ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。
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9月10日(水)のテーマは「旅行者にアドバイス アメリカ人も頭をかかえる『レストランのチップ』スマートな払い方とは?」。一体いくら払えば妥当なのか? ニューヨークのZ世代が実際にどうしているのか探っていきましょう。

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※写真はイメージです



◆チップは最低でも15%置くのが礼儀?

日本から来てくれた方と一緒にレストランで食事をして、一番よく聞かれるのは「チップをいくら置けばいいの?」という質問です。アメリカでは食事の金額にチップを乗せて支払うのが慣習になっています。もちろんチップは任意なのですが、払うのが当たり前という事情もあり、「では一体いくら払えば妥当なのか?」と実はアメリカ人も困ることが多いんです。

しかも、インフレが止まらないニューヨークでは、レストランのチップ相場もここ数年で急に上がり、ニューヨーカーも悲鳴をあげています。あなたがニューヨークの飲食店で食事をするとき、チップはいくら払えばいいのか? テイクアウトの場合はどうすればいいのか? NYのZ世代が実際にどうしているのかを直接聞いてみましょう。

ヒカル:ちゃんとしたレストランでの食事なら、合計金額に対して最低で20%といったところだね。もちろん絶対に20%じゃなきゃだめということはないけど、今やニューヨーク市内はそれが標準って感じだよね。

ノエ:チップは最低でも15%置くのが礼儀だと思うよ。僕がレストランで働いていた頃は、5~10%のチップしか置かれていないときもたまにあって、ゼロよりもむしろ酷いと感じたことがある。
何て言うか敬意が感じられないんだよね。

もっといい高級レストランで働いていたときは、チップで結構稼げたんだよ。時給は10ドルだったけど、チップだけで簡単に1時間50ドルは稼げた。つまり実質時給60ドルになるので結構いい給料だったな。

でも、ウェイターがたくさんチップを稼ぐよりも、誰もがいつでもお手頃な値段で外食できるシステムがあったほうがずっといいと思うんだ。つまりチップをなしにして、外食を手軽な価格にすることのほうがずっと公平だと思う。チップで稼ぐ分は賃金に含まれている、というふうになるべきだよ。そうすればフードサービスに従事する人たちはチップなしでまともな賃金を得られるし、お客さんも今よりも安い値段で食べられる。今は12ドル、1800円のラーメンを食べたとしても、結局3割増しの金額を払うことになるからね。

ニューヨークで食事をすると、まず消費税がおよそ9%かかり、さらにチップを20%払うのが相場です。つまりお客さんは、食事代の合計の3割増もの金額を払っていることになります。つい数年前まではチップは15%から18%という相場だったのに比べると、かなり上がってきています。


一方で、ウェイターはチップをもらえる分、時給は最低金額に設定されているケースが多く、高級店ならチップで稼げるけれど、逆に安い店だとかなりしんどい場合もあります。そこで、チップ自体を廃止しようという声も上がってはいるのですが、なかなか実現しないのが現状です。

過剰な「アメリカのチップ事情」にニューヨーカーも悲鳴! 国民の9割がチップにうんざり?

(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆悩ましいテイクアウトのチップ事情

こうしたレストランのチップに加え、最近ではコーヒーなどのテイクアウトでもチップを払う習慣が生まれつつあります。コロナの影響もあってタッチパネル決済が増えたのですが、決済する前にチップのパーセンテージが表示され、それにタッチするのが普通になりました。表示は15%、20%、25%、またはチップなし、などと表示され、そこから買う人が選んで押すわけですが、これが新たな悩みの種になっています。

テオ:テイクアウトのチップは本当に悩ましいよね。特にiPadみたいなタッチパネル決済の場合は。

メアリー:テイクアウトのときは、普通チップは置かないかな。でもチェーン店ではなく、地元の小さなコーヒーショップなら、ちょっとだけチップを置こうかなって思うんだ。最小限の額、10%とかが選べる場合もあるから。なぜか分からないけど、ついそうしちゃっているんだよね。自分はチップを払わない人の部類には入りたくないというのはあるかもしれない。


アニー:すごく小さな地元の店だと、場合によってはちょっとだけチップを渡すかな。地元だから応援したくてね。

ミクア:チップは払うよ。カフェに行くときは、そこでしばらく座って仕事とかすることが多いから。

ヒカル:うーん、難しいな。店に居座る場合、例えばレジで注文したものを店員が席まで持ってきてくれることがあるよね? そういう店員が少し可哀想に思えてチップを払ったりすることもある。でも、15%とか20%とかは高すぎる。だってコーヒーとハンバーガーだよ。

テイクアウトのコーヒーの場合、基本的にチップをあげない。でも店に長居するときや、地元の小さな店の場合は10%くらいは払う。そんな感じのようですが、みんなが少なからずとも頭を抱えているのがわかります。

中には、店員さんの目が怖いのでチップをあげるなんていう人もいるくらいです。
それにたかがコーヒー1杯とはいえ5ドル(7~800円)はする今、10%のチップでもバカになりません。

◆無人のセルフオーダーシステムでもチップ請求!?

そしてもう1つ、最近問題になっているのは、全く無人のセルフオーダーシステムでもチップが表示されるケースです。

テオ:僕は「シェイクシャック」によく行くんだけど、注文プロセスが全部iPadで完結しているんだ。だから誰ともやり取りをしない。でも支払いの段階で、チップのデフォルトが20%ボタンになっていて「これってiPadに20%もチップを払うの?」って感じでどうしても納得できないんだよね。

レストランのチップは、オーダーを取って食事を運んでくれるウェイターさんのため。テイクアウトのコーヒーショップでは、大きく譲ってオーダーを取ってコーヒーを作ってくれる人のため。でも全く無人のセルフチェックアウトでは、一体誰のためにチップを払っているの? と思ってしまう気持ちはよくわかります。

あまりにも義務化しているとはいえ、チップというのはあくまでも良いサービスへの感謝と働く人へのリスペクトを表すもの。誰とも喋らないのにチップを払うなんておかしいと感じるのは当然だと思います。とある最新の世論調査によると、アメリカ人の9割がチップにうんざりしている。でもやめる方法が見つからないというのが実情のようです。


最後に、シェリーは日本からニューヨークに来るみなさんへのアドバイスとして「レストランでの食事にはウェイターさんへのリスペクトの意味も込めて必ず15%~20%のチップを置いてくださいね(素晴らしいサービスだったらもっと!)。逆にコーヒーなどテイクアウトの店では、気が向いたら10%とかでいいと思います」とコメントし、話題を締めくくりました。


<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/
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