TOKYO FMグループの「ミュージックバード」が制作し、全国のコミュニティFMで放送中のラジオ番組「デジタル建設ジャーナル」。建設業界のデジタル化・DXを進めるクラフトバンク株式会社が、全国各地で活躍し、地域を支える建設業の方をゲストにお迎えするインタビュー番組です。
一般になかなか伝わりにくい建設業界の物語を全国のリスナーに広めます。

2月15日(日)の放送では、ミタニ建設工業株式会社に注目。取締役の三谷剛平(みたに・こうへい)さんをゲストに招き、企業のDX戦略、クラフトバンクと連携した採用支援について話を伺いました。

元請けが「協力会社の採用を支援する理由」ミタニ建設工業株式会...の画像はこちら >>

(左から)ミタニ建設工業株式会社 取締役 三谷剛平さん、クラフトバンク株式会社 田久保彰太



◆若手社員の定着率が高い理由は?

高知県高知市に本社を構えるミタニ建設工業株式会社は、1970年創業、昨年55周年を迎えた地域密着型の建設会社です。舗装会社「三谷道路」としてスタートし、現在は土木・建築・舗装を手がける地元ゼネコンとして活動しています。工事の約6~7割を土木が占め、国土交通省関連の案件が中心です。近年は、地域創生事業やモバイル事業など、新たな分野にも挑戦しています。

同社の大きな特徴のひとつが、若手社員の定着率の高さです。ここ数年は20代の新卒採用が毎年続き、直近5年間の離職率はゼロ。かつては「8割が辞めてしまう時期もあった」と三谷さんは振り返りますが、会社の在り方や採用の考え方を大きく見直してきました。

現在の採用では、「ミタニ建設工業で働きたい」という意思を重視しています。1人の応募者と7~8回の面談を重ね、最終的には本人から「なぜこの会社で働きたいのか」をプレゼンしてもらう仕組みです。
さらに、両親や先生、友人など7名以上からの推薦文を提出してもらい、「周囲にも応援されてここで働く」覚悟を確認します。

内定後も、10~11月の内定式以降、毎月研修を実施。入社前から同期同士の関係性を築き、4月を迎える頃には人間関係ができている状態をつくります。もし方向性の違いを感じた場合は、入社前に辞退する選択も尊重しますが、三谷さんは「実際に内定を辞退した人はいないです」と話します。企業と社員の信頼関係を堅実に構築できる仕組みが、定着率の高さにつながっています。

◆クラフトバンクと協力会社の採用を支援

ミタニ建設工業では、ICTやDXを単なる業務効率化の手段としてではなく、人材育成や業界全体の持続性を高めるための基盤として位置づけ、さまざまな取り組みを進めています。その根底にあるのは、「若い世代が働きやすく、力を発揮できる環境をつくりたい」という思いです。ICT施工やドローンを活用した測量などを現場で実践する一方、現場で得た知見を本社に取り込み、本社の施策を現場へと還元する双方向の体制を整えてきました。DX推進を通じて、本社と現場を分け隔てなくつなぐチームづくりも進められています。

こうした全社的な取り組みは、2025年の「こうちデジ活アワード」でグランプリを受賞する形で評価されました。三谷さんは、「特定の部署や一部の現場だけでなく、会社全体を巻き込んで進めてきた点」が評価につながったと振り返ります。DXやICTはあくまで手段であり、会社をよくするためのきっかけやツールとして活用してきた姿勢が、積み重ねの厚みを生んできました。


近年は、こうした取り組みを自社の枠を超えて広げる動きも加速しています。その一つが、クラフトバンクとの連携です。ミタニ建設工業ではこれまで自社の採用や育成、DX推進に取り組んできましたが、現在は協力会社に対する採用・デジタル化支援にも踏み込んでいます。背景にあるのは、協力会社が抱える深刻な人材不足です。多くの企業が「採用活動をしたいが、何から始めればいいかわからない」「これまで人づての紹介に頼ってきた」という状況にありました。

そこでクラフトバンクから提案されたのが、協力会社向けの採用ホームページづくりです。三谷さんは当時を振り返り、「採用ページを作ったことがない会社がほとんどだった」と語ります。クラフトバンクの丁寧なサポートのもと、少しずつ参加企業が増え、現在では複数の協力会社が新たな採用の一歩を踏み出しています。この取り組みは、若手人材の確保だけでなく、協力会社自身が将来を見据えて経営を考えるきっかけにもなっています。

協力会社が成長し、次世代を担う人材が育つことは、発注側であるミタニ建設工業にとっても大きな意味を持ちます。「この先を考えたとき、若い世代が育っている会社かどうかは、仕事を任せるうえでの安心感につながる」と話す三谷さんは、元請けと協力会社が一体となって成長していくことの重要性を強調します。

後継者不足による廃業が増えるなかで、三谷さんが描く理想は、価格だけで選ばれる関係ではありません。
DXや採用支援を通じて築かれるつながりは、単なる効率化ではなく、かつて建設業が持っていた人と人との結びつきを、現代の形で取り戻す試みでもあります。ミタニ建設工業のDXは、業界全体の未来を見据えた取り組みとして、着実に広がりを見せています。

◆2つの地域創生事業に注力

そんなミタニ建設工業では、建設業の枠を超えた挑戦として、地域創生事業にも力を入れています。三谷さんが語る今後の目標の一つが、高知市・五台山で進めている「Park-PFI」(公募設置管理制度)事業です。展望台の建設と20年間の運営を担い、施設内にはレストランや物販スペースを設けるほか、週末にはウェディングの実施も予定しています。さらに、インバウンド需要を見据え、着物での散策や竹林寺、牧野植物園へとつながる回遊型の観光導線を整え、県民にとっての心の拠り所となる場所を目指しています。

もう一つの柱が、高知県東部・奈半利町(なはりちょう)で進める地域再生プロジェクトです。町と包括連携協定を結び、防災イベントなどを継続して実施するなかで、廃校となった小学校を活用した拠点づくりに着手しました。「子どもたちの声が聞こえなくなった場所に、もう一度声を響かせたい」という思いから名付けられた「HIBIKOE」では、宿泊施設やカフェ、食品加工を通じて雇用を生み、町の象徴となる場を目指しています。

地域と向き合い、人が集い、想いが循環する場を育てていくこと。その積み重ねこそが、ミタニ建設工業が描く地域創生のかたちです。

<番組概要>
番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子・田久保彰太・金村剛史・津吉沙緒里
番組Webサイト:https://musicbird.jp/cfm/timetable/kensetsu/
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