ちょうど100回目を迎えた、8月30日(土)の放送では、先週に引き続き桑原運輸株式会社 専務取締役の桑原達也さんがゲストに登場。「100年企業のビフォーアフター」をテーマに、10年間で取り組んできた企業変革について語ってくれました。
(左から)パーソナリティの小堺翔太、桑原運輸株式会社・桑原達也さん、FM愛媛パーソナリティの窪田ゆうこ
◆“情報発信”に注力して離職率がダウン
桑原運輸は1924年に創業した、愛媛県の歴史ある運輸会社です。港湾運送業、貨物自動車運送業、港内作業に加え、近年は製造請負業にも事業を広げ、地域のものづくり企業を長年支えてきました。今回は、「100年企業のビフォーアフター」をテーマに、桑原さんが専務取締役就任からの10年間で取り組んできた変革について話を伺いました。
特に大きな課題だったのは、採用と定着と振り返ります。2024年問題や働き方改革の影響で、人材確保が難しいと言われるなか、桑原運輸は「いいご縁に恵まれ、毎年順調に仲間を増やせている」と手応えを語ります。
そんな桑原運輸ですが、かつては「10人入っても10人辞めてしまう」といった離職率の高さに悩まされていました。原因を探るため、桑原さんは退職者に直接会いに行き、率直な意見を集めたといいます。「辞めるときはなかなか本音を言っていただけなかったんですけど、時間が経ってから会いに行くと“実は……”と実情を明かしてくれたんです」と桑原さん。
リサーチの結果、多くの人が「情報が伝わってこない」「急に指示されることが多い」と不満を抱えていたことがわかりました。社内の情報共有不足や、部署間で協力体制が感じられない雰囲気が離職につながっていたのです。
そこで桑原運輸が取り組んだのが、情報発信の仕組みづくりでした。まずは社内報を創刊し、従業員の頑張りや部署ごとの取り組みを紹介。「会社が正しい情報を伝える役割を果たさなければならない」と考え、定期的にトピックスを発信するようにしました。やがて「意外とたくさんの話題がある」と気づき、SNSでも発信をスタート。「広報担当とタッグを組んで、XやInstagramで毎日投稿しています」と桑原さんは説明します。その発信は社外にも広がり、採用活動にもよい影響を与えることになりました。
◆「泣けるくらいいい会社」と評される理由は?
2025年6月に発売された書籍「求人支援実績7万社超え 採用の女神が見つけた『泣けるくらい いい会社』」(リスナーズ株式会社刊)では、桑原運輸も取り上げられています。インタビューは、長年採用の現場を共に歩んできた、リクルートのトップパートナーである廣田さえ子さんが担当しました。
桑原さんは「『泣けるくらいいい会社』なんて自分ではなかなか言えないですよね。でも、廣田さんにそう言っていただけたことが本当に嬉しかった」と笑顔を見せます。
桑原さんが特に大切にしているのは、働く環境づくりです。「投資をしすぎてはいけない部分もありますが、働く環境については遠慮する必要はありませんよね。社員と一緒に頑張れる場所を作っていきたい」と話し、従業員とともに都内のベンチャー企業にも負けない職場環境づくりをこれからも目指していきます。
◆企業理念の「以徳招利」を大切に
大きな変化と成長を遂げた桑原運輸ですが、一方で変わらないものもあります。「変化ばかりに触れてきましたが、実際は何も変えていないつもりです」と桑原さん。見え方や情報の伝え方は変えてきたものの、「やっていることは変わっていないですし、100年前の桑原運輸もみんな仲良く和気あいあいとやってきたと思います」と話し、根本の姿勢は昔から変わっていないと力を込めました。
その象徴が、企業理念の「以徳招利(いとくしょうり)」です。これは「徳を持って行動し、その結果として利益が生まれる」という意味の言葉で、桑原運輸が代々受け継いできたものです。桑原さんは「徳とは何かと考えると難しいですが、結局は『相手の立場に立つこと』が大事だと思っています。お客様や地域、仲間の視点に立ち、思いやりのある行動につなげたい」と語ります。
時代に合わせて情報発信の方法や働き方は変わっても、「以徳招利」という理念はこれからも変わらずに受け継がれていきます。
<番組情報>
番組名:となりのカイシャに聞いてみた!supported by オリックスグループ
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国22局ネット
パーソナリティ:小堺翔太
番組Webサイト:https://jfn.co.jp/lp/tonarinokaisha/