鷲見玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ALFALINK presents BRAND NEW LINK」(毎週土曜 7:00~7:25 / FM大阪 6:30~6:55)。ひとつの成功に満足することなく、新たな分野へと越境し挑戦を続ける人。
既存の枠にとらわれず、業界に新しい潮流を持ち込み、ゲームチェンジを起こしてきた企業。そうした方々をゲストに迎え、挑戦にまつわるエピソードや発想の原点、これから目指すヴィジョンについて伺っていきます。

1月31日(土)の放送は、先週に引き続き、元ネスレ日本株式会社 代表取締役社長の高岡浩三(たかおか・こうぞう)さんをゲストに迎え、企業へのアドバイスで意識しているポイントや、今後のビジネスの展望について伺いました。

55歳で第一線を退く決断 元ネスレ社長が、一社のトップより“...の画像はこちら >>

高岡浩三さん



◆ネスレ時代の経験を活かして企業のアドバイザーに

高岡浩三さんは2005年、45歳でネスレコンフェクショナリー株式会社の社長に就任。その後、2010年にはネスレ日本株式会社の社長に就き、2020年まで代表取締役社長兼CEOを務めました。

高岡さんは入社当時、「人より早く出世して、大きな仕事を任せてもらえる立場になりたい」という思いを抱いていたといいます。そのキャリアを実現したいま、どのような視点で仕事と向き合っているのでしょうか。

転機となったのは55歳のときでした。ネスレ一筋で40年以上キャリアを積み重ねてきた自分が、あと数年で第一線を退いたあと、何をすべきかを真剣に考えたといいます。日本企業から社長就任の打診が来ることも想定していましたが、それよりも高岡さんの関心は別のところにありました。

「一社のトップに立つよりも、本当の意味でのマーケティングを伝え、日本の企業の成長に広く貢献したい」と考えた高岡さんは、経営者のそばで助言をおこなう立場を選びます。そんな思いから10年前に立ち上げたのが「ケイアンドカンパニー」でした。


さらに高岡さんは、年間30回から40回にのぼる講演活動にも力を注いでいます。次世代の役員や社長を目指す人たちに向けて、自身が培ってきた考え方や経験を伝えることも、今の大きな使命だと語ります。「今は4社のクライアントを担当させていただいています。“コンサル”という言い方はあまり好きではなくて、会社の社長の“アドバイザー”みたいなところを主にさせていただいているのが現状です」と高岡さんは説明しました。

◆コロナ禍のピンチをチャンスに変えたのは「変化への適応」

高岡浩三さんがアドバイザーとして関わる企業のひとつが、子役の育成で知られるテアトルアカデミーです。高岡さんが関与し始めた当初、同校は約1万人の生徒を抱え、売上はおよそ30億円規模でした。子どもを通わせる目的も、「本格的に俳優を目指す」というより、「CM出演などの記念」や「情操教育」といった意味合いが強かったといいます。

高岡さんが提案したのは、デジタルを活用した新たな仕組みづくりでした。都市部に通えない地方在住の家庭に向けて、リモートでのオーディションや演技指導を取り入れることで、これまで諦めていた層にも門戸を開こうと考えたのです。しかし当初は前例がなく、1年ほどはほとんど注目されませんでした。

状況が一変したのは、コロナ禍に入ってからでした。通学が困難になるなかで、初めてDXの必要性が共有され、改革が本格化します。
その結果、生徒数は約2万人に増え、7~8年かけて売上は60億円規模へと成長しました。

高岡さんは、インターネットの普及など社会の変化を「新しい現実」と捉えています。「環境が変われば、これまで解決できなかった問題も解決できる」という視点を経営者と共有し、意識改革を促すことこそが、アドバイザーとしての大きな役割だと語りました。

◆多角的な視点で問題解決のヒントを探る

高岡さんは現在、ケイアンドカンパニーを率いながら企業のイノベーション支援に取り組んでいます。ビジネスの発想源となる考え方を、番組のキーワードである「ハブ」という視点から語ってもらいました。

高岡さんが一貫して重視しているのは、「顧客の問題を考えること」です。その問題を見つける手がかりになるのが、社会の変化、すなわち新しい現実だと語ります。具体例として挙げられたのが、チューインガム市場の縮小でした。ロッテの社長から、毎年10パーセント以上売上が落ちる理由がわからず、相談を受けたことがあったといいます。

高岡さんは、チューインガムが担っていた「手持ち無沙汰を解消する」という役割に着目しました。「チューインガムの問題解決がスマホに取って代わられたのではないかと考えました。駅のホーム内にあった売店がここ十数年のなかでなくなりましたよね。
スマホが登場したことで、チューインガムと新聞の存在価値がなくなり、売れなくなったんです」と自身の考えを述べます。さらに、競合を同じ業界内だけで探していては、本当の原因は見えてこないと続けます。

こうした視点こそが、高岡さんの言う「新しいマーケティング」であり、顧客が諦めていた問題解決を見つけることがイノベーションの核になると強調します。その起点となる考え方を、高岡さんは「ハブ」と表現しました。

最後に高岡さんが語ったのは、自身が思い描く未来についてでした。若い頃は、42歳で亡くなった父の寿命を人生の締め切りとして意識していたといいます。しかし現在は、「できるだけ長く生き、日本にどれだけ貢献できるか」を考えるようになりました。

高岡さんは、日本の現状にも触れながら、「特にイノベーションと呼ばれる分野では、日本は遅れをとり、アメリカとの差が大きくなっています」と指摘。インターネットでは出遅れたものの、「汎用性のAIに関しては、これからが本番」と力を込めます。AIを活用し、諦めていた問題をどう解決していくかを探ることで、多くの人にマーケティングやイノベーションの考え方を広げていきたいと意欲を語りました。

その思いを胸に高岡さんは、気力と体力が続く限り、次の世代へ自身の経験と視点を伝え続けていく覚悟です。

<番組概要>
番組名:ALFALINK presents BRAND NEW LINK
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25(TOKYO FM)、6:30~6:55(FM大阪)
パーソナリティ:鷲見玲奈
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/brand_new_link/
番組公式Instagram:@alfalink.tfm
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