかなか仕切れないというところがあります。いわゆる既存の大政党、自民党と立憲民主党はどちらも厳しい立場になっているのかなと思います。
多党制となった今、いろいろな党と話し合いをして、そのなかで一番良い政策を決めないといけません。国民としては「政局を抜きにして一番良い政策をやってくれ」というプレッシャーをかけることが大事かなと思います。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
番組公式X: @ONEMORNING_1