脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。
この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。

8月30日(土)の配信では、「方向音痴で散歩を楽しむことができない」というお悩み相談に答えました。

茂木健一郎 “方向音痴”は「脳のアンチエイジング」だった?「...の画像はこちら >>

パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
先日、こちらの番組で「歩いているときは脳が休まる」というお話がありましたが、私は方向音痴で、無駄に歩いてしまい体も脳も疲れきってしまいます。かといって、知っている道を往復するのもつまらない。こういう人はどうすればいいでしょうか……?

<茂木の回答>
これはとても興味深いご質問ですね。「知っている道を往復するのもつまらない」というところに、新しいことやチャレンジを求める気持ちが表れていて素晴らしいです。

「歩いているときは脳が休まる」というのは大前提として、道を迷わずに歩けることが重要です。歩いているうちに「あれ、どこにいるんだろう?」と考えると、リラックスできないどころか、歩くことがストレスになってしまいます。

一方で、リスナーさんは刺激を求めています。これは、リラックスできる安心感と、新しい発見やチャレンジをしたいという気持ちのバランスをどう取るか、という問題です。この2つの要素のバランスを取ることは、脳科学的に言うと、最も面白く、最もクリエイティブなことなんです。

現代の便利な時代には、スマートフォンという強い味方があります。
地図アプリを活用すれば、この2つの要素をうまく両立させることができます。

私自身、「旅ラン」と称して出先でランニングをすることがありますが、そのときも同じ方法を使っています。とにかく適当に走ったり歩いたりしてみて、自分がどこにいるか分からなくなったら、地図アプリを立ち上げて現在地を確認し、帰る場所までのルートを検索します。これによって、安心して歩いたり走ったりしながらも、新しい場所を探索できるのです。

また、スマホのカメラ機能も活用できます。道中で見つけた風景や看板を撮影すると、その発見を人に共有できるので、脳にとってとても嬉しいことになります。

方向音痴であることを悪いことだと思っているかもしれませんが、それは見方によっては“脳のご褒美”なんです。現代人は文明によって「自分がどこにいるか分からない」という状態がないので、道に迷うというのは脳のアンチエイジングでもあるんですよ。子どもの頃はみんな方向音痴でしたよね。そういう状態に戻れるということです。

ですから、方向音痴自体は悪いことではありません。それをリラックスして楽しむために、スマホの地図アプリの活用や、誰かと一緒に歩く、目印になるランドマークを探すなど、いろいろな工夫をしてみてください。
道に迷うワクワク・ドキドキと、安心してリラックスして歩くことを両立させることができれば、探求の旅はさらに素敵なものになります。

<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745
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